【2021】自動車業界 相関図・関係図一覧まとめ最新版【グループ再編の歴史】【画像あり】

自動車市場は世界一大きいマーケット。一台あたり最低でも100万円以上する商品が、日本国内だけでも毎年500万台前後が売れてる。中国の自動車市場は年間3000万台にも迫る勢い。自動車に付随する関連の業界も市場規模は大きいです。

一方、最近は自動ブレーキといった予防安全技術の開発を求められるなど、近年における自動車開発は莫大な資金が必要になってきております。排ガス規制は昔から声高に叫ばれてるだけあって、自動車業界における再編の歴史も非常に古い。

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(フラッシュ2018年5月26日号/光文社)

そこで今回カーギークでは「自動車業界における相関図や関係図」の最新版をまとめてみました。

トヨタグループ…自動車業界関係図

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(ベストカー2018年5月26日号/講談社)

まず最初は「トヨタグループ」を解説。割と歴史が長いです。

トヨタグループ傘下には「ジェイテクト」や「豊田自動織機」「アイシン精機」「デンソー」といった有名な自動車部品メーカーも多い。今回の相関図では自動車関係に絞ってますが、住宅メーカーのトヨタホームもトヨタグループだったりします。

トヨタ自動車の子会社には「ダイハツ(2016年に完全子会社)」と「日野自動車」があります。日野はトラックなどを製造してる自動車メーカー。トヨタが株式の50%ほど出資。ただトヨタは売上の割に、意外にも子会社はわずか2社にとどまります。

世界新車販売ランキングでトヨタが2位や3位に甘んじる機会も多いですが、「連結子会社の少なさ」も要因。後述しますが、世界では「傘下のブランド」を数多く抱えてる自動車メーカーも多い。逆に言うと、自動車メーカー単体で最も販売台数が多いのはトヨタ自動車。

2020年のトヨタグループ全体の世界新車販売は953万台で1位。

スバルもついにトヨタグループ入りへ

一方連結子会社ではないものの、トヨタ自動車と技術面・資本面で協業している自動車メーカーは多い。

例えば、「マツダ」との関係性。トヨタはマツダの株式を5%、マツダはトヨタの株式を0.25%ほど持ち合う関係。他にもトヨタ自動車はBMWとスポーツカーの分野で共同開発を行っており、2019年春に発売された新型スープラもBMWが開発製造してる。

またトヨタ・86(スバル・BRZ)に代表されるように、トヨタ自動車はスバルの株式を16.8%ほど取得済み。86もスバルが開発してることで有名。ちなみに、3代目86はトヨタ自動車単独で開発するという噂も。

そして2019年9月27日、トヨタは700億円以上追加出資して、スバルへの出資比率を16.8%から20%以上に引き上げることを決定。そのことでスバルは持分法適用会社となって、連結子会社ではないものの実質的にトヨタグループ入りします。

スバルの経営の直接的な関与や影響力が強まる一方、スバルもトヨタの株の取得比率を上げることでEVや自動運転技術分野での相互関係が強まります。

電気自動車分野で協業先を増やすトヨタ自動車

スバルを取り込むメリットがそこまであるのかと思いきや、やはり86とBRZを共同開発していただけあってトヨタ自動車は本気でした。

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2019年6月6日、トヨタ自動車はスバルと「EV(電気自動車)」を共同開発してることが判明。その後、EV用プラットフォームのe-TNGAを採用した「bZ」シリーズを2022年以降に発売することが発表されます。合計7モデルの新型EVが投入されていきます。

トヨタの研究開発費は1兆1000億円に対して、スバルは1200億円。明らかに規模面でスバルは劣りますが、トヨタの研究開発費にも限界がある。自動車メーカー一社でEV分野を切り開くのは難しいこともトヨタの幅広い提携関係から読み取れます。

事実、2021年5月1日には、トヨタ自動車はスズキとダイハツとEV(電気自動車)を共同開発することを発表。主に軽自動車向けですが、コンパクトカー向けのEVも含みます。スバルとは大きめのEVを共同開発を進めているため上手に棲み分けできてる。

だから今後、スズキとダイハツの軽自動車EVは中身が統一化される可能性大です。軽自動車向けEVに限っては、「トヨタ連合」「日産三菱連合」「ホンダ(GM)」という三つ巴の構図ができあがりつつあります。

電気自動車開発の提携関係は豊富

そのため電気自動車開発において、トヨタ自動車の提携関係は豊富。2019年1月22日、トヨタ自動車はパナソニックと共同で「EV用の角形車載バッテリー」の生産会社を設立すると発表。お互いの出資比率はトヨタが51%、パナソニックは49%とほぼ対等な関係性。

トヨタ自動車はパナソニックの既存の生産設備を利用し、車載電池の価格を抑えて価格競争力を引き上げる狙いがあります。RAV4 PHVに同バッテリーが搭載されるなど、パナソニックは「自動車業界」という最強の市場に更に食い込みたい。

電気自動車普及の課題でも触れましたが、トヨタ自動車は「全固体電池」の開発もパナソニックと共同で行っております。2021年現在全固体電池の発売も近いとされますが、他にも2019年に中国大手のバッテリーメーカーの「CATL」と「BYD」とも手を組んでる。

実はEV分野では中国の自動車メーカーは最先端を走っており、トヨタは電池供給以外にもバッテリー技術も中国のEVメーカーから欲しい。年間兆円規模で研究開発費を投じるトヨタ自動車でも単独でのEV開発は難しい裏返し。

マツダと立ち上げた「EV CAスピリット」がスタート?

