ダイハツの人気軽自動車がムーヴキャンバス。ムーヴの派生モデルとして2016年9月に投入されて以降、このサイズ感のスライドドアがなかったこともあって大人気になりました。ムーヴの売上の大半がキャンバスとも言われます。
そして、この度、新型ムーヴキャンバスが2022年6月28日に初めてのフルモデルチェンジを果たします。そこで今回は新型ムーヴキャンバスの最新情報をまとめてみたいと思います。ちなみに本家のムーヴは来年2023年以降にモデルチェンジされると言われています。
デザインはほぼ変わらず
まずは新型ムーヴキャンバスのデザインを解説します。
結論から言うとデザインはフルモデルチェンジ前とほとんど変わっていません。
両者を見比べると歴然と分かりますが、もはや先代ムーヴキャンバスとほぼ同じと言っても過言ではありません。丸みを帯びたヘッドライトなど相変わらず可愛らしいデザインなんですが、フルモデルチェンジする必要があったのかと言いたくなるほど何も変わっていません。
ただ細かいデザインの違いも見られます。
例えばツートンカラーの場合、白く塗装された部分が増えて一体感がよりアップしたデザインに仕上がっています。またヘッドライトの面積もやや小さくなっているように見えます。ターンシグナルランプの位置も車体外側に移動しています。フォグランプ周辺もメッキ加飾が増えてきらびやか感が増しています。
一方、サイドはほとんど違いがありません。
ツートンカラーだとウエストラインに合わせてホワイトに塗装されていたり、その上級グレードではホイールキャップもツートン仕様に塗られるなど、新型ムーヴキャンバスでもデザインの仕様は全く変わっていません。
リア周りのデザインも基本的には全く同じですが、ナンバープレートの位置がハッチゲートからバンパー下部に移動していたりします。
ハッチゲートを開閉する際には新型ムーヴキャンバスの方が開け閉めしやすいのかも知れない。
やはり新型ムーヴキャンバスは主に女性ユーザーからデザイン目当てで購入されていることもあって、キャラクターを大きく変えるまでには至らなかった模様です。ただ逆に言うと、従来のユーザーからしたら良くも悪くもガッカリ感はなさそうです。
ストライプスとセオリーの2グレードに
続いては新型ムーヴキャンバスのグレード構成を解説します。
- ストライプスX
- ストライプスG
- ストライプスGターボ
- セオリーX
- セオリーG
- セオリーGターボ
「ストライプス」と「セオリー」というグレード名に大別されます。それぞれのモデルにGターボ、G、Xのグレードに更に細分化されています。そのため新型ムーヴキャンバスでは新たに「ターボモデル」が投入されます。カタログ燃費などはまたあとでお伝えします。
主に2グレードの構成は変わらないんですが、ストライプスがツートンカラー仕様、セオリーが一色のモノトーン仕様といった感じで大別されます。先代ムーブキャンバスでもツートンカラーはストライプスカラーと呼ばれていたんですが、それをグレード名に堂々と命名した感じになります。
そこで改めて両グレードのデザインの違いを見ておくと、ツートンカラーのストライプスの方が魅力的には映ります。要所要所に入っている白の差し色が目を引いて、ダイハツが露骨にキープコンセプトに走っていることからも全体的に飽きさせません。
○車体カラーは合計15色
ストライプスの車体カラーは全8色。
セオリーの車体カラーは全7色。新型ムーヴキャンバスで合計15色が用意されている模様です。それでもサイドから見るとやはり、ツートンカラーのストライプスの方が映える印象です。
ただホイールキャップをグレーに塗装するなど、モノトーンのセオリーはそれなりシックな雰囲気は漂います。またあとで解説しますが、セオリーはエントリーグレードの時点で本革巻きステアリングを採用するなど装備面では充実しています。
そのためストライプスは外観デザイン、セオリーは充実した装備といった差別化されているため、新型ムーヴキャンバスのグレード構成は以前よりは分かりやすくなっています。
内装デザインも2パターンに?
