先日、スズキから新型クロスビーが発売されました。クロスビーの見た目は完全に人気軽自動車のハスラーではあるものの、車格がコンパクトカーサイズとアップ。ただ言っても、クロスビーの車格はAセグメント級。
だからこそ気になるじゃありませんか?クロスビーとハスラーはどっちがお買い得なのか?おすすめなのか?
そこで今回カーギークではスズキの新型クロスビーとハスラーを徹底比較したいと思います。
パッと見の比較画像はグーグルの賢いAIでも見分けが付かないぐらい似てますが、果たして両者に違いはあるんでしょうか?軽自動車とコンパクトカーとサイズ感はあまり変わらず、わざわざクロスビーを購入する必要はない?などクルマ選びの参考にして下さい。
クロスビーとハスラーの見た目は同じなの?
まずは瓜二つとしか思えないクロスビーとハスラーのデザインを比較したいと思います。
先程の比較画像を改めて確認すると、やはりクロスビーとハスラーのフロントマスクは酷似。特にフロントグリルやヘッドライトの形状、顔の下半分の造形も「雰囲気が似てない」と言えばウソになります。
もはやおすぎとピーコの方が違いがありそう。ちなみに2019年に新型ハスラーはフルモデルチェンジを予定してるものの、基本的なデザインは現行ハスラー or クロスビーと大きく変化はしないはず。
もっと真正面からハスラーとクロスビーを比較してみると、やはり両者は似てるとしか評価しようがない。車体のサイズ感もパット見はほぼ同じであり、遠目からだとハスラーもクロスビーもほとんど区別が付かないかも知れません。
ただ主要諸元を簡単に比べておくと、クロスビーの車体サイズは3760×1670×1705mm(全長×全幅×全高)に対して、ハスラーの車体サイズは3395×1475×1665mm(全長×全幅×全高)。
全高こそあまり違いは見られません(それでも5cm差)が、顕著にクロスビーの車体サイズが大きい。クロスビーは全長で37cm全幅で20cmもハスラーより大きいため、もしかすると写真の撮り方の問題だったのかも知れません。
クロスビーの方がハスラーよりカッコイイ!!
だからサイドから比べるとやや趣が違ってきます。
例えば、フェンダーアーチモールなどサイドの樹脂パーツはクロスビーはガッツリ施されてる。特にドア下部の3分の1程度まで覆われてるため、それだけクロスビーのSUV感が強い。全長が30cmも短にも関わらず、ハスラーの方が固まり感が少ないように見えます。
またクロスビーは大径タイヤを装着してるため、見た目的にカッコイイ。ハスラーはタイヤが軽自動車だけあって貧相。タイヤの細さはなんとも頼りがなく、クロスビーの方がより立体的でどっしりしたデザインに仕上がってる。
あとは塗装の質感もクロスビーが上回ると思います。ハスラーの塗装はのっぺりしてて質感が低い。またサイドドアの色も変える3トーンカラーを初めて採用するなど、クロスビーは見た目が更に充実しており、まさに「ハスラーの上位互換」と呼べそう。
特にリア周りを比較してみると顕著。
やはり軽自動車のハスラーと違ってサイズ的な制約がないため、クロスビーの方がデザインが自由に洗練されてる印象。ハスラーは法規に合わせてガッガッと削り落としてる感があります。
だから本来ハスラーで最初から作りたかったデザインがクロスビーで体現されてると表現して良さそう。つまり見た目だけで選択するなら、クロスビーが断然おすすめ。
室内の広さや内装の質感を比較
続いては内装デザインや室内空間の広さや大きさを比べたいと思います。やはり内装面でもクロスビーとハスラーは似通っているのか?
ざっくり比較すると、内装デザインもクロスビーとハスラーはほぼ同じに見えます。
もはや流用してるレベル。一応ソリオの内装もこんな感じではあるものの、やはりクロスビーはコンパクトカーとして売り出す以上、ハスラーとの違いをもっと強調しても良かったか。ただ細かくチェックすると違いも大きい。
例えばクロスビーはシルバーのメッキ加飾が多く、質感の高さはハスラーを若干程度上回ります。他にもシート表皮はどっちもファブリック素材ではあるものの、クロスビーは撥水仕様。地味にデザインもハスラーより凝っており、シートの触り心地にも優れる。
他にもナビ周り。クロスビーはボタンなどの操作類がナビ下部にオシャレに配されてることが分かります。ボタン類も大きく設計されており、操作性もクロスビーの方が高い。またメーターもハスラーが一連に対して、クロスビーは二連。全幅がある分だけクロスビーはデザイン面でも窮屈感が少ないことが分かります。
強いて言えば、ハスラーは助手席前のアッパーグローブボックスがあるのに対して、クロスビーはデザイン性を意識してか存在しない。ハスラーは室内空間は狭いものの、収納力では若干クロスビーに勝る部分もなくはない。
○室内の広さは意外とハスラーもクロスビーも同じぐらい?