またトヨタ自動車は2017年に、マツダと「EV C.A. Spirit(EVCAS)」という電動化技術の基盤開発を目的とした合弁会社も設立してました。他にも大手自動車サプライヤーのデンソーも参加。それぞれの出資比率はトヨタが90%、マツダとデンソーがそれぞれ5%ずつ出資。

ちなみに、マツダはアメリカの自動車メーカー・フォードと1979年から続いていた資本提携を2015年に終了してたんですが、中国など一部自動車市場においてはフォードとの合弁事業が続いております。

このEVCASには2018年にスバルやスズキ、ダイハツ、日野自動車なども参加。EVに関する共通アーキテクチャを開発してた。トヨタは普通車全般、スズキは小型車全般、いすゞ自動車は商用車全般といった具合に分業化。e-TNGAも開発していたとされます。

既にEVCASは2020年6月をもって開発終了してますが、既にスバルとトヨタはSUVのEV車を共同で開発するなど、このEVCASの技術や知見が応用されているに違いない。だから「EV C.A. Spirit」がトヨタ自動車のEV関連の提携の根幹にあった。

トヨタ主導でBEV技術のコモディティ化を進めていき、他の自動車メーカーも共用していく…という考え方は早い段階であった。トヨタを筆頭に日本の自動車メーカーはEV関連での開発が遅れてると言われがちですが、足元ではしっかり開発が進んでいるのが現状です。

トヨタとスズキはOEM供給しあう関係性

続いては「トヨタ自動車とスズキとの関係性」。

2016年10月、トヨタ自動車はスズキが業務提携を発表。その後、2019年3月にお互いに車両をOEM供給することを発表。トヨタ自動車からスズキには「ハイブリッドエンジン」を供給。ヨーロッパ向けにRAV4とカローラツーリングをOEM供給してます。

今後インド市場向けにCセグメントサイズのミニバン(MPV)を新たに共同開発する予定。ヨーロッパ向けの新型ガソリンエンジンの生産をスズキが行って、スズキが開発した新型ガソリンエンジンをトヨタ車に組み込む話もあります。

一方、スズキからトヨタ自動車にはシアズとエルティガ、バレーノといった車種をインド市場やアフリカ市場でOEM供給する予定。他にもスズキのビターラプレッツァをトヨタ自動車がインドでノックダウン生産(KD生産)したりします。

スズキもトヨタ自動車の傘下に入る?

またトヨタ自動車とスズキ自動車は2019年8月28日に「資本提携」を結ぶことを発表。それまでトヨタとスズキの関係性は業務提携止まりだっただけに、いよいよ資本関係にまで踏み込んだことで話題になりました。

トヨタはスズキの株式を960億円(5%程度)を取得し、逆にスズキはトヨタの株式の480億円ほど取得してお互いの株を持ち合う関係になりました。トヨタの時価総額は22兆円前後ですから、パーセンテージに換算するとスズキの影響力は0.1%未満。

トヨタとの関係がそれまで良好だったことに加えて、環境技術と自動運転技術など先進技術の開発が迫られる中、中小自動車メーカーのスズキは思い切った経営判断に踏み切る。ただし、今後スズキがトヨタの子会社になるとは独禁法など法律面からも考えにくそう。

トヨタ自動車といすゞは2018年に提携解消済みだが…

続いては「いすゞ自動車」との関係性を解説。

トヨタ自動車は2006年からいすゞ自動車に6%ほど出資。いすゞ自動車はアメリカ・ゼネラルモーターズ(GM)と1971年から2006年まで資本提携を結ぶなど、それまでGMの関連会社だった。この関係性が終わったことでトヨタ自動車がいすゞに近付いた。

しかしながらお互い相乗効果を残せなかったことを理由に、2018年8月3日、トヨタ自動車といすゞの資本関係が終了します。お互いケンカ別れしたわけではないものの、トヨタが持つ全株をいすゞに最大800億円で売却しました。

その後、いすゞ自動車はアメリカのエンジン大手のカミンズと提携。カミンズの主力は大型トラック向けのディーゼルエンジン。一方、いすゞは中小型トラックのエンジン開発を得意としてる。トラック関連のメーカーでも生き残りを模索していることが分かります。

トラック市場におけるトヨタの影響力

ただし、トヨタ自動車といすずの一部の協業関係は続く。そこで2021年3月24日、トヨタといすゞが再び資本業務提携を結ぶことが発表される。トヨタはいすゞの株式を所有割合で4.6%ほど再び取得。バンやピックアップトラック、小型トラックの分野を強化。

