ホンダの軽自動車は絶好調。とりわけN-BOXの新車販売台数は年間を通じて首位を維持。圧倒的に売れてると言っても良いレベル。
【感想】新型N-BOX試乗レビューなども後でご参照ください。
ただマガジンX最新号によると、どうやらホンダは2025年をめどに軽自動車事業から撤退を考えているらしい。一体何故?
そこで今回カーギークでは何故こういった話が出てきたのか?また「ホンダが軽自動車事業から撤退する可能性」を考察してみようと思います。
ホンダの中の人「軽自動車を開発する余裕がないんですわ」
じゃあ何故、ホンダは軽自動車事業から撤退を考えているのか?
結論から書くと、どうやら「ホンダ(本田技術研究所)のリソース不足」が原因とのこと。ホンダは年産500万台の内、軽自動車は40万台。これがマンパワーのムダ使いと解説するのはマガジンX。
本田技研工業という社名からも分かるように、ホンダジェットなど航空機も開発するなど、自動車だけを開発製造してるわけではない。ましてやホンダはMM思想に代表されるように、今もなお創業者の本田宗一郎の思想が根付いてる。
ホンダは「自分の商品は自分たちだけでとりあえず開発する」という姿勢が強く、そのため【最新版】自動車業界関係図一覧まとめを見ても分かるように、ホンダはほぼ他社と手を組まない国産自動車メーカーの中でも一匹狼的な存在。
そのためホンダは人材資源は限られており、他の自動車メーカーよりもシビアな問題なのかも知れない。
また今後、ホンダは旧プリモ店など販売店の整理縮小も進める予定らしい。確かにホンダはトヨタに次ぐ販売網を持つものの、実際の販売台数はいまいち。だから、この販売チャネルの統廃合の延長線上に、今回の「軽自動車事業撤退」が考えられているというのも納得。
ちなみにホンダ広報部は否定済みらしい。
【問題】軽自動車の開発を止める=大人気のN-BOXが消える
ただマガジンXの記事でも指摘されていますが、ホンダが軽自動車事業から撤退する上ではリスクがそれなりの大きいのが事実。
何故なら、現在ホンダの新車販売台数の半分近くが軽自動車の車種で占められているから。軽自動車を売らないなら、ホンダは一体何を売っていくの?という話。もし軽自動車が売れなくなれば、ホンダの販売台数は下手すりゃスバルやマツダ並に落ち込むはず。
カーギークでは【評価】新型シビック試乗レビュー、【評価】新型CR-V試乗レビューなども執筆してきましたが、やはり良い車ではあるものの価格帯や車格を考えるとそこまで売れるような車種ではない。
とりわけN-BOXの大躍進がハンパない。全メーカーを含めた上でもN-BOXはトップクラスに売れてる。
つまり、「軽自動車事業から撤退すること≒ホンダがN-BOXの販売を取りやめる」ということそのもの。ざっくり言うなら、N-BOXが消えたらホンダの新車販売が半減してしまうに等しい。
だからN-BOX目当てでディーラーの訪れる人が減れば、他の普通車の販売にも影響を与える。また販売ディーラーの雇用だけではなく、国内のホンダの工場で働いている従業員の雇用がごっそり消えてしまう。
さすがに多方面への影響が甚大。ホンダの広報部が否定するのもむべなるかな。
○他社からのOEM供給でホンダは対応する?
もちろん現状だと新型N-ONEのフルモデルチェンジやS660のフルモデルチェンジは予定されていないなど、こういった不人気の軽自動車が消えるだけならホンダに与える悪影響は少ない。
そこで考えられる手段が「OEM供給」。
軽自動車事業から撤退しても、他社から軽自動車を融通してもらって販売そのものは続けていくスタイル。自社で開発製造しないので経営的なリスクは乏しい。
ただOEM供給は問題も多い。
やはり相手の工場の稼働率なども考慮しなければいけない。ましてや、現在のホンダのレベルを考えると、供給数は月間1万台2万台という莫大。「軽自動車を供給してーやー」と頼んでもすんなり事は運ばないはず。
またOEM供給されてる側の声が開発に反映されにくい。日産はかつてスズキから軽自動車をOEM供給されていましたが、日産側の要求がほぼ通らなかったこともあって、結果的に三菱と手を組んでNMKVという新たな会社を作ったのは有名な話。
ましてや、前述のようにホンダは孤高の自動車メーカー。ホンダが他社から買い取った軽自動車をそのまま転売するような道を選ぶ可能性は低いでしょう。実際、マガジンXの記事でも完全な撤退を有力視している。
【結論】ホンダは軽自動車事業から撤退はしないが…
とはいえ、ホンダが「軽自動車事業にマンパワーをあまり注ぎたくない」のは本音だとは思います。でなきゃ、わざわざ自動車雑誌にリークなどしないでしょう。軽自動車の販売比率の高さもいろいろと思う人も多そう。
そのため今後のラインナップが「N-BOXとN-VANのみ」など大胆に縮小統合されていく可能性は高いとカーギークでは予想してみる。車種が減れば相対的に軽自動車の比率が下がりますし、開発コストも絶対的に減るはず。
またプラットフォームの共用化や他社と部品の共通化などの方向性は考えられるとは思います。
既にプラットフォームを大幅刷新し、ここまでN-BOXが人気な以上、ホンダは軽自動車事業から撤退するとは考えにくく、スズキなどと部分的に協業するアプローチでマンパワーの効率化を図っていくのではないか?
逆に言うと、これぐらいの道しか残されてない気がする。せっかく築き上げたNシリーズをご破産にしたはいいものの、再び参入しようと試みれば更に莫大なコストとマンパワーが必要になるわけですから。
ちなみに【最新情報】新型N-WGN フルモデルチェンジまとめや【最新情報】新型フィット フルモデルチェンジまとめなども併せてご参照ください。
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