【自動車用語】ハードトップは何故消滅したのか?【コラム】

メルセデスベンツSクラスクーペ

一昔前の高級車の代名詞といえば「ハードトップ」でした。

ただ現在でも画像のメルセデスベンツ・Sクラスクーペのようなハードトップスタイルの自動車は発売されているものの、最近では大衆車から高級車までめっきりハードトップの自動車が消滅してしまった印象。

そこで今回カーギークでは「ハードトップは何故消滅したのか?」という考察記事を書いてみたいと思います。

そもそもハードトップとは?解説・説明まとめ

まず「そもそもハードトップとは何か?」という疑問から解説したいと思います。

ハードトップ(hardtop)とは「自動車のボディースタイル」の一つ。

ハードトップの対義語には「ソフトトップ」と呼ばれるボディスタイルも存在します。このソフトトップは「オープンカー(カブリオレ)」を想像すると分かりやすい。ソフトトップとは布製の屋根を意味するため、本来はトラックや馬車みたいな乗り物を指すものの覚えなくて構いません

メルセデスベンツ・Sクラスクーペ車内

じゃあオープンカーと相反する車体って何なんだろう?って話ですが、ざっくり解説するとハードトップは「Bピラーがない自動車」と思ってください。Bピラーがないことで車内が開放的に広がり、また伸びやかでスポーティーなデザインに見えるらしい。

ハードトップ≒ピラーレス?

つまりハードトップとは、今風の言葉を使うのであれば「ピラーレス」と表現した方が分かりやすいかも知れない。

現在は軽自動車のタントやN-VANに代表されるように「実用性」を重視してピラーを取り払ったクルマが販売されているものの、昔は「デザイン性」を重視してBピラーを排除したクーペスタイルのセダン車やスポーツカーが多く生産されてた。それこそがまさに「ハードトップ」と呼ばれるクルマだった。

そのため「ハードトップのクーペ」と「ソフトトップのオープンカー」という立ち位置で考えると、確かに両者は高級車の中で対局に位置するジャンルだったのでしょう。

ハードトップの歴史

ハードトップ(スタイル)の自動車が初めて生まれたのは、やはり自動車大国のアメリカ。

第二次世界大戦後の1949年にキャデラックから発売されたクーペドゥビルが初めてハードトップを採用したと言われています。当時の自動車は決して車体は大きくなかったため、乗降性といった実用性の面でも寄与し、かなり大ヒットしたとのこと。

○日本で初めてのハードトップ車はコロナ

その後、日本に初めてハードトップの自動車が発売されたのは、アメリカから大きく遅れること1965年。トヨタ自動車から発売されたコロナハードトップ(T50型系)が初のハードトップと言われています。車名からも既に「ハードトップ」の名前が付けられていることからも明白か。

そしてコロナハードトップを皮切りに、日本では1970年台から本格的にハードトップ車が普及。

トヨタ・クラウン、日産・セドリックといった高級車から、日産・ブルバードやトヨタ・カローラといった大衆車にまで採用されました。最終的にはダイハツやホンダの軽自動車にもハードトップデザインが組み込まれたこともあるらしい(タントなどとは違う)。

まさにハードトップは1970年代1980年代はゴリゴリに流行っていた大人気のジャンルと言えましょう。 

ハードトップが消滅した理由は「安全性能の強化」

でも何故ハードトップ車は消滅してしまったのか?答えはシンプル。

特にBピラーみたいな大黒柱的な存在を消滅させてしまえば、側面からの衝突安全性が確実に悪化する。つまりデザインを重視した代わりに、その分だけハードトップは安全性能が不十分に疎かになった。

そこで自動車メーカーは不十分な安全性能を高めようとしたものの、当然コストアップは避けられない。特に大衆車はコスト面との兼ね合いが強く働いて、日本では何やかんやで1993年頃には完全にハードトップのクルマは消滅してしまったとのこと。

つまりハードトップが消滅した最大の要因は「安全性」と結論付けられます。

ハードトップ車はそもそもカッコ良かったの?

またBピラーを消滅させた分だけ、ハードトップは後ろのCピラーが逆に太くなりがち。結果、リヤサイドウィンドウが小さくなってしまい、「ハードトップは意外と開放感ってないんじゃね?」という声が増えたそう。

他にも後方視界性悪化や車体剛性の低下といったデメリットもあって、高級車でも徐々にハードトップは消滅したらしい。一応、ピラーレスのデメリットを補完するようなサッシュレスドア(窓枠がないドア)を採用したハードトップ(ピラードハードトップ)も発売されました。

でも、その頃には「じゃあハードトップとは何ぞや?」というそもそもの定義の曖昧化が進んでますます需要が低下。まさに悪循環が悪循環を生んで、ハードトップは今現在の自動車市場では見られなくなったという流れになります。

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