2019年7月、ダイハツ新型タントがフルモデルチェンジを6年ぶりに行いました。タントも気付くといつの間にかモデル末期に突入して商品力が落ちてましたが、今回のフルモデルチェンジで内外装が大胆に一新されて話題になりました。
そこで今回カーギークではダイハツ新型タントを徹底的にレビューしていこうと思います。個人的な感想以外にも自動車雑誌やネットの試乗評価も参考にしつつ、果たして新型タントの評判や口コミはどんなもんなのか?
【試乗】新型タントの外観デザインの評判は?
最初は「外観デザイン」の感想をレビュー。
まずはノーマルグレードの新型タントの外観デザイン。丸みを帯びたヘッドライトは初代タントを彷彿とさせますが、決して古臭さは感じさせない。ダークメッキのフロントグリルも清潔感を感じさせる。
一瞬、ダサい印象を持ったものの、見れば見るほど愛着が湧きそうなデザイン。ただ新型タントの初期受注を見る限り、どうやらホンダ・N-BOXを上回るのはやや厳しい模様。世間的な評判は言うほど良くはない?
ダイハツが何故か広告で全面的に推しているイエロー色の新型タント。
黄色の車体カラーはダサくなりがちですが、塗装のクオリティが高いので鮮やかなイエローは黒のフロントグリルと合わさって非常に映える色味。「程よく目立ってくれる感じ」が完成度の高さを物語る。
ちなみにイエロー色の正式名称は「マスタードイエロー」。もっと良い名前がなかったのか?と思ったのは内緒。
○【試乗】新型タントカスタムに黒は似合わない?
続いては「新型タントカスタム」の外観デザインを評価。
例えば、新型タントカスタムのホワイト色。
ノーマルグレードと比べると、フロントグリルはかなりブラックが前面に押し出たデザイン。グリル部分だけ見ると日本の昔の凧揚げに見えなくもないですが、個人的な感想としては「コレはコレで有り」なのかなと思いました。
一方、パッと見は緑色ですが、ブルー色の新型タントカスタム。
新型タントカスタムのフロントマスクは、最近流行りの「メッキ感」が少ないのがよく分かると思います。ただし、先程のホワイト色は非常に映えたものの、逆に新型タントカスタムはブラックなど暗い色は全体的にくすんでしまうのがやや難か。
例えば、旧型タントカスタムと新型タントカスタムを比較すると一目瞭然。
フルモデルチェンジ記事でも言及してましたが、ブラック色を選ぶと新型タントカスタムは「すべてが真っ黒」になってしまう。昼間でコレですから、夜は言うまでも有りません。
○【試乗】ツートンカラーは新型タントカスタムでしか選べない
ちなみに、ツートンカラーはサイドドアガーニッシュも設けるなど、デザイン性は今回の新型タントで向上してるのがポイント。3トーンカラーって程でもないですが、スズキ新型クロスビーなどで好評だったオプションが反映されたのか。
ただし、注意したいポイントがあります。実は先代タントはノーマルグレードでも2トーンは用意されてましたが、今回の新型タントはカスタムでしか2トーンが選択できません。
そのためツートンカラーに関しても、暗い車体カラーを選択してしまうと逆に映えなくなってしまうのが難。ホワイト以外だとブルーとレッドのツートンカラーの合計3色が用意されてるものの、どちらも暗い色味。
個人的に新型タントカスタムのデザインは悪くないと思いますが、人気色の黒系ではツートンカラーでもせっかくのサイドドアガーニッシュが目立たず、メリハリ感がなくなってしまうのはマイナス評価か。
【主要諸元】ダイハツ新型タントの車体サイズまとめ
続いては「車体サイズ」をチェック。新型タントは今回のフルモデルチェンジで更に大きくなったのか?
結論から書くと、新型タントの基本的なサイズ感は先代タントとほぼ同じです。
新型タントはダイハツで初めて「DNGA」と呼ばれるプラットフォームに一新されており、全高とホイールベースが5mmほど長くなってるものの、おそらく体感できるほどのサイズアップは図られてない。車内の広さも以下同文。
ただ強いて言えば、最低地上高も5mmも高くなったので新型タントの乗降性はやや低下してしまったか。
○ダイハツ新型タントの主要諸元まとめ
- 全長…3395mm
- 全幅…1475mm
- 全高…1755mm(4WDは1775mm)
- ホイールベース…2460mm
- 最小回転半径…4.4~4.7メートル
- 最低地上高…150mm(4WDは165mm)
- 室内長…2180~2060mm
- 室内幅…1350mm
- 室内高…1370mm
【試乗】ダイハツ新型タントの内装インパネの評価は?
続いては「内装インパネ周り」の評価。新型タントの内装の質感は高いのか?
