【電気自動車】EV普及のカギは結局何なの?課題と問題点の考察

最近海外では「電気自動車(EV)の普及」を推し進める法案が次々と成立しています。

いや厳密にはEVの普及というよりかは「ガソリン車販売を規制する」という法案。ガソリン車の販売が禁止されれば、自ずと電気自動車が普及するだろうという狙い。主に2030年から2050年頃が目安とされています。

ただ、日産・リーフといった世界的にそこそこ売れてるEV車種を販売してるものの、いかんせん日本ではEVがそこまで普及してない後進国と言わざるを得ません。少なくともガソリン車の販売禁止といった法整備の機運すらございません。

そこで日本国内で電気自動車が普及しない理由や問題点、これからEVを普及させるためのカギや課題を考察してみました。

ガソリンスタンドの減少に反比例してEVは普及

結論から書くと、日本でも電気自動車は自然と普及していくと考えられます。理由はシンプル。何故なら「ガソリンスタンドが毎年のように減少」しているから。

ガソリンスタンドの数は1990年代には6万ヶ所ぐらいあったそうですが、2016年には3万1000ヶ所ぐらいにまで半減。かつてはガソリンスタンド経営ほど安定してる職業はないと思われていましたが、ここ20年近くはずーっと減少傾向が続いてる。

データを更に読み解いていくと、ガソリンスタンドの数が本格的に減少し始めたのは1997年頃。つまりタイミング的にはトヨタ・プリウス(ハイブリッド車)が販売された時期とGSが減少する時期が重なる。

もちろん初期型プリウスは爆発的にヒットしてないものの、その年を境に環境に対する国民意識がガラッと変わって、自動車メーカーもこぞって燃費性能が高い車種の開発を始めたことは言うまでもないでしょう。

つまるところ燃費性能が優れた自動車の普及と共に、ガソリンスタンドの数も減少してる。同じようにハイブリッド車より環境性能が高いEVが普及し始めると、更に加速度的にガソリンスタンドは減少していくはず。

○ガソリンスタンドよりEVスタンドを作る方が簡単

また最近、ガソリンや軽油を溜めておくタンクの安全性の規制強化が追い打ちとなって、中小のガソリンスタンドがどんどん廃業してる状態。少なくとも採算が取れないガソスタを新たに作る状況にはない。

一方、EVスタンドを作るのは簡単。何故なら電気を通せばいいだけだから。そこに大きな規制は少ないはず。充電口の規格の統一化などは依然ネックだと思いますが、おそらくガソスタを作るよりもEVスタンドを作る方が遥かにハードルが低い。

将来的にガソリンが物理的に供給できない・されにくい状況が差し迫っており、これは思いの外深刻な事態。おそらく数十年後には法規制以前に、否応なしにドライバーの選択肢は電気自動車に絞られていく。

つまり現時点では電気自動車向けのインフラ整備は遅れているものの、自動ブレーキシステムのようにEVスタンドなどは「ある時期」を境に急激に普及するのではないか?とドルジ露瓶尊は考えます。

電気自動車は「充電時間」と「バッテリー容量」が課題

ただ電気自動車が普及するためには課題や問題点もあります。

それが「バッテリー」の問題。

簡単に問題点をまとめると、電気を供給する(バッテリーを満タンまで充電する)時間がとにかくかかるから。お手持ちのスマートフォンですら、やっぱり急速充電でも満タンまで数時間かかることもザラ。

スマホサイズのバッテリーですらそこまで時間がかかるんだから、電気自動車は言うまでもない。やはり自動車のような1トン2トン以上ある重い物体を動かすためには、強力な電気モーターが必要。

一応、それでも最近の急速充電はバッテリー容量80%まで溜めるまでに数時間で済むようになりましたが、それでもガソリン車と同じようにパッと終わるのは不可能。もちろんこまめに充電すればいい話ではあるものの、インフラ整備が進んでいない現状は極めて不便。使い勝手は…。

つまるところ電気自動車の普及の鍵はまさに「バッテリーの進化」にかかっているとも言えます。

○EVのバッテリー問題は全固体型電池で解決する?