続いては新型ムーヴキャンバスの内装デザインをチェックしたいと思います。
まずストライプスは内装面は外観デザインと同様、ブラックとアイボリーのツートンカラーの配色に仕上がっています。ハンドルもその2色に分かれているのが面白いと思います。
先代ムーブキャンバスと比べると内装面では違いが多いです。例えば助手席前のインパネトレイが新たに設けられていたり、Aピラーの内側がブラックに塗られていることが分かります。またメーターパネルもセンターから運転席前に移動するなど、実用面でも配慮されている模様です。
一方、セオリーはダークブラウンとブラックの配色で統一されています。ストライプスの内装も女性ユーザー目線だとややシックすぎる感じもありましたが、セオリーの内装は相当シックな雰囲気がします。ここまで内装デザインをシックに仕上げるのであれば、外観デザインももっと差別化した方が良かった気もします。
またシート素材にも違いがあります。ストライプスは一般的なファブリック素材を使っているのに対して、セオリーは高級感ある起毛素材が使われています。ハンドルも本革巻きステアリングが標準装備されているので、セオリーはストライプスと比べて質感そのものは高そうです。
他にも内装の装備を見ると、後部座席下の収納ボックスは片手で組み立てられるようになっていたり、前席のカップホルダーには保温機能が備わっているそう。また中央に配されるスマホと連動できるディスプレイオーディオは10インチと、ダイハツ車では最大クラスになります。
安全装備は大幅に進化
新型ムーヴキャンバスの安全装備は「次世代スマートアシスト」に進化します。
日産デイズやホンダN-WGNなどにも既に備わっている「全車速域追従クルーズコントロール」や「駐車支援システム」などに新型ムーヴキャンバスも対応します。夜間歩行者や交通標識も認識します。現行スマートアシスト3は普通のクルーズコントロールすら搭載されてなかったため大幅な進化を遂げます。
他にも衝突安全装備では「サイドカーテンエアバッグ」が全車で標準装備されて、ミドルグレードG以上には照射範囲を細かく絞れる「アダプティブヘッドライト」も装備されます。ディーラーオプションでは駐車支援システムなんかも備わる予定です。
ただし、自転車には対応できないなど、自動ブレーキシステムのレベルは他社と比べると落ちます。また追従クルーズコントロールはターボモデルのみに設定されるため、そこまで最新の軽自動車と比べると大きな見所はありません。
新型ムーヴキャンバスのグレード別の装備まとめ
続いては新型ムーヴキャンバスの価格や装備面を解説します
Xの装備
サイドカーテンエアバッグ
360度UVカットガラス
両側電動スライドドア
次世代スマートアシスト
チルトステアリング
キーフリーシステム
Gの装備
LEDヘッドライト&フォグランプ
アダプティブヘッドライト
ツートン・ホイールキャップ
メッキ調ドアハンドル
360度スーパーUV&赤外線カットガラス
電動パーキングブレーキ
両側電動スライドドア&ウェルカムオープン付き
前席シートヒーター
Dアシスト
メッキサイドガーニッシュ
Gターボの装備
ターボエンジン
全車速域追従クルーズコントロール
車線逸脱防止支援システム
セオリー追加分
本革巻きステアリング&シフトレバー
ダークブラウンの内装
メッキ調ドアハンドル
メッキ内装パーツ
ボディ同色ドアミラー
メッキ調ピンストライプ
以上がざっくりしたグレード別の装備類になります。
エントリーグレードの【X】は両側電動スライドドアやスマートアシスト、サイドカーテンエアバッグといった最低限の装備が備わっている感じです。ただ装備をかなり無理して削ったような客寄せパンダグレードではないため、価格はしっかりそれなりのお値段となるはず。
ミドルグレードの【G】はメッキ加飾が施されたり、ホイールキャップがツートン仕様だったり、内外装で質感がアップ。LEDヘッドライトや電動パーキングブレーキ、シートヒーターが前席に備わるなどといった装備面がなかなか充実します。先程の保温機能が備わったカップホルダーも追加。
またスマアシに標識認識機能が備わっていたり、エントリーグレードのXの安全装備は若干見劣りしていたりします。
上級グレードの【Gターボ】はターボエンジンに加えて、ライトの照射範囲を調整できるアダプティブヘッドライトが備わります。他にも全車速域追従クルーズコントロールや車線逸脱防止支援システムが加わるなど、主に安全性能が高まったグレードになります。
逆に言うと、安全性能や走行性能にこだわりがなければ、ミドルグレードのGを選んでおけば問題ないはず。
そしてモノトーン仕様のセオリーの装備はストライプスのグレードがそれぞれ踏襲されています。主に内装がダークブラウン仕様でシックに仕上がって、装備面では本革巻きステアリング&シフトレバーが加わる感じです。
新型ムーヴキャンバスの価格は?