またトヨタは80%、いすゞと日野で各々10%ずつ出資して、商用車分野でのCASE技術を企画する新会社「CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」を設立することも発表。自動運転や水素トラックの開発を進めていく模様。

その後、2021年4月1日にはスイスの自動車メーカー「ボルボトラック」がUDトラックをいすゞに売却する手続きを始める。ボルボといすゞは2020年10月に今後20年以上に渡る長期の提携を結ぶことを発表しており、主にボルボと日野は中小型トラックの分野で協業を進めてる。

そのためいすゞはあちこちくっついたり離れてたりしてるわけですが、トヨタ連合だけで国内商用車トラックの市場で約8割ほどカバーする計算。まさに無敵艦隊。

ちなみにボルボカーズは中国の浙江吉利控股集団の傘下。

○トヨタ自動車×GMの関係(1984年~2009年)

続いてはトヨタ自動車の「過去の提携関係」を解説。主にトヨタ自動車と海外の自動車メーカーとの歴史を振り返ります。

例えば、アメリカの「GM(ゼネラルモーターズ)」。トヨタ自動車とは1984年から2009年まで提携関係にありました。1980年代、バブル真っ只中の日本はアメリカと貿易摩擦が勃発。日本車がぶっ壊されたニュース映像は今でもたまにテレビで流れます。

そこでアメリカから高関税をかけられるのを回避するため、半ば日本政府主導でトヨタ自動車はアメリカ国内で現地生産を行うことを決定。トヨタはGMと合弁会社「NUMMI」を設立して、トヨタ・カローラなどがアメリカで生産されていました。

ただし、2009年のリーマンショックでGMが経営破綻した際にトヨタ自動車との関係も解消されております。トヨタ自動車的には「今や!」と思ったかどうかは不明。

○トヨタ自動車×テスラの関係(2010年~2016年)

続いては「テスラモーターズ」との関係性。

テスラモーターズと言えば、電気自動車を開発販売してる新興自動車メーカー。トヨタ自動車とは2010年から提携関係が始まりました。トヨタ自動車はテスラのバッテリー技術が欲しく、テスラはEVを生産するためのトヨタの製造ライン(工場)が欲しかった。

そこでトヨタ自動車は前述のGMとの合弁会社「NUMMI」の製造ラインをテスラモーターズに貸し出す。ただし、わずか2年で製造は終了。RAV4のEV版を共同開発したことがあるものの、トヨタとテスラは基本的に反りが合わなかった。

例えば、FCV(水素燃料電池車)の開発に専念したいトヨタ自動車に対して、充電タイプのEVを開発するテスラは猛然と反対。テスラのイーロン・マスクは良くも悪くも独裁的な経営者。トヨタ自動車との関係が破綻するのは火を見るよりも明らかだったか。

両者の方向性の違いから、トヨタ自動車とテスラの提携は2016年に解消します。テスラはやや異質な自動車メーカーだと思いますが、トヨタ自動車に限らず、自動車業界では海外の自動車メーカーと手を組んでも上手く行かないこともしばしば。

○トヨタ×プジョー・シトロエンの関係(2005年~2021年)

続いては「プジョー・シトロエン(PSA)」との関係性を解説。

2005年、トヨタはプジョー・シトロエンは「TPCA(トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモービル)」という合弁会社を新たにヨーロッパで立ち上げます。このTPCAではトヨタはアイゴ、プジョーは108、シトロエンはC1といったコンパクトカーを生産。

2018年11月、トヨタはTPCAを完全子会社化しており、2019年には商用車のシトロエン・ベルランゴを「トヨタ・プロエースシティ」としてヨーロッパで発売。今後はトヨタ次期パッソがアイゴと兄弟車になる噂もあります。

ただし、プジョー本体とは2021年1月1日に提携解消されてます。理由は後述。

【最新版】自動運転技術などの提携関係はどうなってんの?

続いては自動運転システムといった「最新次世代技術」に関する提携関係を解説します。自動車業界との関係は流動的ですがわかりやすくまとめてみた。

まず2018年10月4日、トヨタ自動車がソフトバンクと提携し、自動運転車を利用したサービス全般を担う企業「モネテクノロジーズ」に共同出資して新たに立ち上げます。持株比率はソフトバンクが約40%、トヨタが約39.8%。

モネテクノロジーズでは移動コンビニやカーシェアリングなどの、いわゆるMaaS関連のサービス拡充を目指してる。2019年3月にはホンダや日野自動車、同年6月にはスズキやダイハツ、スバルやマツダ、いすゞなどとも資本業務提携を結んでます。

ホンダは軽自動車事業からの撤退も囁かれておりますが、さすがに次世代技術に関しては孤軍奮闘では勝てないと悟ってる模様。実際、ホンダはソフトバンクとAI技術に関する技術提携も結び、前述のGMとは自動運転システム分野でも技術提携してます。

ただし、モネテクノロジーズに対する出資比率は、ホンダと日野自動車がそれぞれ約9.9%。スズキなどもそれぞれ2%と出資比率は小さいため、モネテクノロジーズでの開発の中心はトヨタ自動車やソフトバンクが基本的に担っていそう。

