ホンダが誇る世界戦略車といえば「シビック(civic)」。
アメリカのカーオブザイヤーにも選出された過去があるほど、シビックは世界的に人気。ただ残念ながら、2010年の8代目のフルモデルチェンジを機に、ひっそりとシビックは日本国内からは消滅しました。
しかしこのたび9代目をすっ飛ばして、2017年9月29日に10代目シビックが発売されたことが話題に。新型シビックの車体サイズはかなり巨躯だったため心配していましたが、話題が先行したこともあってか割りと受注が好調らしい。「ホンダ新型シビックの受注や納期目安」も参照。
そこで今回カーギークではホンダ新型シビックの試乗インプレッションをレビューしてみたいと思います。
インターネットや自動車雑誌の試乗記事などから、幅広く新型シビックの評判や口コミなどをまとめてみました。走り以外の使い勝手の良さなども含めて、総合的にシビックを評価してるので復活シビックの購入に迷ってる方は参考にしてみてください。
シビックセダンとハッチバックの違い
ホンダ新型シビックの試乗記事に入る前におさらい的に解説しておくと、シビックには「セダン」と「ハッチバック」の2グレードが用意されています。
両者の車体サイズを確認すると、シビックハッチバックが4520×1800×1435mm(全長×全幅×全高)に対して、シビックセダンが4650×1800×1415mm(全長×全幅×全高)。全長が違うのは当然として、全高はセダンの方が低い。
でも単に車体サイズだけが違うのかと思いきや、意外と両者の違いは大きいらしい。例えば価格の差が顕著。シビックセダンが265万円に対して、シビックハッチバックは280万円と価格差は15万円もある。
だから、どっちのシビックを選ぶか重要な点だと思うので、両者の違いを知っておいて損はない。
例えばリアを見ると、かなり違いが読み取れます。やはりシビックハッチバック(左)はセンター2本出しマフラーが目を引きます。「シビックタイプRの香りが濃厚」とするのはベストカーの試乗記事。
またタイヤのインチサイズにも違い(ハッチバックは18インチに対して、セダンは16インチ)があったり、全体的にシビックハッチバックの方がスポーティーなスタイルに仕上がっています。
他にも新型シビックの色んな試乗記事を読んでも、やはりタイプRと瓜二つのシビックハッチバックのルックスはクルマ好きにはそそる模様。自分もシビックハッチバックの方がどちらかと言えば好きです。
他にもセダンとハッチバックの間では細かい違いはあるものの、試乗面での違いなど場面毎にちくいち解説したいと思います。
新型シビックの内装インパネや室内空間の広さを評価
続いては新型シビックの内装インパネをチェック。
まずシビックハッチバックの内装インパネがコチラ。
カートップの試乗記事では「開放的で居心地のいいインテリア」と評価されているなど、確かに3ナンバーサイズだけあって左右の空間は広いです。先代シビックよりも後席空間も広くなっており、新型シビックの居住性はCセグメントカーとしてはトップクラス。
確かに200万円台後半という価格帯以上の質感があるかと言われると微妙な内装ですが、コンソールのシフト位置など操作性に優れている。アームレストコンソールボックスなど収納性も必要十分。
またシビックのシートはクッション性が高く、ホールド感が抜群。サイドサポートにも優れ、乗り心地は上々。他にも金属製のアクセルペダルが採用されていたり、新型シビックは「スポーティーさと上質さ、使い勝手が程よくバランスの取れた内装」とは評価できそう。
室内空間の広さはハッチバックとセダンで大差はないものの、実はシビックセダンの方がやや後方の頭上空間は余裕があります。一方、荷室空間に関してもシビックハッチバックが420Lに対して、シビックセダンが519Lと差は大きい。
そのため全体的な実用性の高さはシビックセダンに軍配が上がると評価して良さそう。ただ荷物の上げ下ろし自体はハッチバックが多少有利とか。ちなみにセダンとハッチバックでは内装デザインでも違いがあります。
具体的にはメーターパネル。
左の青色を基調としたメーターがシビックセダン、右の赤色を基調としたメーターがシビックハッチバック。「赤色」というシビックカラーに投影されているように、どっちかと言えばシビックハッチバックの方が走りを追求してる雰囲気で好き。
他にも加飾パネルでの細かい違いがあるんですが、逆にシビックセダンの方が全体的にはやや落ち着いた雰囲気。そこら辺の好みは任せます。
ハッチバックとセダンでエンジンスペックが違う理由
ということで試乗記事の本題。ホンダ新型シビックの走りはどうなんだ?って話。
ただ走りの面でもハッチバックとセダンに違いがあります。何故なら両方とも1.5L直4VTECターボエンジンを搭載しているものの、ハッチバックとセダンでエンジンスペックが異なるから。
具体的にはシビックハッチバックは最高出力が134kW(182PS)/6000rpm、最大トルクが220Nm(22.4kgm)/1700~5500rpm。一方、シビックセダンは最高出力が127kW(173PS)/5500rpm、最大トルクが220Nm(22.4kgm)/1700~5500rpm。
もっと分かりやすく大別すると、シビックハッチバックはハイオク仕様なのに対して、シビックセダンはレギュラー仕様。この燃料の違いがエンジンスペックの差として現れてる。そしてシビックハッチバックのみに用意されてる「6速MTモデル」の最大トルクは240Nm(24.5kgm)と更にパワフルな仕上がりにチューンナップ。
変速機の違いで、あえてエンジンの味付けを変えてきたのも面白い。やっぱりMT車を売るなら「走りの特別感」も同時に演出しなきゃいけないってことなんでしょう。新型シビックハッチバックは6MTもCVTも同じ価格帯(280万円)であるため、MTモデルが人気になるのも頷けます。
新型シビックの試乗の評価や評判は上々!!