そのため先代ムーブキャンバスではツートンカラーは6万6000円の有料色でしたが、セオリーは装備面の追加でその有料色分が相殺されていると考えられるので、両モデルの価格差はほとんどないと思います。
- ストライプスX…149万円
- ストライプスG…159万円
- ストライプスGターボ…168万円
- セオリーX…149万円
- セオリーG…159万円
- セオリーGターボ…168万円
現時点で新型ムーヴキャンバスの価格情報は判明していませんが、ツートンカラーが標準仕様になったり、装備面が充実したことなどを考えると、フルモデルチェンジ後は+5~10万円ほど割高になりそう。ちなみに、先代ムーブキャンバスの価格は143万円から158万円でした。
だから、新型ムーヴキャンバスの価格帯は最低でも150万円以上に値上がりしそうです。ただエントリーグレードは割高感を抑えるためにギリギリ150万円未満に収めるのではないかと予想してみます。
逆にターボエンジンが新たに投入された上級グレードの値段は最大で170万円近い価格帯になると個人的には予想してみます。そのため売れ筋グレードのGは間を取って160万円前後に落ち着くと予想します。
新型ムーヴキャンバスのカタログ燃費は?
続いては新型ムーヴキャンバスのカタログ燃費の最新情報です。
- ○660cc直3NAエンジン○
- 最高出力…38kW(52PS)/6900rpm
- 最大トルク…60Nm(6.1kgm)/3600rpm
- ○660cc直3ターボエンジン○
- 最高出力…47kW(64PS)/6400rpm
- 最大トルク…100Nm(10.2kgm)/3600rpm
まず新型ムーヴキャンバスのパワートレインは引き続きKF型エンジンが流用されますが、そのターボエンジンも新たに追加されます。ただし、タントやタフトに搭載されているものと同じスペックになります。
また先代ムーブキャンバスの特別仕様車のみに採用されていたDアシスト(いわゆるパワーモード)は上級グレード「G」以上に標準装備されます。他にも主に女性が扱いやすいようにアクセルペダルの応答性なども調整されている模様です。
- ○NAエンジンのカタログ燃費○
- 2WD…22.3km/L
- 4WD…21.2km/L
- ○ターボエンジンのカタログ燃費○
- 2WD…21.7km/L
- 4WD…21.1km/L
新型ムーヴキャンバスのカタログ燃費はフルモデルチェンジ前と比較すると、NAエンジンは1.6キロほど燃費性能が向上しているっぽいです。
理由は車体の軽量化にあります。新型ムーヴキャンバスもシャーシがようやくDNGAプラットフォームが採用されたことで、フルモデルチェンジ前よりも20kg程度軽量化されていることが、燃費性能の向上に寄与している模様です。
ハイブリッド化されない理由は割高な価格?
だから、新型ムーヴキャンバスはハイブリッド化しません。
ダイハツはeスマートハイブリッドと呼ばれるガソリンエンジンで発電し、電気モーターで走行するいわゆるシリーズハイブリッドを開発していました。ロッキーを例に考えると+25~30万円ほど割高になっています。
そのため新型ムーヴキャンバスの現状の価格帯を考えると、ハイブリッド化によるさらなる値上げは無視できないということなのでしょう。特に昨今は半導体不足も手伝って、生産自体ができない恐れも考慮されているに違いない。
一方、来年2023年にフルモデルチェンジする予定の本家の次期ムーヴに初めてeスマートハイブリッドに搭載される公算が高いです。事実、ダイハツは「2023年以降に軽自動車にeスマートハイブリッドが搭載する」と公言しており、その初搭載車が次期ムーヴになりそうです。
だからスズキや日産などが導入しているマイルドハイブリッドは、今後もダイハツは軽自動車に採用されないと思われます。価格帯を考えるとマイルドハイブリッドは魅力的ですが、ロッキーを考えると+15~25万円程度の価格上昇に収まっていることを考えると、今後ダイハツはeスマートハイブリッドを推していくはず。
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