ようやく20年ぶりにスズキ新型ジムニーがフルモデルチェンジを行いました。もちろん普通車版の新型ジムニーシエラも同じく次期モデルに刷新。でも誰もが気になったことがあるのではないか?
それが「ジムニーとジムニーシエラの違い」。もちろん先代モデルからジムニーシエラは発売されていたものの、やはり改めて両者の違いのなさが際立つ。パット見は誰が比べても、ほぼ同じにしか見えない。
そこで今回カーギークでは「ジムニーとジムニーシエラの違い」を改めて徹底的に比較してみたいと思います。ジムニーシエラの購入を迷っている方も多いと思うんですが、シエラの試乗レビューも今回の比較記事でレビューしております。
果たしてどっちを買えばいいのか?是非参考にしてみてください。
【新型】ジムニーもジムニーシエラもどっちもほぼ同じ車(笑)
結論からさっそく書いちゃうと、「ジムニーもジムニーシエラもほぼ同じ」というのが答えになります。笑っちゃうぐらいどっちも同じ。逆にジムニーとジムニーシエラの違いを探すのが難しいほど。
そこで新型ジムニーと新型ジムニーシエラの車体サイズを比較してみようと思います。さすがに軽自動車と普通車(5ナンバー)の違いがあるんで、それなりに大きさや車内の広さは異なるはず?
○新型ジムニーの車体サイズや室内の広さ
- 全長…3395mm
- 全幅…1475mm
- 全高…1725mm
- ホイールベース…2250mm
- 室内長…1795mm
- 室内幅…1300mm
- 室内高…1200mm
○新型ジムニーシエラの車体サイズや室内の広さ
- 全長…3550mm
- 全幅…1645mm
- 全高…1730mm
- ホイールベース…2250mm
- 室内長…1795mm
- 室内幅…1300mm
- 室内高…1200mm
○ジムニーとジムニーシエラは全く同じ車体を使用している
以上、それぞれの車体サイズを確認しても分かるように、新型ジムニーも新型ジムニーシエラも主要諸元がほぼ同じ。室内の広さやホイールベースに至っては、ほぼ完全に同じ。車内の広さはジムニーシエラに一番期待したい部分なのに何故?
この理由はシンプル。何故なら、ジムニーもジムニーシエラも同じ車体やプラットフォームを使用してるから。つまりジムニーシエラは普通車にカテゴライズされてるものの、中身はほとんど軽自動車。
じゃあ、何故全長と全幅で15cm前後の違いが出るのかと言うと、これは主にデザインの違いがそのまま反映されてる。全幅だと盛り上がったフェンダーアーチモールが新型ジムニーシエラは盛り上がってるのに対して、新型ジムニーはプレスラインが施されてるだけ。
実際に新型ジムニーと新型ジムニーシエラを横に並べて比べても、やはり大きな違いが見られません。左がジムニーシエラ、右がジムニーなんですが、実際に目の当たりにした方がどっちも雰囲気が同じでビックリするかも。
逆にジムニーとジムニーシエラの価格帯に違いも少ない
だから、新型ジムニーと新型ジムニーシエラの内装も全く同じだったりします。室内の広さどころか、内装の質感なども両者に大きな違いはございません。さすがに軽自動車と普通車の質感に違いがないってどうなん?
そのためここまで比較記事を読むと新型ジムニーシエラの購入に躊躇感が出てきた人もいそうですが、ただ良い面もあります。それが新型ジムニーも新型ジムニーシエラも値段や価格面で大きな違いはないこと。
○ジムニーの値段一覧
- ジムニー「XG」…145万円/155万円
- ジムニー「XL」…158万円/167万円
- ジムニー「XC」…174万円/184万円
(左が5速MTモデル、右が4速AT)
○ジムニーシエラの値段
- ジムニーシエラ「JL」…176万円/185万円
- ジムニーシエラ「JC」…192万円/201万円
(左が5速MTモデル、右が4速AT)
新型ジムニーシエラには廉価グレードが設定されてないので、両者に価格差があるようにも一見思えますが、どっちも最上級グレード同士で比べてみるとわずか18万円前後の違いに留まってることが分かります。
新型ジムニーのミドルグレードで新型ジムニーシエラが購入できちゃうぐらいなんで、言うてどっちも価格差がないと分かるはず。車体サイズや荷室スペースの広さなども同じだからこそ、値段などでも大きな違いは出てこない。
じゃあ新型ジムニーと新型ジムニーシエラは何が大きく違うのか?これだったらシエラを購入する意味や動機ってなくね?本当にどっちも完全に同じなの?って話。もちろん両者に大きな違いは存在します。
両者の大きな違いは「搭載エンジン」にあり!
