【2020】ガソリン価格が急落したヤバい理由とは?リッター80円の時代が再来?原油が安くなる悪影響は?【暴落の原因】

かつてカーギークでは「ガソリン価格が高騰する理由」という記事も書きましたが、2020年以降のガソリン価格は急減。もはや急落や暴落と呼べるレベルでガソリンの値段が下がってます。

例えば、2020年4月末現在で「リッター110円台」という数字を目にする機会もしばしば。これは一見すると良いことのようにも聞こえますが、実はガソリン価格が下がるとヤバいことも多い。

そこで今回カーギークでは「ガソリン価格が急落した理由と悪影響」を解説しようと思います。ガソリン価格が安くなったことで、我々ドライバーに一体どんな影響が出てくるのか?

原油価格急落の理由はやはり?

まずはガソリン価格が急落・暴落した理由を解説。

結論から書くと、ガソリン価格が急激に低下した理由は「原油価格の急落」にあります。ガソリンは原油から作られてるため、原油の値段が下がると比例してガソリンの値段も下がる。

じゃあ、原油価格が下がった理由は何なのか?

それは言うまでもなく、「コロナ肺炎」の問題が影響してます。志村けんが亡くなって久しいですが、「Stay Home」と世界中の著名人が呼びかけてることからも分かるように、全世界で今は外出自粛が強いられてる。旅行などもってのほか。

そのため自動車を使用する機会が減って、世界的なガソリン需要が減少。また同じく石油系燃料で動く飛行機もほとんど使用されることはなく、原油消費量が著しく減ってる。売れない商品は必然的に価格を引き下げざるを得ない。

既に航空会社も破綻してるところも増えており、日本のANAやJALも大赤字の状態。仮にコロナ肺炎が収束したところで航空会社が消滅してしまったら、どこまで旅行需要を盛り返せるかは不透明。ますます原油の需要が先細っていく。

だから原油価格の急落やガソリン価格の暴落は「経済の悪化」を物語る一つの指標だったりします。個人単位ではなく、国単位といった大きい視野で見るとガソリン価格の急落はヤバい話だったりします。

サウジアラビアが原油を増産

しかも、ガソリン価格が下がる要因は他にもあります。

本来であれば原油価格を引き上げるためには、中東各国を筆頭としたOPEC(石油輸出国機構)が原油の生産量を減らす。野菜が典型ですが、供給を意図的に減らすことで商品の価格は結果的に引き上がる。

もちろん供給が増えて価格が下がっても、その分だけ商品の数や量を売りさばければいいんですが、実際問題としては難しい。だから石油産業に限らず、基本的に価格そのものを上昇させることで会社の利益を確保するのが通例。

でも、コロナ騒動に乗じてサウジアラビアは逆に「原油を増産」しまくってる。ただでさえ原油の需要が落ち込んでる中、原油を増産したら価格が急落するに決まってる。サウジアラビアは親米国家とされますが、アメリカのシェールガス会社が目の上のたんこぶ。

アメリカは既に原油の輸出大国になって久しいですが、シェールガスを生産するには1バレル≒35ドルぐらいのコストがかかる。一方、サウジアラビアのような中東各国では1バレル≒10ドル前後と言われてる。

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(2020年4月22日 WTI原油先物)

2020年4月22日のWTI先物取引を見ると、1バレル≒10ドルちょい。もう少し前はもっと価格が高かったんですが、アメリカはシェールガスを掘るたびに赤字が発生する状態。

もちろんサウジアラビアもかなり厳しい財政状態を強いられるんですが、アメリカのシェールガス会社を潰すために原油を増産してると言われてる。ここに同じく原油輸出大国のロシアも絡んでるんですが、今後中東情勢も悪化しそう。

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ガソリン価格の低下は「EV普及」を後押しする?

つまり、長期的に見れば中東情勢の悪化は原油高に繋がる火種も生んでるんですが、そうは問屋が卸さない。何故なら、コロナの悪影響は想像以上に長引きそうだから。これは裏返すとガソリン需要が盛り返すのは相当先の話になりそう。

2019年のガソリン価格は概ねリッター150円ぐらいだったと思いますが、この時の原油価格は1バレル≒50ドルぐらいでした。一方、最近の原油価格は1バレル≒10ドル台もザラ。

既にガソリン価格は下がってますが、将来的にリッター100円に近付く可能性が高いと思います。かつてのようなリッター80円90円台の時代が再び訪れる可能性すらありそう。

もちろんドライバー視線で考えると、ガソリン価格の低下が更に続くことは嬉しいんですが、ガソリンスタンドや石油元売会社からしてみたら利益を出せない。価格が安くなっても販売量が増えればいいんですが、現状だとどっちも期待薄。

つまり、今後ガソリンスタンドの倒産や廃業が増えそうです。既に出光興産が赤字とか。いくらガソリン価格が低下したところで、ドライバー視線で考えると「ガソリンを入れたい時に入れられない状態」が増えるのでは意味がない。

だから皮肉な話、結果的に今回のガソリン価格の低下は「電気自動車(ピュアEV)の普及」を後押しする可能性もありそう。いくらガソリンが安くなっても入れられなきゃ意味がないですからね。

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原油先物相場がマイナスになって「お金」が貰える?

じゃあガソリン価格の急落がどれだけヤバいのか?

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(2020年4月21日 WTI原油先物 5月分)

例えば、直近の5月分のWTI先物取引の価格は「1バレル≒0ドル」状態に落ち込んだ。つまり、原油を生産生成してる企業からしたら、タダ同然で原油を販売してる計算。

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(時事通信)

しかも、一時期は1バレル≒マイナス30ドル40ドルに落ち込んだこともありました。つまり、原油を生産してる企業がお金を払って原油を引き取ってもらってる状態。ガソリンを入れるドライバーがガソリンスタンドからお金をもらうようなもん。

実は、原油は長期保存ができない。割とすぐ劣化する。生産したらすぐ売らなければいけないので、そもそも保管しておく場所も少ない。ましてやコロナで需要が減ってるにも関わらず、原油を生産し続けてる状態なので、どんどん原油を物理的に保管する場所が無くなってる。

そのため「原油をお金を払って引き取ってもらう」という現象が起きた。マイナス分は保管費用と言い換えることも可能。ただ買った方も需要減に対応できないわけですから、どのみち原油を保管しておくリスクや維持費がかかる。コロナ不況においてそこまで旨味はない。

つまり、我々ドライバーがガソリンスタンドでガソリンを入れてもお金をもらうことはできないです。また原油価格がタダの状態まで急落しても、揮発油税や石油石炭税がかけられており、日本国内でのガソリン価格は70円前後を下回る可能性は皆無に近いです。

ただ先程も解説しましたが、日本国内でも5月6月以降の「ガソリン価格はリッター100円」まで急落 or 近付く可能性は高そうです。でもコロナが収束して経済が回復してくるであろう2020年後半以降にかけて、ガソリン価格は再び上がっていくと予想してみる。

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