自動車の駆動方式は一般的に「2WD」と「4WD(AWD)」の二つに大別されます。
前者は二輪駆動、後者は四輪駆動。そのまま2つのタイヤを回転させて走行するか、4つ全てのタイヤを回転させて走行するのかの違い。だから2WDよりも4WDの方がカタログ燃費は数%から最大20%ほど悪い数値を示していることがザラです。
例えば新型ワゴンRの「ハイブリッドFZ」だと4WDモデルはマイナス3km/L程度悪化してる。そのため多くのドライバーさんは「4WD≒実燃費が悪い」というイメージを持っていると思います。
そこで今回は「4WD車は本当に燃費が悪化するのか?」を簡単に考察したいと思います。ただ結論から書くと「4WDだからといって実燃費が極端に悪化するわけではない」というのが答え。じゃあその理由は何故なのか?
4WD車は必ずしも四輪が駆動しているわけではない
理由は至ってシンプル。
何故なら「4WD=四輪全てが駆動する」わけではないから。「何を言ってるのか分からねーと思うが」という漫画ジョジョの名言が一瞬頭によぎった方もいるかも知れませんが、実は4WDにも様々なシステムが存在します。
ざっくり大別するなら「フルタイム4WD」と「パートタイム4WD」の二種類。
前者のフルタイム4WDはまさに読んで字のごとく、「常に4輪駆動で走行」する駆動方式。当然四輪全てで走行し続けるため、大量の燃料を消費する。また車重も重くなりがち。一般的に想像される4WDはコレだと思います。
パートタイム4WDであれば実燃費は目立って悪化しない
ただ、逆に後者のパートタイム4WDは「たまーーに4輪駆動で走行」する駆動方式。例えばぬかるんだ雪道などでタイヤが空転しそうな時にだけ、パートタイム4WDは後輪タイヤを駆動させる。
つまりパートタイム4WDは普段は2輪で走行するため、基本的に実燃費は2WD車とほとんど変わらないと考えていいと思います。最近は電子制御システムが導入されるなど一昔前のパートタイム4WDより優秀になっています。
だから雪国では4WD車が重宝されるのも、そういった理由から。実際カタログ燃費であっても、スバル・インプレッサ「2.0i-S EyeSight」だと2WDと4WDの燃費差はわずか0.2km/L。マツダ・CX-5「XD」でも燃費差は0.4km/L程度しかありません。
じゃあ最近の自動車の多くはどっちを採用してるのかというと、後者の「パートタイム4WD」。そのため「4WD車が実燃費が悪化する」という説はそれだけでも正確ではないことが分かると思います。
4WDは車重が重くなるため実燃費はやや下がる
ただじゃあ完全に間違いかというと、それも違う。やはり4WD車はそれだけで実燃費には影響は多少なりとも悪影響を与えます。
何故ならパートタイム4WD車であっても、やはり2WDよりも車重がやはり数十kg程度は重くなってしまうから。4WD車でもほとんどは2WDで走行するからと言って、当然後輪タイヤに駆動力を伝える装置が新たに必要。
一般的に自動車は前方にエンジンが配置されているため、その駆動力を後輪に伝えるために「センターデフロック」や「トランスファー」が具体的に搭載しなければいけない。だから4WD車はそういった特別な装置を搭載する分だけ、どうしても車重が2WDより重くなる。
下手すると大人一人分ぐらいの車重が増加してしまうかも。言うまでもなくクルマは軽量であればあるほど低燃費を叩き出せる乗り物。そのため、もし同じ条件だと2WDと4WDを計測すると相対的に不利になることは間違いないと思います。
とはいえ数十kg程度の増加は、普段乗りでは誰か同乗者を乗せるたりして往々にしてあること。だから長々と講釈を垂れたものの、なんやかんやで4WD車だからといって実燃費差なんてものはそこまで意識しなくていいと結論付けて良さそうです。
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