○自動運転技術はGoogleやマイクロソフトなど他業種も参戦

他にも国内企業系では「DeNA」が2016年頃から日産自動車と自動運転システムやカーシェアリングの分野で提携関係を結んでます。日産はプロ野球・横浜DeNAのスポンサーをやるほど両者の関係性はズブズブ。

世界的なIT企業の「Google」は日産自動車やホンダと自動運転技術に関して提携関係を結んでる。日産自動車も既にエンジン供給を受けている「ダイムラー」と今後の提携を模索中。

また「マイクロソフト」はトヨタ自動車とDCMなど通信系の技術提携を結んでおり、配車サービスの世界的大手の「ウーバー」もトヨタ自動車と提携関係にあります。「ソフトバンク」は「ウーバー」に多額の出資していることも、前述の背後関係にあるのは想像に難くない。

だから自動運転技術に関しては、自動車業界以外の他業種の人たちも積極的に関係を築いてる。今後自動車メーカーは「クルマ本体を売る」だけではなく、クルマに関連するサービス分野にもどんどん参入してくる方向性が読み取れます。

「安全デバイス」は全自動車業界が連携!!

そのため自動運転技術など「安全デバイス」に関しては、各自動車メーカー同士が連携するような全社共闘関係が見られます。やはり研究開発費や人的リソースが膨大なので、少なくとも自動車業界全体が一致団結してると見ていい。

海外の自動車メーカーでも、2019年7月にフォルクスワーゲングループがアメリカ・フォード社が出資する「アルゴAI」に資本業務提携を結んでる。フォードはフォルクスワーゲンのEV技術の提供を受け、まさに相互の技術を補完し合う関係性。

2021年5月15日、トヨタは次世代車載通信機(コネクテッドサービス)の共同開発をスズキ、ダイハツ、スバル、マツダと行うことを発表。トヨタ自動車は米・フォードとスマートデバイスなどのナビ関連の合弁会社も作ってたりもします。

アメリカではグーグルマップに代表されるGoogleも自動運転技術の開発を取り組んでおり、ルノー日産は車載OSでGoogleと提携するなど、とりわけ先進技術を一社単独で開発してる自動車メーカーは皆無です。

ダイナミック基盤が全自動車メーカーの地図を作る?

その最たる例が「3Dの高精度マップ」。やはり自動運転技術の精度を高めるためには、どこを走れば安全かという地図マップデータが必須になってくる。正確な道路状況や大量の走行データや把握することで更に車の安全性が高まる。

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(プレイボーイ11号 集英社)

そこでトヨタからスズキまで国内自動車メーカー全社が出資して「ダイナミックマップ基盤」と呼ばれる合弁会社が設立されてます。自動車メーカー以外だとゼンリンといった地図メーカーまで参加するなど、地図データを各企業が共有しあう。

またダイナミックマップ基盤はアメリカ企業「アッシャー」を買収。アッシャーは同じく三次元地図データを作成している企業。GMなど出資するなど、既にアメリカでは自動運転の実用化を達成してる企業。まさに自動車業界における日米同盟が結成されてる。

一方、ヨーロッパではBMWやAudiなどが共同出資している「ヒア」がどうやら世界的にはリードしている。既に「ヒア」は中東アジアなどの市場にも食い込んでおり、自動車サプライヤー関係では欧州勢が強いことを改めて認識させられます。

ルノー日産三菱アライアンス…自動車業界関係図

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(ベストカー2018年5月26日号/講談社)

続いては「ルノー=日産アライアンス」。2020年の新車販売台数は世界で780万台。

日本のマスコミでは「日産ルノー」と表記されることが多いですが、実は間違った表現。確かに日本人の感覚では日産自動車の名前が先に来るのが自然。実際、日産自動車の2017年の売上高は1兆2000億円程度に対して、ルノーは7000億円程度しかない。

ただ社名が表すように、両者の主従関係ではルノーの立場が日産よりも上になります。では一体、日産の社名よりもルノーの名前が先に来るのか?一体どういうことなのか?

○日産自動車がルノーの傘下に入る前の歴史まとめ

そこで日産自動車が歩んできた歴史をおさらい。

かつて日産自動車がバブルの煽りを食って、1999年に経営破綻寸前になる。そこで日産自動車は資金提供を受けるカタチで、フランスの自動車メーカー・ルノーの傘下に入る。その時に社長に君臨したのがカルロス・ゴーン。。

そして、2006年にはルノーが日産株の44%(現在は43.4%)を保有するカタチで、日産自動車を連結子会社化した。一方、日産自動車はルノー株を持ち合うものの、2019年現在でも取得してる株はわずか15%。

しかも、ルノーの筆頭株主はまさかのフランス政府(19.74%)。日産自動車の経営幹部にはフランス政府の息がかかったルノー出身者が大量に送り込まれるなど、日産の発言力は小さいまま。

○三菱を傘下に治めた以降、新車販売では世界2位に躍進

その後、2017年には日産自動車が三菱自動車株の34%を取得し、三菱自動車も日産ルノー連合の傘下に入ったことは記憶に新しい。だから、現状は「ルノー日産三菱アライアンス」という社名で表記するのが正解。