結論から書くと、新型タントの内装は「使い勝手をかなり重視したデザイン」というのが個人的な感想。
ドリンクホルダーが好例ですが、これまで隠されていた収納スペースが「視覚化」された感じ。助手席前のインパネトレイにしても、本来見えなかったあらゆる収納スペースが良い意味で露見してる。
先代タントよりもダッシュボード周りは空間的にいろいろ削られてるのが良い証拠。そのことで運転席前の収納ボックスも先代タントよりもかなり巨大化し、水平基調のインパネですがどこか立体的ですらある。
またダッシュボード自体も低く設計されたことで、新型タントは全体的に開放感が増した。実際、Aピラーは10mmほど細くなってることも、新型タントの前方視界性に貢献。デザインと実用性の両面で進化。
とはいえ、新型タントの内装の質感とデザインはあくまで「軽自動車の範疇」には留まってる印象も否めない。例えば、「インパネもよくなったけどチープ」と評価するのはベストカーの試乗レビュー。
ただし、ダイハツ的にはそこまで普通車からの乗り換えを意識してないのが理由とか。トヨタとの兼ね合いもあってコンパクトカーとの競合はあまりさせたくないのでしょう。
○【試乗評価】新型タントの内装は「機能美」が演出
一方、デジタルメーター自体のサイズは決して大きくはないものの、その分だけメーターフードの高さが抑えられており、前方視認性はやはり良好。そもそも大きなデジタル文字表示で見やすいのが好印象。
今回も新型タントはセンターメーター方式を採用するものの、先代タントと違って運転席側にやや位置を近付けてるのもポイント。オプションではありますが、中央部分の9インチ液晶ナビもライバル軽よりもグレード感は上々。
エアコンの吹出口を縁取る差し色も効いてる。普通はメッキ加飾が多いものの、敢えてブルーなどのカラーを使うことでポップ感が演出されてる。新型タントの内装の質感はそこまで高くないですが、それでも「軽自動車感」は随分と薄まった感想を持ちます。
まさに「機能美」が体現されてる内装と評価できそう。
強いてネガティブな評価をするなら、ノーマルタントもタントカスタムも内装面であまり違いは見られないこと。外観ほど大きな違いは存在しない。メッキ加飾などは加わってるものの、新型タントカスタムのプレミアム感は思ったほど薄いかも。
【新型タント】室内や荷室の大きさや使い勝手の評判は?
続いては「室内や荷室の使い勝手」を評価したいと思います。
新型タントの売りは「運転席のロングスライド機能」。
運転席が前後に540mmも大容量にスライド可能になったことで、先代タントに備わっていた助手席ロングスライドと組み合わせることで、新型タントは「実質的なウォークスルー」が可能。
だから軽自動車でありながら後部座席にそのまま移動できちゃう。実際問題どこまで使用機会が多いかはさておき、割と画期的。もちろん初代タント譲りのミラクルオープンドア(ピラーレス構造)も健在。
とりわけ後部座席の使い勝手が向上。先代タントは荷室側からツーアクション必要だったものの、新型タントでは「ワンアクション」で倒せるようになったのは嬉しい。室内の広さも先代比で大きく向上してないものの、新型タントも相変わらず広い。
乗り心地の評価は改めて後述しますが、シートもDNGA思想のもと骨格形状から根本的に再設計。床とシート座面の距離は16mmも高くなったことで、着座姿勢が向上。ファブリック素材は汚れにくく、使い勝手も良い。
「骨盤を確実にサポートすることで長時間座っても疲れないフィット感を実現」とは三栄書房の試乗レビュー。新型タントは室内の広さはそのままに使い勝手や実用面で着実に向上してる模様。
ダイハツ新型タントの搭載エンジン・スペックまとめ
試乗レビューの本題に入る前に、まずはダイハツ新型タントの「搭載エンジン」の情報を改めてチェック。
結論から書くと、新型タントの搭載エンジンはKF型が引き続き採用されますが、大幅に一新されてる。
例えば、最たる目玉は「マルチスパーク(複数回転着火)」。
詳しい仕組みは分かりませんが、シリンダー内の燃焼速度を早めることで燃費が向上。またNAエンジンとターボエンジンではバルブの径が作り分けられ、それぞれの圧縮比に合わせた仕様に再設計。
結果、新型タントのターボエンジンのトルクは先代比で8Nm(0.8kgm)ほど増加。またNAエンジンのトルクの実行回転域が上昇。数値的にはほぼ変わってないものの、それなりに進化は遂げてます。
またDNGAプラットフォームの採用で先代タントと比べると、おおむね車重は40~80kg程度軽量化されてるのも走りに貢献。改めて変速機などについても後述しますが、サスペンションも大幅に見直されて剛性感が大幅にアップしてる。
○660cc直3NAエンジン
- 形式番号…KF型
- 最高出力…38kW(52PS)/6900rpm
- 最大トルク…60Nm(6.1kgm)/3600rpm
- 車重…900~880kg(4WDは+50kg)
- カタログ燃費(WLTC)…21.2km/L
- 燃料タンク…30L
○660cc直3ターボエンジン
- 形式番号…KF型
- 最高出力…47kW(64PS)/6400rpm
- 最大トルク…100Nm(10.2kgm)/3600rpm
- 車重…910kg(4WDは+50kg)
- カタログ燃費(WLTC)…20.0km/L
- 燃料タンク…30L
【試乗】新型タントの乗り心地や走りの評価は?