ということで少し前置きが長くなりましたが、この新型シビックを一言で評価するなら、やはり「豊潤なトルク感」に尽きると思います。「1.5Lとは思えないほどにパワフル」と評価するのはカートップの試乗記事。
もちろん排気量的には2.2L NAエンジン並であり、新型シビックの車重もめちゃめちゃ軽量ってことではない。でもだからこそ「落ち着いた加速感」からもたらされる走りは楽しくもあり、マイルドな上品さも両立してる。
○新型シビックセダンは汎用性が高いツアラー【試乗評価】
例えばシビックセダンは、特に静かで爽快な乗り味が魅力。ホイールの内側に吸音材(ノイズリデューシング)を標準装備させてることも奏功。CVTはエンジン回転を低く抑えて走行するようにセッティングされており、それでいてレスポンスも良い。
そのためシビックセダンを「良質なツアラー」と評価するのはマガジンXの試乗記事。インプレッサに匹敵する重心の低さが生み出す走り味は、「固すぎず柔らかすぎない足回りと相まって、非常にスッキリしたハンドリングと乗り味」と評価するのはカートップの試乗記事。
反面ホットな走りは期待できず、マニュアル変速で味わえないのが残念という感想はあるものの、そこはパドルシフトで対応。Sモードを選択すると回転域が高まるため、十分すぎるほどキビキビと走ることも可能。
シビックセダンは実用性とクルージング性能が高い、実に汎用性に優れた3BOXセダン。
○新型シビックハッチバックは胸熱のホットハッチ【試乗評価】
一方、シビックハッチバックは、まさにキビキビと走り回るホットハッチ。フロントマスクの巨大なエアダクトも、前方排気のエンジンレイアウトも排熱や冷却のため。セダンにはない2本出しマフラーも心地良い快音を奏でてくれるため、想像以上にハッチバックとセダンとの加速フィーリングには違いがあります。
またシビックセダンより車重は50kg近く重いものの、ハッチバックはタイヤサイズが大きい(前述参照)ためグリップ力がアップ。FF車ながらアンダーステアが弱く、ハンドリングの限界性能が高い。そのためコーナリング性能の高さなど欧州車のホットハッチと比較しても、新型シビックハッチバックは全然引けを取らない。
シビックハッチバックは特に「6速MT」の評価も上々。
小気味いい操作性やシフトフィールは、間違いなくクルマ好きの心をくすぐる。「シビックタイプRという神のイメージが憑依して迫力十分」「ヒール&トゥを駆使して走れる希少なクルマ」と評価するのはベストカーの試乗記事。
どうしても新型シビックハッチバックの走りに特化させた結果、快適性が損なわれている側面はあるものの、それでも「むしろパワーを使い切れる分だけ気持ちいい」と評価するのはベストカーの試乗記事。
そういった部分も含めて、良くも悪くも「シビックハッチバックこそがシビックの本来の姿」と言えましょう。それだけ新型シビックハッチバックとセダンとでは、加速フィーリングや操舵フィーリングは別物。
トヨタ新型カローラスポーツ試乗レビューなども参照。
新型シビックのリアサスペンションが見事!【試乗評判】
そして新型シビックで特筆すべきは、足回り(シャシー性能)。特にリアサスペンション。
今回の新型10代目シビックから「マルチリンク式」へ進化したことで、先代シビックよりも路面追従性や乗り心地がアップ。フロントサスペンションもグリップ性能が高まったことで、トルクステアが少なめになり、新型シビックは大衆的なFF車とは思えない操縦安定性を生み出してる。
「もうステアリングを切った途端にウソでしょ?ってぐらいに曲がり、それでいて足は超しなやか」と評価するのは小沢コージの試乗。「これまでのシビックとは思えないほどよく動くサスペンションによる乗り心地とハンドリングの良さには感動した」と評価するのはベストカーの試乗。
どの新型シビックの試乗記事を読んでも、本当にリアサスが絶賛されています。