そして三菱自動車を傘下に収めたことで、2017年以降の新車販売台数ランキングではルノー日産三菱がトヨタ自動車グループを追い抜き、フォルクスワーゲンに次いで2019年以降も世界2位を維持しております。

実はルノーは日産以外にも、ロシアの「アフトバス」や韓国の「ルノー三星」、ルーマニアの「ダチア」といった自動車メーカーを傘下に収めてる。他にもルノーはドイツのダイムラーとも株を持ち合ってる関係。

例えば、日産・スカイラインなどに搭載されているターボエンジンがダイムラー製であることは結構有名な話。何故ダイムラー製エンジンが搭載されるのか不思議に思った方も多そうですが、日産自動車の取り巻く相関図がまさに関係してる。

○将来的に日産自動車はルノーの完全子会社となるのか?

ただし、2018年11月に金融商品取引法違反などの容疑で当時会長だったカルロス・ゴーンが逮捕されてる。その後、日産はゴーンを会長職から即座に解任し、ルノーも遅ればせながら2019年1月に解任。

そこで気になるのが「ルノーが日産自動車を完全子会社化するのか?」という点。

現状は日産とルノーの不公平な関係性が続いているものの、一方で自動車開発においては両者の関係性は深化。両社が共同開発した新型プラットフォームを採用した次期ノート次期マーチなどが好例。

また三菱自動車と日産自動車も、軽自動車を開発製造する「NMKV」と呼ばれる会社も設立して早5年6年が経過。日産が最も規模が大きい自動車メーカーですが、新型車を開発する上で関係性が完全に破綻することはデメリット。

○基本的に日産とルノーは良好な関係性が続くが…

だから、ルノー日産三菱アライアンスが良好な関係は基本的には続くはず。いきなり両者の関係が破綻するような可能性は低そう。日産自動車もルノー後の経営を安定させることに重きを置きそう。

とはいえ、日産自動車の株式は半分近くルノーが取得してる状況や、ルノー株の約20%をフランス政府が取得している状態に変化はない。カルロス・ゴーンが消えたものの、日産自動車の置かれてる状況は何も変わらず。

フランス政府はフランス国内のことしか考えてない以上、今後フランス政府が強引に日産自動車を完全子会社化しようとしてもおかしくない。ルノー側があまりに強引な手法を取り続けると、スズキとVWのように、ルノーとの関係性が破綻する可能性も十分有り得そう。

ルノーも日産もお茶を濁す関係がベースで続きながら、水面下では持ち株比率をどうするのかというつばぜり合いが続きそう。

三菱自動車再編の歴史まとめ…自動車業界関係図

続いては三菱自動車の再編の歴史。日産との関係性も含めて、三菱自動車の歴史は波乱含みでした。

何故なら三菱自動車は日産自動車の傘下に以前から、色んな自動車メーカーと提携を繰り返してた。もっと言うと、そもそも三菱自動車が生まれたキッカケが「とある自動車メーカー」との合併が始まりだった。

そこで三菱自動車の歴史を振り返りたいと思います

○三菱自動車は「三菱重工業の一部門」だった

結論から書くと、三菱自動車は「もともと三菱重工業の一部門」に過ぎなかった。

しかしながら、1970年に三菱重工業がクライスラーグループと提携。その一環として、両社の合弁事業として独立したブランドが「三菱自動車」。当時はトラックの生産などを行う「三菱ふそう」なども入っておりました。

その後、三菱自動車は1985年にマレーシアのプロトンと提携を結び、合弁会社を設立(2004年に資本提携が解消)。1991年にはボルボと提携を結んでオランダで合弁事業を行い、1999年には大型車の分野で資本提携を締結。

他にもプジョーシトロエンにアウトランダーをOEM供給するなど、規模が小さい割に波乱の人生を歩んだ自動車メーカーと言えそう。

○三菱ふそうだけは何故か未だにダイムラー傘下

ただし、三菱自動車はちょくちょく不祥事を起こすメーカーでして、今から20年ほど前は「リコール隠し」で瀕死の状態まで追い込まれた。そこで三菱自動車を救うためにダイムラーが資本提携を結んでくれた。

ダイムラーは三菱自動車にデザイン本部長(オリビエ・ブーレイ)などを送り込むなど、新型車開発にも積極的に関与。例えば、三菱・ランサーエボリューションなどがダイムラー顔に変化したのは懐かしい人も?