そこで室内空間の広さを比較してみましょう。
スペック的にはクロスビーが2175×1355×1280mm(室内長×室内幅×室内高)に対して、ハスラーは2160×1295×1250mm(室内長×室内幅×室内高)。つまり車体サイズほどハスラーの室内は狭いってことはなさそう。
確かにクロスビーはコンパクトカーではあるものの、所詮はAセグメントカー。またソリオほど室内空間に割り切っていないため、あまり過度な期待は禁物ということか。だからクロスビーが拡幅されてる大部分の多くは見た目のブラッシュアップに比重が置かれており、先程の見た目の比較考察を裏付けるカタチ。
実際、平面図で確認すると、ハスラーは無理やり収められた窮屈さがあって、デザインは平面的。それに対してクロスビーは下半身を中心として、かなり立体的に厚みがあるデザインが施されてることが分かります。
とはいえ全長で+1.5cm、全幅で+6cm、全高で+3cmほどクロスビーが上回る。特に全幅6cmの差は数字以上に体感できるレベルであり、ハスラーよりも室内空間に余裕があることに違いはありません。
走りの良さや乗り心地はどっちがおすすめ?
続いては走りの良さを比較したいと思います。果たしてハスラーとクロスビーはどっちが走行性能に優れるのか?
結論から書くと、クロスビーの方が走りの面で充実してると思います。
例えばトレッド幅はハスラーが1290mmに対して、クロスビーは1470mm(2WD)。スイフトスポーツもトレッド幅を拡張させたことで走りの安定度が増したように、この差は走りに大きな違いをもたらす。
またクロスビーはリアスタビライザーも標準装備されてることも手伝ってふらつき感は少なく、ハスラーよりもロール感は乏しいのがGood。カーブなどではクロスビーがそれだけ安定。ハスラーは軽自動車だけあって全高が高く、ややアンバランスで不安定な点もマイナス。
乗り心地に関しても、ハスラーはやや不利。サスペンションのストローク量もあるクロスビーの乗り心地は至ってマイルド。それだけ長距離ドライブでも疲れない。一方、プラットフォームの古さもあってハスラーはしんどい。軽自動車とコンパクトカーの差は大きい。
他にも見晴らしの良さは新型クロスビーに軍配が上がると思います。
フロントガラスの面積は大差ありませんが、バックガラスはクロスビーの方が大きい。またリアクォーターガラスもハスラーには存在しない。ヒップポイントやアイポイントの高さ、ダッシュボードの位置なども総合的に比較するとハスラーは…。
一方、最小回転半径がクロスビーが4.7mに対して、ハスラーは4.6m。やはり軽自動車だけあって小回り性能ではハスラーに軍配が上がります。
○気持ちいい加速感はクロスビーに軍配
加速性能もやはりクロスビーの方がおすすめ。
具体的にエンジンを比べると、クロスビーは1.0L直3ターボエンジン+マイルドHV、ハスラーターボは0.66L直3ターボと、そして同じくマイルドHVを搭載。ただ電気モーターはクロスビーの方が1馬力ほどパワーアップしております。
クロスビーのスペックも最高出力は73kW(99PS)/5500rpm、最大トルクは150Nm(15.3kgm)/1700~4000rpm。一方、ハスラーターボは最高出力は47kW(64PS)/5500rpm。最大トルクは95Nm(9.7kgm)/1700~4000rpm。
ターボエンジン同士で比較しても、クロスビーが排気量分だけスペック的にも大きく勝る。もちろん両者の車重差は150kg近くあるものの、トルクの太さが1.5倍以上近い差があるのは見過ごせない。
もちろんハスラーターボもわずか820kgと軽量なため、そこまで加速性能が見劣りするわけではないものの、走り全体で評価するならクロスビーがおすすめ。クロスビーは車重が重いからこそ路面からの突き上げ感を相殺し、乗り心地の良さや走りの質感にポジティブに貢献してる部分はあるはず。
また変速機にも違いがあって、ハスラーがCVTに対してクロスビーは6速AT。それだけクロスビーの方が自然なアクセルワークを楽しめると思います。他にもクロスビーの4WDモデルには「スポーツ/スノーモード」などが標準装備されるなど、ハスラーよりも走りに特化していると思います。
やはり車格の違いは全体的に無視できないと思います。もっと詳しくクロスビーの走りの評価を知りたい方はスズキ新型クロスビー 試乗まとめなども参照。
コストパフォーマンスの高さはどっちがおすすめ?