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(カートップ3月号 交通タイムス社)

そこで現在開発されているのが「全固体型バッテリー(全固体電池)」の存在。

電気自動車に限らず、スマートフォンなどに使われているバッテリーの中身は液体。詳しくは知りませんが、もっぱら普及してるリチウムイオン電池だと何とか酸リチウムと黒鉛を化学反応させることで電気を生み出してる。また充電も可能。

この全固体電池のメリットは、やはり急速充電にあります。既存の液体型バッテリーだと5時間6時間かかる充電が、全固体電池だと「わずか数分」で8割9割まで充電することが可能らしい。とにかく充電時間が短いため、下手するとガソリン車より使い勝手に優れてる。

しかも液体電池の場合は、どうしても強い振動が当たると液漏れをしてしまう可能性がある。結果、爆発に至ったケースもしばしば。特に電気自動車は大容量バッテリーを使用するため、事故が起きると被害の度合いが大きくなりがち。

でも全固体電池は固体であるが故に、振動に強い。つまり既存の液体型バッテリーよりも事故が起きる可能性が低い。まさに電気自動車のバッテリーとしてはうってつけ。トヨタ自動車などもEVだけではなく水素燃料電池車の普及のために開発を急ピッチに進めているらしい。

EV普及と「電力問題」はセットの課題

最後は「EV普及の最大の課題」を考察して終わりたいと思います。

たださっそく結論から書いちゃうと、電気自動車が走行するための「大量の電気は何からどう作るのか?」という問題。

例えばアメリカのテスラ社が最近開発した電気トレーラーは、たった30分の急速充電で満充電可能。しかも一回の充電で600km以上走行できるスグレモノ。でも、その電気トレーラーのバッテリーを満タンに電するために4000戸分の電力(1600キロワット)が必要になってくる。

先程のバッテリーの件ともリンクしますが、電気自動車は性能が高くなれば高くなるほど反比例して「電力を大量に必要」とする。

もし一般的な市販車だけではなく、大型トラックやバスにまでEV化が普及しまくったと仮定すると、今以上に大量の電気を作っていかなきゃいけないのは明白。逆に言えば、EVが爆発的に普及してしまうと一般家庭において電力が不足する事態にも陥りかねない。

○大量の電気を一体何で作るべきなのか?

でも、膨大な電気を作る方法は限られてる。

石炭や天然ガスを燃やす火力発電、ダムに水を溜めたり川の流れを利用した水力発電、ウランやプルトニウムを利用した原子力発電、太陽光や風力を利用した自然エネルギー発電。ざっくりこの4つだけ。

翻って考えると、日本は何度も原子力事故を体験してる国。物理的技術的以前の話として、国民の感情的に原子力発電を新設するどころか、そもそも現状の原発を大量に稼働させることすら難しい。

結局、日本国内では少なくとも消去法的に火力発電が選ばれるはず。火力発電が一番無難かつ安全に大量の電力を生む状況は、今後もEV普及後も目立って変わらない。でも火力発電もガソリンエンジンも、基本的な原理は同じ。

じゃあ何のために電気自動車を普及させるべきなのか?という根本的な疑問にぶち当たる。環境保護という名目で原子力発電を積極的に推し進めるなんて本末転倒。一般常識的に考えても論外。

○EVを走らせる電気は「自然エネルギー発電」で賄うべし

だから「EVの普及」と「大量の電力を生み出す」ことはセットの問題として考えていかなければならない。結論から書くなら、電力会社がしっかり反省して自然エネルギーを普及させていくべき。

そのため「【電気自動車】走行税という新たな税負担について考えた」という記事も作りましたが、ドライバーが支払うクルマの税金は「自然エネルギー(主に川といったマイクロ水力発電)」の普及のために充ててほしいなーと思います。

特に川は毎日流れているため、常に電力を大量に生む便利な自然。これを「小水力発電」と呼びます。水力発電は山など大きな環境破壊を伴いますが、日本は全国的に川に恵まれている国。

まさに電気自動車を普及させるために、小水力発電を利用しない手はない。河川の管轄は奇しくも国交省。電気自動車普及のためにも、同時に小水力発電普及のために積極的に動いて欲しいものです。

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