しかしながら両者の相乗効果は乏しく、結局2005年に三菱自動車とダイムラーの提携は完全に解消。その後、三菱自動車が現在に至るまでに辿った顛末は前述を参照。

ただし、現在も三菱ふそうのブランドだけはダイムラー傘下に入っており、「まんまと三菱ブランドを手に入れた」と評価する自動車評論家も。三菱自動車の歴史を見ると、自動車業界はつくづく弱肉強食の世界((((;゚Д゚))))ガクブル

ホンダ(本田技研工業)…自動車業界相関図・関係図

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(プレイボーイ2017年15号/集英社)

続いては「本田技研工業(以下ホンダ)」

ホンダは自動車以外にもバイクなど二輪車も発売しており、二輪車の販売台数はなんと世界一のメーカー。他にもホンダは船外機や航空機なども発売している総合メーカー。だから「ホンダ自動車」とは呼ばれません。

ただし、現在ホンダが本格的に業務提携してるのは、アメリカ・GM(ゼネラルモーターズ)のみ。しかも、FCVと呼ばれる水素燃料電池車の開発に限られます。ガソリンエンジンやハイブリッドシステムは全部ホンダが自前で開発中。

そのため「グループ」と表現することはできず、ホンダは良くも悪くも「孤立主義」を貫いている自動車メーカーとして知られます。まさに「MM思想」を筆頭とするホンダイズムが脈々と流れている裏返しなのか。

ホンダの新車販売台数もあくまで一社のみの累計になるので、2020年の新車販売台数は446万台とトヨタグループの約半分程度に留まります。

○ホンダ×ローバーグループ(1979年~1994年)

でも孤高の一匹狼を貫くホンダにも、かつて提携していた自動車メーカーが存在しました。

それがイギリスの「ローバーグループ(ブリティッシュ・レイランドの前身)」。ランドローバー車を発売してた自動車メーカーと言えば分かりやすいか。

両社は株式を20%ずつ持ち合って、ホンダはヨーロッパへの足がかりとして提携。ホンダはローバーグループに自家エンジンを供給したり、逆にアコードのOEM車をローバーブランドで発売するなど幅広い提携が行われてた。

例えば、日本国内でもランドローバー・ディスカバリーを「クロスロード」という車名でホンダは1993年から1998年まで発売していたりしました。

○ローバーは自動車メーカーの草刈場として終わる

しかしながら、ホンダとローバーの提携関係は1994年に解消。それ以降は前述の通り、ホンダは一貫して孤高のメーカーとして貫いております。

ちなみにローバーグループはその後、波乱の生涯を歩みます。

1988年には航空機メーカーのブリティッシュ・エアロスペースに買収され、1994年にはBMWに買収。しかし、2000年には「ランドローバー」のブランドはアメリカ・フォード、「MINI」などのブランドはBMWに分割。

一方、「ローバー」のブランドはわずか2000円程度で投資会社に売却された。その後、フォードは「ランドローバー」と「ジャガー」のブランドを23億ドルでインド・タタ社に売却するなど、まさに「草刈場」として散々な最後を迎えております。

○ホンダ系部品メーカーは日立と大統合

一方、ホンダ系の部品メーカーでは大きな再編が勃発。

2019年10月30日、ホンダ系の日信工業とショーワ、ケーヒンの三社が日立オートモティブシステムズと統合することを発表。

状況だけ見ると、ホンダ系の部品メーカーが日立オートモティブシステムズを取り込んだ構図。今後ホンダセンシングは日立オートモティブシステムズ製カメラを採用しそうですが、各社の売上をそのまま合算した場合、新会社は1兆7000億円規模を誇るそう。

この新会社は自動車部品メーカーの世界売上げランキングでは10位以内にすら入れないレベルですが、やはり規模を拡大させることで技術の集約と革新を進め、自動車メーカーに対するコスト面や交渉力で優位に立ちたい思惑があります。

日立はアメリカでの原発事業の失敗など、子会社の再編は不可避。一方、日立オートモティブシステムズは実は得意先のスバルからはそっぽ向かれていた状態。実際アイサイト4には日立製のカメラは使用されないと見られる。

だから自動車業界では割と孤立しがちな本田技研工業ですが、両者にとっては渡りに船だったのかも知れない。

○自動車サプライヤー業界でも再編が起きてる

だから、他の自動車ブランドを見ても傘下の部品メーカー業界の再編が最近は盛んに行われてます。

例えば、2019年6月にはFCA傘下だった自動車部品メーカー「マニエッティ・マレリ」がカルソニックカンセイによって8000億円規模で買収される。カルソニックカンセイの売上高は、部品メーカー業界で世界7位までランクアップ。

マニエッティ・マレリはIT部門が強い。一方、カーエアコンなどを主に自動車部品全般を供給してきたカルソニックカンセイは、今回の買収で自動運転システムなどの部分に力を入れる予定。

ちなみに、カルソニックカンセイの本社は埼玉県にある日系企業。元々は日産自動車の傘下だったものの、最近はアメリカの投資ファンドの傘下に入ってるため厳密には日本企業とは言いにくいですが、サプライヤー業界でも「離合集散」が活発に進んでいることが分かります。

それだけ次世代環境車や自動ブレーキといった先進技術の開発には、自動車部品メーカーであっても多額の資金と技術が必要。だから小規模・中規模メーカーが生き残っていくのは大変。会社を売るなら今のうち?