新型シビックのハンドルを切っても切っても、クイックに曲がってくれる操縦性の高さは玄人も素人もきっと満足。新型シビックは荒れた路面、曲がりくねったワインディングロードでも難なく乗りこなしてくれそう。新型シビックが苦手な道を探す方が大変なぐらいでしょう。
シャシー性能の高さは静粛性にも寄与するため、新型シビックの室内の静かさは200万円台後半の価格に見合ったクオリティーであることは間違いなさそう。そして最後は、新型シビックタイプRの試乗評価で終わりたいと思います。
続いては、新型シビックタイプRの試乗をチェック。既にノーマルシビックの時点でかなり走りは高評価だったわけですが、結論から書くと新型シビックタイプRの走りはもっとスゴいことになってましたw
「シビックタイプR」の内外装はノーマルシビックとどう違う?
新型シビックタイプRの試乗に触れる前に、まず簡単に内外装をチェックしておきたいと思います。
新型シビックタイプRの外装エクステリアがコチラ。ブ
レーキキャリパーなど全体に赤色が差し色として、車体全体にくまなく使われていることも先代シビックタイプRから続く特徴。また新型シビックタイプRはタイヤも20インチと巨大のため、ノーマルシビックハッチバックよりも更にスポーティーな雰囲気が増し増し。
また、リアの三本出しマフラー(エキゾーストパイプ)が目を引きます。いかに新型シビックタイプRの化け物エンジンを搭載してるかの裏返しだと思いますが、カートップの試乗記事では「スパルタンな力強いスタイル」とシビックタイプRの見た目を評価。
新型シビックタイプRの内装インテリアがコチラ。新型シビックタイプR専用メーターパネルも真っ赤に表示されてるなど、ちょっと悪趣味とも思えるレベル。
でも色だけじゃない。例えば専用シートもクッションの厚みが増してホールド性が高まっただけではなく、先代タイプRから10%ほど軽量化されているため走りの良さにも寄与しています。剛性感もアップしてるとか。
ただノーマルシビックの内装よりも間違いなく質感は上がってると思いますが、それでも450万円台という価格帯を考えると割高感は先代シビックタイプRよりは増したかも。あくまで走りが最優先のクルマ。ここらへんの「価格相応の質感」はあまり突き詰めて考えない方が良いんでしょう。
【試乗】シビックタイプRは完全なレーシングカーw
続いては誰もが気になる新型シビックタイプRの走りの評価を見てましょう。
結論から書くと、まさに新型シビックタイプRの走りは極上レベル。加速の気持ち良さも相まって、どんなに厳しいワインディングでもタイヤが吸い付くように走り、吸い込まれるようなコーナリングでの走りはもはや異次元。
新型シビックタイプRのスペックを見ておくと、搭載エンジンは2.0L直4DOHCターボエンジン。最高出力が235kW(320PS)/6500rpm、最大トルクは400Nm(40.8kgm)/2500~4500rpm。変速機は6速MTのみ。
先代比で最高出力は10馬力程度しか増えてないものの、新型シビックタイプRの吹き上がり感は実にマイルド。先代タイプRは超高回転域までぶん回すカルト的なエンジンでしたが、新型シビックタイプRはクロスレシオ化された6速MTも切れ目ない加速感は日常のシーンでも楽しめる。
新型シビックタイプRの上品なトルクの出方は、ノーマルシビックのそれを遥かに上回る。運転が上手い人ほど新型シビックタイプRの限界値を引き出せそう(ただしリミッターがあるため時速187km/hしか出せません…涙)。
特に新型シビックタイプRは、中高速からの加速の伸びが良い。ベストカーの試乗では「新型シビックタイプRはスバル・WRX STIやルノー・メガーヌよりもパワフルで扱いやすい」と評価。
新型シビックタイプRは三本出しマフラー(真ん中のマフラーは消音に特化)も加速感を更に演出し、体感的な加速感の爽快さやエンジン音は体と心にぶっささる。まさに「いいクルマになったことは誰の目にも明らか」と胸のすく加速を気持ち良さを評価するのは、やはりベストカーの試乗記事。
シビックタイプRの乗り心地の評価はどう?
