2019年12月18日、イタリアの「FCA(フィアット・クライスラーオートモービルズ)」とフランスの「PSA(旧プジョー・シトロエン)」が対等合併することが正式に発表されました。同年3月時点でPSA側が持ちかけてたとされており、まさにスピード展開。。
現時点で統合後の社名がどうなるか不明ですが、FCAとPSAの2018年の新車販売台数を合算すると約871万台。フォルクスワーゲングループ、ルノー日産、トヨタグループに次ぐ規模を誇る世界4位の巨大な企業連合が誕生します。
やはり電気自動車や自動運転技術などメーカー側の開発費の負担は膨大になっており、FCAもPSAもプラットフォームを共用化させるなどコスト削減を図っていくのが大きな狙い。FCAはマセラティやジープといったブランドを抱えてますが、とりわけ売れ筋のコンパクトカーのシャシーを集約していくそう。
一方、FCAと言えば2019年初夏にルノー日産との統合話が話題にもなりました。もし実現していれば1500万台を超える最強の企業連合が誕生していた。そこで当然気になるのは「日産自動車」の動向や行方。FCAは積極的に規模の拡大を図っており、再びルノー側に接触していく可能性は高い。
じゃあ、日産にとって今回の対等合併は朗報なのか?
日産自動車にとっては朗報?
結論から書くと、日産自動車にとっては有利に働くのではないか?と予想してみる。
何故なら、かつてFCAとルノーの経営統合が御破算になった理由は「関係性」の問題が大きそうだから。今回、敢えてFCAとPSAが「対等合併」と高らかにアピールしてるのは、ルノーに対する当てつけが大きそう。
やはりルノーは大株主の「フランス政府」がしゃしゃり出てくる自動車メーカーであるということ。FCAとの統合話ではイタリアの副首相が「新会社の株式をイタリア政府も取得する」と明言するなど、フランス政府は「自身の影響力」が弱まるのは嫌。
一方、ルノー単体の規模はせいぜい年間300万台から400万台。今回FCAとPSAが合併したことでルノーの販売台数を遥かに上回る自動車メーカーが誕生したことで、相対的にルノーの影響力や発言力が弱まることは間違いない。FCAにとってもルノーより、日産の技術と商品が本命。
そのため日産自動車にとって「対等」や「融和」を重視するFCAとPSAは渡りに船なのではないか。
日産側もトヨタを遥かに上回る「規模の拡大」は開発コスト・商品コストを大幅に引き下げられるため、下手すると日産がルノーをFCA側に付くなんていうウルトラCもある?少なくとも、日産自動車にとっても「ルノーに対する牽制球」となるのか。
ただし、政府当局の承認との兼ね合いでFCAとPSAが正式に合併するのは1年以上の時間を要するとのこと。逆に言うと、その間は再びルノーとの統合話が大きく持ち上がる可能性も低そう。どのみち日産にとっては茨の道が続くことに違いはなさそう。
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