先日、「金融車の危険性まとめ」について解説しました。聞き馴染みがあるようでない言葉ですが、簡単に言えばいわくつきの中古車のこと。
やはり金融車に限らず、前の所有者が一体どんな人物なのか買い手側には分からない「中古車の購入」には様々な不安が生まれがち。もしかすると事故車の可能性もあるんじゃないか?といった心配も。
そこで今回カーギークでは「新古車(しんこしゃ)」について解説してみました。中古車ディーラーの新聞チラシなどでよく耳にする言葉ですが、新古車のメリットやデメリットを解説してみようと思います。
少しでも中古車購入の参考になれば幸いです。
新古車の意味とは?中古車との違いとは?
まず新古車の意味を解説しようと思います。
新古車とは、「新車同然の中古車」のこと。一度も所有されたことがないため、中身は新車のままと言っていい。そのため中古車ディーラーでは「新車保証付き」といった文言で販売されていることも。
だから、あくまで新古車は「中古車の一種」であるということ。基本的に新車という扱いではないため注意。
○新古車の別の言い方は「未使用車」
そのため新古車は「未使用車」と別の言い方をされることもあります。むしろ新古車より未使用車の方が聞き馴染みがある人が多いかも。まさに「誰も乗ってませんよ」という意味では未使用車の方がしっくり来る表現かも。
だから厳密に言えば、新古車は「未使用中古車」とでも言い換えるのが一番感覚的に理解しやすいかも知れません。ちなみに新古車も未使用車も同じような意味合いで使用されており、特に用語の意味に大きな違いはありません。
○新古車や未使用車に「定義」は存在しない
でも気になるのは「新古車」や「未使用車」の定義。なにか法律で具体的に線引がされており、消費者保護の観点でなにか規制されているのか?これから中古車を買う人にとっては気になるはず。
ただ結論から書くと、新古車の「定義」は明確に存在しないというのが答え。未使用車の定義も同様。そのため車両が「何キロまで」であれば新古車を名乗っていい…といったの法的な定義はなし。
そのため現状は中古車ディーラーの胸三寸。
さすがに6000キロを超えるような新古車は、新古車の在庫を抱えるメリットが中古車ディーラーにはないので、無理矢理値引きしてでも売っていると思いますが、おそらく1000キロを超える新古車もあると思います。
だから「新古車」「未使用車」は消費者の誤解を招く表現からして問題になってることも少なくないんですが、新古車のメリットやデメリットについては後述。
○新古車を英語で言うと?認定中古車=未使用車?
だからグーグル翻訳を使って、新古車を英語に直訳してみると「a new car」でした。まさかの「新車」という意味に笑ってしまいました。それだけ新古車を英語で適切に代替すべき言葉がないんだと思います。
そこでカーギークによる造語になりますが、新古車を英語で勝手に訳すなら「a Half new car(半分新車)」。もしくは「a Latest used car(最新中古車)」あたりが適切かなぁ…と想像してみる。
ただいろいろと調べてみると、アメリカでも新古車や中古車が存在する模様。実際アメリカでは「Pre Owned Vehicle」と呼ばれており、これを日本語にそのまま直訳すると「所有する前の自動車」。非常にわかりやすい単語。
そのため「新古車」は日本独特の文化かと思いきや、例えば輸入車ディーラーで販売されている「認定中古車」も立派な未使用中古車にカテゴライズされるそう。確かに中古車売買ビジネスは海外の方が盛ん。
新古車はネガティブなイメージこそあるものの、むしろやっと日本が世界に追いついた感があるのかも知れない。
【解説】新古車は何故販売されるのか?
じゃあ、新古車は何故中古車ディーラーに出回っているのか?という話。
個人が中古車ディーラーに下取りする場合、その時点で既に「一度所有」されている計算。そのため正規の自動車ディーラーが中古車ディーラーにそのまま卸さないと、基本的に新古車は生まれない。
つまり新古車が生まれる大きな理由が「正規の自動車ディーラー」の存在にある。簡単に言ってしまえば、「販売実績を水増ししたい」というディーラーやメーカーの思惑が新古車が生まれる大きな背景にあります。
最近は新車販売の過当競争が進んだ結果、自動車メーカー側からディーラー側に販売奨励金が渡されるケースも多い。スマホなどでも問題になりましたが、自動車でも同じような事情があるらしい。
他にも自動車メーカーの「工場の稼働率を維持する」という目的も。当ブログでは期間工に関する記事も執筆済みですが従業員の雇用を維持するのは言うまでもなく、短期雇用であるがゆえに休みが増えると生産技術なども劣る。
そのため一部の自動車メーカーなどは「新古車」に群がったカタチ。
実際には消費者に新車を販売できなくても、ディーラー自ら新車登録してしまえば販売実績に繋がる。もちろん新車登録したクルマは消費者に販売できないので、そのまま中古車ディーラーに卸すという流れ。
○新古車はいつ頃から増えだした?