フォルクスワーゲングループ…自動車業界相関図・関係図

国産自動車メーカーの相関図を解説したので、続いては海外の自動車メーカーの関係図をチェックしてみようと思います。あの高級車メーカーも実は意外と傘下だった!?なんてことも。

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(ベストカー2018年5月26日号/講談社)

まず最初の海外の自動車メーカーは「フォルクスワーゲングループ」。ここ数年、トヨタ自動車の新車販売台数を抜くこともある自動車メーカー。フォルクスワーゲングループ全体の2020年の新車販売台数は931万台。新車販売ランキングではすっかり上位が定着。

事実、フォルクスワーゲンは近年あらゆる自動車メーカーを完全に子会社化して傘下に収めてる。例えば、ランボルギーニやブガッティ、アウディ、ポルシェといったそうそうたる高級車ブランドも、実はフォルクスワーゲンが手中に収めてる。

ちなみに2019年1月、ランボルギーニはアウディからポルシェ傘下に入ってます。あくまでフォルクスワーゲン傘下に入った状態に変わりはないんですが、今後VW傘下のスーパーカーブランドは全てポルシェ製プラットフォームに統一されます。

とにかくフォルクスワーゲンは独占欲が強い自動車メーカー。このことが他社の自動車メーカーとの提携に影を落とすこともあります。

○フォルクスワーゲン×国産自動車メーカー提携の歴史

このフォルクスワーゲンは様々な国産自動車メーカーと提携を行っていたのは有名な話。

1981年から1991年までは日産自動車と提携しておりました。日産の狙いはヨーロッパ市場への足がかり。一方、フォルクスワーゲンは日本国内でノックダウン生産を行い、アジア市場への足がかりを目的としていたそう。

ただ日産自動車はバブル以降、業績が悪化。その後、前述のように日産はルノーと1999年にガッチリと提携するんですが、一方フォルクスワーゲンはトヨタ自動車と提携。

トヨタディーラーの中には「DUO店」と呼ばれるフォルクスワーゲン車を扱うディーラーが存在し、いわゆるディストリビューター契約。逆にフォルクスワーゲンのディーラーではトヨタのハイラックスがOEM供給されていたそう。

DUO店はフォルクスワーゲン拡販に貢献したと言われております。その後、フォルクスワーゲンは2010年12月とトヨタとの契約が終了。そして、フォルクスワーゲンは次のターゲットに「スズキ」を選びます。

○フォルクスワーゲン×スズキ(2009年~2015年)

ただし、スズキとフォルクスワーゲンの提携は大失敗。まさに自動車業界でも歴史を残すほどの泥沼の展開が待っております。

前述のように、フォルクスワーゲンはポルシェやアウディなどを完全子会社化してる。この状態からも分かるように、どうやらフォルクスワーゲンはとにかく完全に手中に収めないと気が済まない自動車メーカー。

一方、スズキは対等な提携関係だと思っていたものの、フォルクスワーゲン的には完全に「傘下」が視野に入っていた。このすれ違いは提携を結んだ2009年から目立っており、最初から協業関係が上手くは進みませんでした。

そのためスズキは提携解消を求めるものの、フォルクスワーゲン側は頑なに拒否。業を煮やしたスズキは国際仲裁裁判所に提訴し、約1年あまりの期間を経て、正式にフォルクスワーゲンとスズキの提携が解消されます。

まさに泥沼の歴史でした。現在となってみたら、どっちにしても結果オーライ?

ステランティス…自動車業界関係図

続いては「ステランティス」。ストランティスではありません。

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2019年12月、FCA(フィアット・クライスラー)がPSA(プジョーシトロエン)に買収を持ちかけて正式に合意。買収額は500億ドル。その後、2021年1月にお互いの株式を50%ずつ持ち合ってできた新しい持株会社が「ステランティス」。

後述のようにステランティスの誕生に伴ってプジョーはトヨタ自動車との提携関係を解消してます。FCAはイタリア車やアメリカ車に強く、PSAはフランス車やドイツ車に強い。どっちもブランドが被る領域が少なく、お互い需要を食い合わない。

ステランティスとはラテン語で「星で明るくなる」という意味。英語では「Stellantis」と表記します。厳密には「ステランティス N.V.」と表記するのが正しいんですが、N.V.はオランダ語で有限会社という意味。基本的にステランティスと呼ぶだけで十分だと思います。

○ステランティスが抱えるブランドは合計13

だからステランティスのブランドはかなり多い。

PSA系からは「プジョー」「シトロエン」「オペル」「ボクスホール」の4ブランド。FCA系からは「フィアット」「アルファロメオ」「アバルト」「ランチア」「マセラティ」、「クライスラー」「ジープ」「ダッジ」「ラムトラック」の9ブランド。

そのためステランティスは合計13ブランドを抱えてるカタチ。イタリア、フランス、アメリカの連合軍と表現する自動車評論家もいますが、割とサイズ感が似た車種が多いためプラットフォームなど共用化した車種が増えていきそう。

そのためステランティスグループの新車販売台数は2020年で621万台を誇ります。販売ランキングではヒュンダイとホンダの間に位置する世界6位に入る巨大グループに成長してます。2019年時点の数字だとGMを抜いて世界4位。

2020年はコロナで各メーカーの新車販売が全体的に落ち込んだことを考えると、ステランティスの売上は順調。一方でマセラティやジープ、クライスラーといった高級車ブランドも兼ね備えてるので売上のバランスとしては良い。トヨタなどの脅威になりそう。