さっそく結論から書く、新型ジムニーと新型ジムニーシエラの大きな違いは「搭載エンジン」にあります。やはり排気量に制限がある軽自動車と、何でもありの制限なしの普通車とでは全く異なります。
そこで新型ジムニーと新型シエラのそれぞれの搭載エンジンをチェックしてみましょう。
○新型ジムニーのエンジンスペック
- 排気量…660cc直3ターボエンジン
- 最高出力…47kW(64PS)/6000rpm
- 最大トルク…96Nm(9.8kgm)/3500rpm
- 変速機…4速AT(5速MT)
- 車重…1040kg(1030kg)
- カタログ燃費(WLTCモード)…13.2km/L(16.2km/L)
- タンク容量…40L
○新型ジムニーシエラのエンジンスペック
- 排気量…1500cc直4ガソリンエンジン
- 最高出力…75kW(102PS)/6000rpm
- 最大トルク…130Nm(13.3kgm)/4000rpm
- 変速機…4速AT(5速MT)
- 車重…1090kg(1070kg)
- カタログ燃費(WLTCモード)…13.6km/L(15.0km/L)
- タンク容量…40L
ざっくりエンジンの違いをまとめると、軽自動車の新型ジムニーは「660cc直3ターボ」なのに対して、普通車の新型ジムニーシエラは「1500cc直4NAエンジン」になります。排気量は倍以上。
逆に言うと、新型ジムニーも新型ジムニーシエラも共通のものを車体に採用しているため、カタログ燃費や車重、タンク容量などではやはり大きな違いは見られません。
そこで新型ジムニーと新型シエラの走りに違いは出てくるのか両者を比べてみましょう!
走りや加速感で選ぶなら新型ジムニーシエラがおすすめ!
ってことで結論から書くと、走りの質感や加速感で評価するなら普通車の新型ジムニーシエラがおすすめになります。何故なら、エンジン排気量の660ccと1500ccの差や違いはやはり大きい。
スズキ新型ジムニー試乗レビューでも徹底的に評価してますが、軽自動車の新型ジムニーはエンジンスペックが若干低下してることなども手伝って、「加速感が物足りない」とする試乗の評判も少なからず存在します。
まさに、加速感が新型ジムニーの「唯一の欠点」。そのため新型ジムニーシエラは「ジムニーの弱点」をしっかり埋めてくれると言えます。軽自動車に1500ccエンジンを搭載してるようなものですから、NAエンジンではありながら発進加速は上々。
新型ジムニーと車重がほぼ同じだからこそ、出力は約1.6倍、トルクは約1.4倍の違いは体感できるほど大きい。また新型ジムニーシエラは先代と比べても15馬力ほどパワーアップしてるので、より加速感の良さを体感できるか。
ターボとNAエンジンの違いでも比較しましたが、NAエンジンは低速トルクは薄いものの、どのエンジン回転域でもアクセルを踏んだら踏んだだけ走ってくれる挙動が良い。新型ジムニーの試乗で評判が良かった静粛性も、新型シエラは直4エンジンのため更に静かさに磨きがかかってる。
どっちも3リンクリジッドアクスル式コイルスプリングやラダーフレーム構造を採用するなど、それぞれ車体剛性が同じぐらい高い。ただ新型ジムニーは車体剛性の高さにエンジンが追いついてない。
だからこそ、新型ジムニーシエラは「本来ジムニーが持つ走りの良さ」を最大限引き出してくれてる。そのため新型ジムニーシエラで高速道路など、ノーマルジムニーよりも確実に長距離ドライブは快適に走らせられそう。
○新型ジムニーシエラの欠点は4速AT
ただし、新型ジムニーシエラにも欠点はあります。それが「変速機がジムニーと同じ4速AT」を採用していること。エンジン排気量は大きいものの、何故か室内サイズなどと同じで軽自動車のジムニーと変わらない。
さすがに、そこはスズキ新型クロスビーのように6速ATを採用しても良かったのではないか。先程は高速道路を走行すると気持ち良いかもと書きましたが、実際には高速域だと新型ジムニーシエラの物足りなさもなくはないかも。
新型ジムニーシエラの売れ行きなどを考えての判断かも知れませんが、さすがに数年以上先に行われるであろうマイナーチェンジなどで変速機でテコ入れされる可能性はありそう。さながら新型ジムニーシエラは宝の持ち腐れな面も。