ということで試乗記事の本題。新型タントの走りの評価を徹底的にレビューしていこうと思います。
結論から書くと、新型タントの「走り」はかなり向上してます。
DNGAシャシー採用でボディ剛性は先代タント比で+30%増しており、コーナリングでも不自然なロール感は随分と低減。路面追従性もそれなりに向上しており、背高軽でも嫌なグラつき感や不安感は少なくなってる印象を持ちます。
もちろん新型タントのようにここまで車体が高いと物理的にロール感をゼロにするのは不可能ですが、タイヤの接地感も高くて走行安定性にも優れる。街中程度であれば巨大な車体も意のままに操作可能。
新型タントの車体は軽量化されたものの、NAエンジンだとそれなりにもっさり感は個人的に感じますが、「ちょっとした登り坂なら軽い踏み込みで登れる印象」とはカートップの試乗レビュー。
トルクはそこまで太くなってないものの、「トルクの引き出し方」が上手に調整されたんだと思います。軽量化されたことも相まって、新型タントの体感的な加速感やドライバビリティが増したと評価する試乗の感想は少なくないです。
○新型タントの走りを改善させてるのは新型CVT?
そして、とりわけ新型タントの注目は「CVT」。
軽自動車では初の遊星ギアを用いてエンジンのトルクを駆動系に直接伝達させることで、変速比幅を拡大させることに成功。結果、新型タントのCVTは「8速AT並」のワイドレンジ化に成功。CVT特有の走りの違和感を減少。
「清々しいほどに大変身した期待以上の走り味に驚いた」と評価するのはカートップの試乗レビュー。「新型CVTのコンビネーションはアタマひとつ抜けた印象」とはベストカーの試乗記事。それぞれ高評価。
新型タントのアクセルレスポンスは目に見えて改善しており、静粛性も向上したことでホンダ・N-BOXを超えたと評価する感想も。もし実際に新型タントを試乗して走りが改善されてると感じたとすれば、それはエンジンよりもCVTの進化が大きく貢献してるのかも。
NAエンジンのトルク感は言っても知れてますが、ターボエンジンに試乗すれば感覚的には「新型タントの走りはほぼコンパクトカーに近い」と評価できそうです。「さらに痛快な加速」とターボの走りを評価するのはカートップの試乗レビュー。
○【試乗】新型タントの乗り心地は乗用車並?
続いては「乗り心地」の評価。街中でブイブイとかっ飛ばす人は少ないと思うので、おそらく大半の人が一番気になる部分が「乗り心地」のはず。新型タントの乗り心地は?
結論から書くと、新型タントの乗り心地はかなり改善されてます。
例えば、「乗り心地のしっかり感はもはや登録車」とはベストカーの試乗レビュー。「乗り心地のよさも特筆できるところ」とはカートップの試乗レビュー。とりわけ後席の乗り心地や居住性は改善されてる印象。
やはり新型DNGAプラットフォームの採用によって、路面からの突き上げ感などは随分と低減。またロードノイズなども全般的に抑制されており、そのことが新型タントの乗り心地の良さに副次的に貢献してるはず。
また新型タントはサスペンションはレイアウトから一から見直すなど、「サスペンションも滑らかに動く」とはカートップの試乗記事。
他にも車速に応じて操舵力の重さも適切に変更され、新型タントのハンドリング性能は素直そのもの。「絶妙な味付け」とは三栄書房の試乗記事。
だからプラットフォームなど特定のどこかが改善されたと言うより車体全般が改善されたことで、新型タントではドライバーの体感的な乗り心地や快適性が増してる感想を持つ人が多いのでしょう。
ダイハツ新型タント価格一覧まとめ
続いては「価格情報」をチェック。あくまで試乗記事ですが、購入の参考になる意味で一応確認。
- タントL…131万円
- タントX…146万円
- タントXターボ…156万円
- タントカスタムL…155万円
- タントカスタムX…167万円
- タントカスタムRSターボ…175万円
- (4WDは+12万円)
結論から書くと、ダイハツ新型タントの価格はやや値上がりしてます。
先代タントと同じグレード名で比較すると、新型タントは3~6万円ほど値上がりしてる印象。数万円ほど値上がりしてるエントリーグレード「L」の自動ブレーキ非装着車は先代タントと変わりませんが、売れ筋モデルはほぼ値上がり。
ただし、前述のように内外装の質感向上、新世代プラットフォーム採用による乗り心地の向上などを考えたら、この価格差はむしろお釣りが来るレベル。後述する安全装備の充実も新型タントは見過ごせない。
また当初値引きは期待薄と言われてたんですが、どうやら新型タントの値引きはそこそこ期待できるという情報も。そのため新型タントの乗り出し価格はトータル的に「ほぼ現状維持」と考えて良さそう。
【試乗感想】新型タントの安全装備は充実してるが…
続いては「安全装備」の評価。新型タントの安全性能はどこまで高まったのか?