最後は「コストパフォーマンスの良し悪し」を比較して記事を終わりたいと思います。クロスビーとハスラーはどっちがお買い得なのか?おすすめなのか?
まず両者の価格帯を確認しておくと、ハスラーが110万円~178万円に対して、クロスビーが176万円~223万円。
ざっくり言えば、ハスラーの上級グレード(4WDツートンカラー)の価格が、ちょうどクロスビーのエントリーグレードの価格帯と被ってくる計算。やはりコンパクトカーと軽自動車の違いもあって、全体的にクロスビーの価格帯は割高。
ただクロスビーの価格は割高な分だけ、装備面でいろいろ充実しております。
○クロスビーは価格は高いが装備面がしっかり充実
例えば上級グレード同士の「クロスビーMZ(200万円)」と「ハスラーXターボ(154万円)」で比較してみましょう。価格差は約50万円ですが、クロスビーにそれ以上の価値があるのかどうか。
オートライトシステムはどっちも標準装備ではあるものの、クロスビーは自動消灯システムも完備。リア周りでは、クロスビーはルーフエンドスポイラーも標準装備されてる。
ラゲッジルームはどっちもフルフラットにできるものの、クロスビーは防汚タイプラゲッジフロアを採用するなど、ハスラーよりもアウトドア目的に向いてる。しかもハスラーと違って、クロスビーはラゲッジルームランプも標準装備。
内装面を確認すると、どっちも本革巻ステアリングを採用してるものの、クロスビーはシフトノブも本革巻き仕様。またクロスビーはステアリングオーディオスイッチも標準装備。先程室内空間を比較しましたが、内装の質感はハスラーは価格差分だけクロスビーに見劣り。
また自動ブレーキシステムに関しては、ハスラーはステレオカメラ式に対して、クロスビーは赤外線レーザー+単眼カメラ式が標準装備されています。ハスラーが若干上回る気がしないでもないですが、性能的には大差なし。
でもクロスビーの場合、リヤパーキングセンサーも装着されてる。そのため後退時に間違ってアクセルを踏んでも、クロスビーは障害物や壁にぶつかりづらい。サイド・カーテンエアバッグも標準装備されており、クロスビーは安全面でもハスラーよりも充実。
もちろんハスラーは全グレードに自動ブレーキが標準装備されてるなど有利な部分はあるものの、基本的にクロスビーの方が装備面は充実。価格差は20~50万円とそれなりですが、ハスラーの上級グレードを購入するなら少し無理してクロスビーを買った方が幸せになれるはず。
○クロスビーのエントリーグレードは買うな?
ただしエントリーグレードである「クロスビーMX(176万円)」はやや捨てグレード感(もっと言えば地雷グレード)が強いので注意。
例えば、このクロスビーMXには自動ブレーキが標準装備されておらず、サポートパッケージ装着車を選ぶと実質的には186万円。またLEDヘッドライトなども装着すると190万円を超えてくるのに、本革巻ステアリングなどは装着できない。正直、買っちゃダメなレベル(笑)
スズキ新型クロスビーvsハスラー比較総括まとめ
以上、カーギークによるスズキ新型クロスビーとハスラーの徹底比較まとめでした。
割と違いも多かった両者。特に見た目に関しては、クロスビーこそが「本来あるべき姿」といった印象。意外とハスラーと同じなのかと思いきや、サイズ感も含めてまさにちょうどいいベストと思わせるスタイリング。
逆にハスラーは軽自動車だけあって、どこか小ぢんまりしてる感は否めず横に並べて比較すると迫力に欠けるデザイン風。ただハスラー購入者の大半は女性らしいので、クロスビーの発売をキッカケにハスラーを割り切ってもっと小さく可愛く仕上げてもいいのかも?
とはいえ、クロスビーとハスラーの価格差は無視できない。
一応、ハスラー購入者がそのままアップサイジングしてるってことですが、ハスラーを買う軽自動車ユーザーがそのまま素直にクロスビーに流れるかは不透明な気もします。だからクロスビーはダウンサイジング組を取り込むためのクルマなのかも?
実際、ハスラーの販売当初はBMW・MINIなどと比べられましたが、さすがに軽自動車との比較は無理があった。でもクロスビーMZであれば、MINIなどと比較する上ではまさに最適な車種。実用性の高さも考慮すればクロスビーは輸入車からのダウンサイジング組も十分取り込めそう。
ちなみにカーギークでは「クロスビー vs イグニス」「ジムニー vs ジムニーシエラ」も既に比較してるので良かったらご参照。
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