新型ジムニーと新型シエラの維持費や実燃費の違いまとめ
既にカーギークでは「軽自動車vs普通車」という記事でも比較はしてるんですが、最後は新型ジムニーと新型ジムニーシエラの維持費や実燃費の違いを比べていこうと思います。
まず毎年必要な税金が軽自動車税と自動車税。新型ジムニーは毎年10800円に対して、新型ジムニーシエラは毎年34500円。一見すると差額は大きそうですが、月額に換算するとわずか2000円程度の違い。
そして自動車重量税は新型ジムニーが6600円に対して、新型ジムニーシエラは24600円。3年に一回の車検時に支払う税金のため、自動車重量税の維持費は年間6000円程度の差。車検時の印刷代も100円程度の違いしかない。
また自賠責保険の金額差は1000円もないなど確実に必要な維持費で比較すると、新型ジムニーも新型シエラもどっちも負担額に大きな差はなさそう。
またカタログ燃費は前述の通り、新型ジムニーも新型ジムニーシエラも大差なし。場面によると思うんですが、実際WLTCモードは実燃費に近い数字が出るため、新型ジムニーと新型シエラの燃料費の差は同じと考えて良さそう。
むしろ新型ジムニーシエラはNAエンジンを搭載してるので、特に高速道路で走行する場合、新型ジムニーよりも実燃費は良さそう。そのため結論をまとめると、新型ジムニーも新型ジムニーシエラも維持費の違いはほとんどないと思います
【比較まとめ】新型ジムニーも新型シエラも基本はどっちも同じ!
以上、カーギークによるスズキ新型ジムニーと新型ジムニーシエラの徹底比較まとめでした。
何度も同じ繰り返しになってしまうんですが、本当に「クリソツ」というレベルを超えるぐらいに同じ。シエラはジムニーのプラットフォームを流用しているため、車体をそこまで大きく設計できない。
だから最後にジムニーとジムニーシエラの違いを大きくまとめると、「デザイン性」と「走り」の二点が挙げられます。逆に言うと、それ以外に関してはどっちもほぼ違いはないと考えた方がいい。
クロスビーとハスラーの比較記事で比べたとき以上に、ジムニーとジムニーシエラはほぼ同じ。もっと言うなら、新型ジムニーシエラはほぼ軽自動車と考えた方がいい。少なくともジムニーシエラは「普通車のように扱う」のは難しそう。
そのため新型ジムニーシエラは「普通車版ジムニー」というウリ文句を鵜呑みにして購入すると、おそらく買い物としては失敗しそう。あくまでスズキ的には「軽自動車のジムニーを売っていきたい」ということなのでしょう。
○新型ジムニーシエラは「ジムニーの最上級グレード」
ただ排気量が倍以上に大きいことからも、新型ジムニーシエラの走りは上等。中身が軽自動車だからこそ、エンジンだけそのまま普通車サイズのものを持ってくることに大きな意義がある。
軽自動車のオモチャサイズにパワフルなエンジンを搭載して走る価値。またタイヤのサイズは新型ジムニーが16インチに対して、新型シエラは15インチ。その分だけ、実はシエラの乗り心地や快適性が更にアップしてる。
新型ジムニーシエラの走りは、しっかりジムニーが持つ高剛性の車体を最大限引き出せてるのは大きな魅力。軽特有の走りのノロマさを知ってる方にとっては、新型ジムニーシエラは十分お買い得。
そして改めて両者の比較画像をチェックしておくと、新型ジムニーシエラの方が見た目は圧巻。細かい部分ではあるものの、フェンダーアーチモールやバンパーなどガッチリとデザインされており、やっぱりノーマルジムニーよりも良い。
これで価格差はわずか数十万円。室内が拡大するわけではないので割高感もなくはないですが、そうやって比較していくと新型ジムニーシエラは「ジムニーの最上級グレード」的な位置付けとして認識すると良いんじゃないかと思います。
ジムニーそのものの出来が普通車並みに優れてるので、室内サイズの広さなどさえ気にならなければ新型ジムニーシエラを購入する価値は十分ありそう。
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