最近、高速道路の制限速度がようやく緩和されつつあります。一部区間では既に時速120km/h程度まで出しても違法にはならないはず。でも、基本的には高速道路の制限速度は時速100km/hを超えると違法。
昔を振り返ってみると、かつて高速道路を走っていると一定速度を超えたら「キンコン」と音が鳴る速度警告音が標準装備されていました。自分もそこまで記憶は鮮明ではないですが、母親の軽自動車で聞いた覚えがあります。
もちろん今現在、速度警告音を搭載した自動車は既に存在しません。
そこで今回カーギークでは「速度警告音が消滅・絶滅した理由」を徹底的に解説したいと思います。何故、速度警告音は最近の車両から消えてしまったのか?
【自動車用語】そもそも速度警告音とは?時速は何キロから?
まずは「速度警告音とは何か」を簡単に解説。
速度警告音とは一定の速度を超えると鳴る警告音や警告ブザーのこと。
速度警告音は1974年11月から保安基準で義務化され、普通車は時速が105km/h、軽自動車は85km/hを超えると速度警告音が鳴りました。軽自動車の基準速度が低いのは、エンジン排気量が1990年までは550ccだったことも影響か。
しかし、1986年3月以降は速度警告音に関する保安基準の規制は消滅します。そのため速度警告音は、期間にしてわずか12年程度の規制でした。ただし、2000年代まで速度警告音が装着された新車は販売されてたりします。
だから意外と古い規制ではあるものの、速度警告音を一度は聞いた記憶があるドライバーさんも多そうです。
○かつては「キンコンチャイム」と呼ばれたことも
速度警告音の構造は、主に小型の鉄琴を組み合わせた機械式のものが多かった。そのため速度警告音は「キンコン」と一般的に聞こえることが多く、当時のドライバーからは「キンコンチャイム」と呼ばれたことも。
例えば、自動車漫画で有名な『頭文字D(イニシャルD)』にも速度警告音が演出として多用されていました。速度警告音が鳴ると、それだけ自動車がスピードを出しているか雰囲気が伝わる。
そう考えたら漫画家さんやドラマ制作会社からしたら、速度警告音は意外と便利な演出方法だったのかも知れません。
○速度警告音は英語でなんと書く?
ちなみに、速度警告音をグーグル翻訳で英語に直訳したら「Speed warning sound」でした。
ただし、海外には速度警告音の概念やシステムがなかったため、実際に英語に訳しても英語圏の外国人には伝わらなさそうです。
つまり、速度警告音は日本独自の法規制でした。実際、アメリカのハリウッド映画や韓国ドラマで速度警告音など耳にした記憶がある人は皆無でしょう。
速度警告音が消えた理由は「アメリカ」と「効果のなさ」から
じゃあ、速度警告音が消滅した理由や原因は何なのか?
結論から書くと、速度警告音が消えた原因の一つに「アメリカ政府からの圧力」が挙げられます。速度警告音が消えた1986年は、まさに日本はバブル景気に突入しようとしていた最中。一方でアメリカとの貿易摩擦が激化してた。
アメリカ政府は未だに軽自動車の存在を批判しますが、そこでいわゆる「非関税障壁」の一つとして速度警告音はやり玉に上げられた。結果、日本政府や自民党が敗北するカタチで速度警告音の規制をなくしたという流れ。
○速度警告音そのものが特に意味のない規制だった
とはいえ速度警告音が本当に必要な規制であれば、軽自動車の規格が未だに存在するように無くなってないはず。アメリカ政府の圧力があったとしても、一概に全ての要求が通るわけではない。
つまるとこ、結局は速度警告音そのものが「全く意味のない規制だったから」とも指摘できそう。速度を出す場所で音が鳴らして警告しても、やはり実質的な効果は薄い。むしろキンコンという単調な音で「眠くなる」という本末転倒な事態も。
現在はアイサイトやトヨタセーフティセンスといった自動ブレーキ機能や追従クルーズコントロールなどが盛んに開発されていますが、最近は「ドライバーの居眠りを検知」して警告ブザーが鳴るレベル。
速度警告音がいかにポンコツで前近代的な装置だったかわかります。だから速度警告音が消えた理由は「ムダな法規制の一つだったから」とも言えそう。実際、日本以外の海外で存在しなかったことからも明白か。
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