結論から書くと、ダイハツ新型タントの安全性能はかなり向上してると思います。
例えば、カーテンエアバッグは全グレードで標準装備。一昔前の軽自動車ではそもそも搭載されてなかったり、最近では最上級グレードのみ標準装備という軽自動車も多い中、子育て世代には嬉しいでしょう。
また新型タントの上級グレードでは軽自動車初のアダプティブヘッドライトを標準装備。
アダプティブヘッドライトは対向車の部分だけライトを部分的に消灯することが可能。配光や光軸を調整することができる画期的な機能。4・5年前にようやく超高級車に採用されたものだってんだからすごい。
他にもハンドルを切った角度に応じて、ヘッドライトが照射する角度も変更される機能(AFS)も装着されてるのも軽自動車の中では異例。
○新型タントの予防安全性能は軽自動車トップクラスだが…
そして、予防安全性能も「次世代スマートアシスト」に進化。ダイハツは今回の新型タントからスマアシ2やスマアシ3といった数字を用いなくなった模様。
一応、スマートアシスト3がベースではあるものの、ステレオカメラが小型化されるだけではなく、カメラの精度自体が大幅に高まったことで「進入禁止の標識」も認識可能。
全車速域追従クルーズコントロール(ACC)やレーンキープアシスト機能も設定されるなど、新型タントは軽自動車の中では群を抜く安全性能。フルモデルチェンジ前はそこまで進化しないと読んでいた自動車メディアもありましたが、良い意味で期待を裏切ってくれました。
ただし、全車速域追従クルーズコントロール(ACC)やレーンキープアシスト機能などは「あくまでメーカーオプション」止まりになります。性能面ではホンダや日産に肉薄してるものの、最高級グレードにすら標準装備されてない。
つまり、新型タントの安全装備は充実してるものの、いわゆる次世代スマートアシストは標準装備ではない。全グレードや最高級グレードには少なくとも標準装備されてるホンダのN-BOXやN-WGN、日産のデイズと比べるとやや物足りなさは残ります。
ちなみに、ACC以外にも自動駐車機能なども備わった「スマートクルーズパック」は+約6万円高とか。決してめちゃくちゃ割高ってほどでもないので、ダイハツが何故そこまで踏み切る勇気がなかったのかは不思議。
【試乗評価】新型タント 口コミ感想評判まとめ
以上、カーギークによるダイハツ新型タントの試乗レビューでした。
今回の試乗の感想をまとめると、新型タントは乗り心地や走り、安全装備など全ての面で進化してる。デザインはそれなりに好みが分かれそうですが、ヘッドライトの光軸を自動的に動かすなど先進装備が装着されてるのも見逃せない。
そのため「今度の新型タントは二世代分の超進化」と新型タントを評価するのはベストカーの試乗レビュー。前評判こそそこまで高くなかったですが、新型タントを試乗すればしっかり良い意味で覆してくれたと誰もが感じそう。
例えば、電動パーキングブレーキが装着されてないことを批判する試乗の感想もありましたが、そこらへんは価格帯との兼ね合いもあったのかも知れない。逆に言うと、新型タントのネガティブな評価はそれぐらい。
ちなみに、新型タントの初期受注の動向を見る限り、ホンダ・N-BOXを上回るのはやや厳しい模様。
ただし、新型タントを試乗すれば乗り心地などは随分と改善されており、N-BOXのそれに匹敵するレベル。今後徐々に評判も広がって、新型タントも同様に普通車からの乗り換えユーザーも増えるはず。
コメント
タントのノーマルグレードのデザイン見て褒めてるのにN-WGNのノーマルグレードはダサいダサい言ってる意味が分からん
どっちも同じくダサいだろ?