新古車がいつ頃から増えだしたのかというと、時期的には2000年以降。更に言えば、販売競争が苛烈になったここ5年10年は顕著に新古車や未使用車が多く出回っている印象。
もちろん昔から新古車や未使用車は出回っていました。試乗車や売れ残りや注文がキャンセルされたクルマなどは中古車ディーラーに流れていたと思うんですが、それでも意図的に中古車ディーラーに流す新車ディーラーは少なかった。
でも現在は中古車に回すために新車ディーラーが存在しているような節もあるぐらい。まさに本末転倒。
○【買う時期】新古車を手に入れるにはいつの時期が最適?
だから新古車が多く出回る時期は、やはり自動車ディーラーが露骨に水増ししたい時期になります。
具体的には「3月」などの年度末。特に新車が売れる時期でもあるため、各自動車メーカーがそこで新車販売ランキング1位を獲得できるかどうか躍起になっておられる。
もしくは逆に8月など新車が売れない時期。販売台数が下がる分を新古車で補う可能性も。
ただ言ってもアベノミクス効果もパッとせず、新車販売はそこまで盛況ではないため、新古車は年中いつでも出回っている雰囲気。かなり新古車が出回ってる今、特定の時期などは意識しなくて良さそう。
新古車は「軽自動車」に多いが…
だから乱売が多くなる「軽自動車」に新古車が多い。軽自動車だとスライドドア系の新古車も多い。
特に一時期スズキとダイハツの販売戦争は苛烈でした。タント、ワゴンR、ミライース、アルト、キャスト、ウェイクなど、年度末を中心に非常に多くの新古車や未使用車が中古車に出回りました。
最近では、ホンダ新型N-BOXが「新車販売1位」の座を欲しさに、もちろん実際に人気で評判は良いものの、大量のN-BOXの新古車が出回っているという噂もあります。
ただ普通車でもセレナやトヨタ車でも、中古車ディーラーの広告チラシを見ると、ちょこちょこと新古車を見かける機会も増えました。台数がさばけないコンパクトカーだけではなく、アルファードあたりの新古車なども散見されます。
そのため最近は軽自動車問わず、車種は問わず新古車や未使用車が出回っていると考えていいでしょう。
【探し方】新古車のメリットとデメリット
最後は新古車の「メリット」と「デメリット」を解説して終わります。もし中古車を購入するのであれば良質な新古車がいいのか?おすすめの新古車を探すにはどうすればいいのか?
○新古車のメリット・お買い得ポイント
まず新古車のメリットは「売値が安い」こと。
新古車の中身は新車同然ではあるものの、あくまで中古車のため新車の価格よりも安い。これはまさにお得以外の何物でもない。新古車の相場価格としては、おおむね3~10%前後ほど安い。
また新車ディーラーと違って、目の前の現物がすぐ手に入る。そのため他の中古車と同様に、新古車は「納期」が極めて短いこともメリット。まさに契約すれば新古車はすぐ手に入れることが可能。
○新古車のデメリット・注意点・問題点
ただ新古車のデメリットも「価格」。何故なら、新古車は車両の状態が新車そのものであるため、逆に考えれば車両価格を大幅に値下げしようがない。そして値引き・値切り交渉する余地もない。
結果、新古車の相場価格は言うほど安くならない。特に軽自動車はもともと利幅が薄いため、軽自動車の新古車価格の相場は「ほぼ新車価格並」と考えてもいい。また車両価格以外の「諸費用」がかさむこともあるため購入時には注意が必要。
また新古車は納期が短い分だけ、逆に「車検になるまでの期間が短い」こともデメリット。
何故なら既に新車登録してしまっているため、店頭に並んでる時間が長いほど刻一刻と車検期間は目減りしていくカタチ。例えば一年落ちの新古車や未使用車であれば、その1年分だけ新車で購入するよりも車検が早く来てしまうということ。
つまり、新古車は言うほど「コスパは良くない」ということ。
そして名義変更手続きなど諸経費は意外とまちまちであるため、新古車は総支払額も変わってくる。中古車ディーラーにある在庫が全てのため、自分が欲しい新古車を探すには「足かネット」で時間を掛けて探す必要もある。
そのため「新古車≒めっちゃお得」ということでもなく、しっかり安く購入したいなら見積りなど自分で頑張る余地が意外と大きいのが新古車になります。だから新古車選びに疲れた場合、素直に欲しい新車を購入しちゃいましょう。
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