今回の新型シビックタイプRでも3つのモードが用意されています。
「コンフォート」はシビックセダンと同様にマイルドな乗り心地を体現するため長距離ドライブでもストレスフリーと評価する試乗記事などもありますが、特に「+R」では走りのパンチ感は少ないらしい。
そこをもってベストカーの試乗では「いい子になりすぎた」とネガティブな評価がされていますが、新型シビックタイプRの「大人向けの味付け」をどう解釈するかはユーザーの判断に任されそうです。
そして、新型シビックタイプRでも足回りやシャシー性能が絶賛。やはりどの試乗記事を読んでも、特にリアサスペンション(マルチリンク式)の優秀さに言及。
特にアジャイルハンドリングの制御も相まって、「ステアリング操作どおりにノーズがスーッとインを向き、インを舐めながらアクセルを深々と踏み込み加速しても外へはまらない」と評価するのはカートップの試乗記事。
先代シビックタイプRよりも格段に剛性感の高いボディやブレーキは更に強化され、運動性能そのものがアップ。新型シビックタイプRの強力なダウンフォースを発生させる巨大なリアウィングは、更に空力性能と操縦安定性に寄与。
もはや「200km/h以下では何事も起きない安定性」が確保されてると評価するのはカートップの試乗記事。本当に新型シビックタイプRは時速280km/h前後を基準に作られており、ニュルブルクリンクFF最速は伊達じゃない。
まさに「新型シビックタイプRはレーシングカー」と表現すべきクルマ。逆に中身が色々とすごすぎて、日本の道路では新型シビックタイプRの限界値をどうあがいても引き出せないのが悩みなぐらい。
ホンダ新型シビック 試乗の評判・口コミ・感想まとめ
以上、ホンダ新型シビックの試乗評価でした。走りの性能アップが素直に乗り心地の良さに繋がっているなど、これぞ「クルマのあるべき進化」。
確かに車体サイズはCセグメントカーとしてはやや大きい部類に入るものの、走りや加速感の「ちょうどいい余裕感」も相まって、新型シビックのサイズ感は素直に「メリット」として受け止めて良いのではないか。AセグやBセグではないのだから。
新型シビックはさしずめ「上品なアメ車」と解釈すれば、200万円台後半という価格帯にも納得感がいきそう。例えば新型シビックセダンを「大人しくて存在感は薄め」だが、「サイズのわりに割安感がある」と評価するのはベストカーの試乗記事。
ACC機能付きホンダセンシングも標準搭載されており、画像のように対歩行者に対する先進安全装備も搭載。スバル・インプレッサなどに対抗するものと思われますが、近年求められる安全性能の高さも十二分に確保。
かなり好みが別れるクルマではあるものの、実は新型シビックの商品力にスキはない。スバル・インプレッサが相変わらず売れていますが、そのサイズ感や走りで満足が行かない中高年ユーザーこそ新型シビックを選ぶべき。きっと非常に刺激を与えてくれる日常の足車として非活躍するに違いない。
ハッチバックとセダンは結局どっちがオススメ?
最後は新型シビックの「独断と偏見」の買い方で終わります。
もし価格の安さや荷室空間の広さなど総合的に選ぶなら新型シビックセダン。15万円の価格差は無視できないものの、逆に走りをメインに据えるなら新型シビックハッチバック。それだけセダンにはない魅力が詰まっており、やはりシビックタイプRの血脈は非常に魅力。
そこから更に純粋に走りを重視するなら、もっと豊潤な馬力やトルク感を持つシビックハッチバック(6速MT)。もしMT操作が特別苦手じゃなければ、シビックハッチバックを買うなら値段は変わらないMT一択でしょう。
一方、新型シビックタイプRもノーマルハッチバック(6MT)並に売れてるそうですが、確かに500万円内でレーシングカーが買えると思えば安いものか。リミッター解除されてないのは残念ですが、とにかく一般道では完全な化け物です(笑)
ちなみにノーマルシビックと同エンジンを搭載した【感想】ホンダ新型CR-V試乗レビューなどもご参照。
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