自動車の売上はどうしても新車販売ランキングばかりが目に付きますが、一方で「中古車市場」もかなりの規模を誇ります。
例えば、世界最大の自動車市場を誇るアメリカでは年間4000万5000万台の中古車が販売されているそう。新車販売が年間1500~1900万台程度ですから、われわれ一般ドライバーからすると中古車の方が身近な存在と言えそう。
一方、発売されたばかりの新型車が中古車市場や中古車オークションに流れることも多いです。いわゆる「新古車(未使用車)」などと呼ばれるそれは、走行距離は10kmも満たなかったり、シートにビニールカバーがかかったものなど明らかに新型車。
じゃあ、何故発売直後の未使用の新車が中古車市場に流れるのか?正規の販売客への納期が遅れる可能性もあるのに、販売ディーラーや自動車メーカーに一体どういったメリットがあるのか?
主な理由は新車販売台数の水増しだが…
さっそく結論から書くと、一般的に言われてるのは新車販売の「水増し」が主な理由です。
ディーラー側はメーカーに一定の販売目標が課されており、中古車市場にまとめて販売した方が確実に目標を達成できる。いわゆる自社登録さえすれば、「実質的に販売してしまった」ようなもの。
ただし、前述のように最近は生産工場から直送されたような未使用車も少なくないため、必ずしも販売ディーラーのみの判断とは思えない。メーカー側にも中古車市場に意図的に流す狙いやメリットがありそうです。
そこで新車を未使用中古車として流通させるメリットを考察していこうと思います。
新型車の「宣伝」に繋がる?
まず一つ目の理由は「新型車の宣伝」が挙げられそう。
何故なら、みんながみんな新車のリリース情報に詳しいとは限らないから。とりわけ中古車しか買ってないような人からしたら、いつどこのメーカーからどんな新型車が発売されたか知らない人も多そう。
ましてや特定のメーカーの特定の車種を購入するために、わざわざ特定のディーラーに足を運ぶとは限らない。少なくとも、各自動車ディーラーに足繁く通うドライバーがどれだけいるかは疑問です。
でも中古車ディーラーであれば、一度に色んなメーカーの車種を確認できる。販売ディーラーの数が少ない自動車メーカーからしたら、もはや中古車ディーラーは垣根を超えた「格好の新車のアピールの場」になってるのではないか?
結果的に販売網を広げるメリットも?
続いて二つ目の理由は「販売網の増加」が挙げられそう。
前述のように、中古車ディーラーは色んなメーカーの自動車が一挙に並んでる状態ですから、本来は訴求できないお客にもアピールできる場所。トヨタ車にしか興味がない人でも日産車やスズキ車、ホンダ車も売り込むことができそう。
つまり、自動車メーカー側からしたら「新たな販売網を広げるチャンス」でもありそう。新車を購入するような人は最初からある程度知識と興味を持ってるでしょうから、中古車ディーラーで色んな車種を知る人も少なくなさそう。
一方、これまでずっと中古車しか購入してなかった人に対しても、その未使用車は「そのまま新型車の魅力を直接伝えられるメリット」がある。もちろん未使用車は価格的なメリットは薄いので実際に売れるかは別として、販売チャンスを広げる意味で悪くはない手法。
そのためここまで普及してることを踏まえると、もはや「単純な販売台数の水増し」とは片付けるのは無理がありそうです。結果的に「中古車ディーラーという新たな販売網が広がってる」と言えるのかも知れない。
だから、トヨタが既存の複数存在したディーラーの垣根をなくしたように、新車販売でもそもそも「メーカーの垣根」にこだわる時代でもないのか。例えば、新車販売ランク上位10車種だけ取り揃えたディーラーを作れば人気が出そうです。
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