FCAグループの再編の歴史

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(プレイボーイ2017年15号/集英社)

そこで現在はステランティスとなった「FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)」の再編の歴史を解説したいと思います。名前を見ても分かるように、フィアットとクライスラーが合併して2014年に作られた持株会社。

両者の関係性を振り返ると、2009年のリーマンショックでに経営不振であえいでいたクライスラーに対して、フィアットが資本提携を持ちかける。その後、2014年にフィアットがクライスラーを完全子会社化したことで「FCA」が誕生。

FCA傘下にはフィアットやクライスラーだけではなく、ジープやアルファロメオ、マセラティといった幅広い自動車ブランドが存在します。だから意外とアメリカ市場も得意としてる自動車メーカーグループ。販売台数は2017年で474万台ほど。

ただし、当初フィアットの傘下だったフェラーリブランドはFCAから2016年に分離独立し、その後は資本関係の関係性に留まります。他にもフィアットは2013年にマツダと業務提携して、2015年にはロードスターのOEM車である124スパイダーを国内で投入した過去も。

一方、2019年5月にFCAとルノー日産が統合するニュースが流れましたが、結果的に関係が折り合わず頓挫。その後、FCAはプジョーを統合相手に選んで現在のステランティスに至ります。

グループPSAの再編の歴史

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(ベストカー2018年5月26日号/講談社)

続いては「グループPSA」の再編の歴史を解説。PSAとはプジョーやシトロエンなどが寄り集まった企業体。主にフランス車のブランドが多い自動車メーカーでしたが、DSやボクスター、オペルといった多様な自動車ブランドを抱えていました。

オペルは日本人に聞き馴染みがないですが、ドイツが拠点のドイツの自動車メーカー。海外サッカーを見ると、試合のスポンサーにオペルの名前が頻繁に登場します。ただ主にコンパクトカーを得意とする自動車メーカーだけあって、競合も多い日本市場では見かけない。

そのためPSAグループのラインナップにはお安い外車SUVおすすめランキングでもチラホラと確認される人気車種も少なくない。

プジョーとシトロエンはもともと協業関係にあったんですが、2012年にGM。2014年に中国の東風汽車とも資本提携を結ぶなど提携先が増えたたため、2016年4月に社名から「プジョーシトロエン」の名前が消えてPSAグループに改名されました。

その後、2017年8月にはGMからドイツ・オペルとイギリス・ボクスホールを買収し、PSAグループ全体では2017年の新車販売台数は363万台まで増加してました。ヨーロッパ全体ではフォルクスワーゲンに次ぐ販売シェアを誇っていました。

吉利汽車グループ…自動車業界相関図・関係図

ここからは更に日本ではもっとマイナーな自動車メーカーの関係図を見ていこうと思います。すぐ終わりますが、興味がない方はスルー推奨。

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(プレイボーイ2017年15号/集英社)

まずは中国の自動車メーカーの「吉利汽車」。ちなみに吉利の読み方は「ジーリー」。また汽車は中国語で「自動車」などを意味するそう。つまり日本の自動業界的には「○○自動車」といったノリ。

吉利汽車は元々は家電メーカーだったんですが、1997年から自動車の製造を開始。そして、2010年にはフォードからボルボ(乗用車部門)を買収。その後、2018年2月にはダイムラーの株式も約10%ほど取得しているそう。

中国は言わずと知れた世界一の新車販売大国ですので、今後、世界中の自動車業界でブイブイと言わせそうな雰囲気。中国国内では環境規制も非常に厳しくなっており、それに付いてこれない国産自動車メーカーも存在します。

具体的には重慶長安汽車と1993年から合弁会社を作ったものの、2018年9月にスズキは解消。2018年6月には江西昌河汽車との合弁会社も株式の譲渡で解消するなど、スズキは中国国内から完全に撤退せざるを得ない展開に追い込まれます。

タタグループや現代グループ…自動車業界相関図

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(プレイボーイ2017年15号/集英社)

インドの自動車メーカーが「タタ」

日本だと非常に小さい小型車を販売しているイメージですが、イギリスの高級車ブランドである「ジャガー」や「ランドローバー」を完全子会社化してるのは有名な話。前述のローバーグループの解説も参照。

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(カートップ 交通タイムス社)

他にも韓国の「現代自動車(ヒュンダイ)」グループは起亜という自動車ブランドも傘下に収めており、2020年の新車販売台数は635万台。アメリカのGMの683万台に次いで世界5位。前述のあらゆる自動車ブランドを抱えたステランティスやフォードを上回る。

日本人は韓国の自動車メーカーにピンと来ないかも知れませんが、日本の自動車メーカーと同様に「手頃な自動車」を強みとしてる。他にも法人向けのフリート販売を強みとしているとされます。

とはいえ世界新車販売ランキングを見ても、日本の自動車メーカーが異様に強すぎることが分かります。何かと叩かれがちな産業ですが、自動車メーカーが消えると日本全体が落ち込むことは言うまでもなさそう。せめて冷遇するのは止めてほしいところ。

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