スズキが1990年代に発売した人気軽自動車が「ワゴンR」。軽自動車市場を開発した先駆者と言ってもいいと思いますが、最近のワゴンRの新車販売台数は芳しくない。理由はN-BOXやスペーシアに代表されるスライドドアタイプの軽が主流になったから。
そこでスライドドアを搭載した「ワゴンRスマイル」が2021年8月27日に発表されました。発売日そのものは9月10日とのこと。半導体不足の影響もあって当初は9月~12月以降に発売が遅れるという情報もありましたが、ワゴンRスマイルは思いの外早く発売。
今回カーギークでは月販1万台を目論むワゴンRスマイル(略称はWRS?)の最新情報を簡単にまとめてみました。広瀬すずをCMに起用するなどスズキもかなり力が入っている様子。
ワゴンRスマイルの外観デザインは?
まずはワゴンRスマイルの外観デザインを簡単におさらい。
ワゴンRスマイルには丸目ヘッドライトを採用して、可愛らしさを追求したデザインに仕上がってます。当初の予想ではエアインテークを口のように見立てて、フロントマスクが「笑顔(SMILE)」に見えるデザインになると言われていました。
でも結果的には良くも悪くも落ち着いたデザインに仕上がってる印象です。またメッキグリルを中央で繋げているせいで、ヘッドライトもそこまで丸目感もない。改めてベース車両については後述しますが、デザイン的にはスペーシアの派生車種に近い。
そのためワゴンRスマイルを横から見ると、スペーシアのように優しい凹凸感が強いデザインに仕上がっています。
ワゴンRスマイルにはツートンカラーも設定されます。ライバル・ムーヴキャンバスにも設定されているものの、ボンネットまで加飾される変なツートンカラー。ワゴンRスマイルの方が一般ウケしそうか。
ワゴンRスマイルの車体カラーは最大12色になります。あくまで高級グレード「ハイブリッドX」に限られますが、スズキ車の中でもかなり充実。ムーヴキャンバスより車体カラーは少ないものの、パステルカラーばかり。それに比べてワゴンRスマイルは男でも買える色が多め。
ワゴンRスマイルはスペーシアがベース車両?
ワゴンRスマイルは車名の通り、ワゴンRの派生車種。更に言うと、「スライドドアが追加されたワゴンR」という位置づけになります。これはダイハツ・ムーヴキャンバスの成功を参考に、スズキも小型のスライドドア軽を投入してきたカタチ。
ただワゴンRスマイルのベース車両は「スペーシア」になります。
事実、ワゴンRスマイルの内装インパネ周りを確認すると、スペーシアの「それ」がベースにあることが分かります。ワゴンRの内装はセンターメーターを採用してる。ムーヴキャンバスもベース車両はタントだったように、スズキも以下同文。
スライドドアを装着できるようにワゴンRを改造するより、既にスライドドアを装着しているスペーシアを小型サイズにした方が開発費がかからないということ。車体カラーが豊富だった理由もスペーシア譲り。
ただし、スペーシアの内装とも若干異なります。インパネ周りには光沢感があって質感が高く、内装カラーも3種類ほど用意されているそう。しっかりオリジナルの内装に仕上がってる点も、ワゴンRスマイルを購入したくなる要素ではあるのでしょう。
スペックや燃費は?
続いては新型ワゴンRスマイルのカタログスペックを解説。
ワゴンRスマイルの車体サイズは3395×1475×1695mm(全長×全幅×全高)になります。ホイールベースは2460mm。ワゴンRと比べると4.5cmほど全高が高い。ダイハツ・ムーヴキャンバスの全高と比べても4cm高い。室内サイズも2185×1345×1330mmと広々。
パワートレインはR06D型を搭載し、最高出力は36kW(49PS)/ 6500rpm。最大トルクは58Nm(5.9kg・m)/5000rpm。ハイブリッドモデルは2.6PS/4.1kgmの電気モーターを搭載します。車重は840~870kg。ワゴンRと比べると50kg程度重くなっている。
カタログ燃費(WLTCモード)は最大25.1km/Lと優秀ですが、正直走りのパワフルさは皆無でしょう。良くも悪くも「ワゴンRにスライドドアが追加された」というそのままのモデル。ワゴンRスマイルは実用性が大きく増す反面、走りや燃費面では見劣りしています。
ちなみに、ワゴンRスマイルにはいずれターボモデルが投入されると言われています。おそらくムーヴキャンバスなどがフルモデルチェンジする際、そのテコ入れとしてターボエンジン搭載モデルが新たに投入されるに違いない。
価格や値段は?
続いてはワゴンRスマイルの価格。
- ハイブリッドX…159万円
- ハイブリッドS…147万円
- G…129万円
- (4WDモデルは+12万円程)
ワゴンRスマイルの値段がこちら。ワゴンRの値段が116~165万円程度なので、ワゴンRスマイルはそこまで値上がりしてない。また全車ハイブリッドのスペーシアの価格が138~183万円なので、それと比べてもワゴンRスマイルの価格は割と安いです。
例えば、ワゴンRスマイルの装備面を見てみると、150万円台の【ハイブリッドX】には360度UV&IR カットガラスが採用されているので女性には嬉しい。他にもLEDヘッドライトや本革巻ステアリング、6スピーカーなどが装備されます。
最廉価グレードの【G】はマイルドハイブリッド、運転席シートリフターなど割と装備が割愛されています。4WDを選べばシートヒーターなどが追加されますが、特に選ぶメリットは少ないです。いわゆる客寄せパンダグレードになってます。
安全装備は?
一方、ワゴンRスマイルの安全装備はまずまずレベルです。デュアルブレーキサポートは全車標準装備ですが、スペーシアでは全車速域の追従クルーズコントロールが標準装備なのに対して、ワゴンRスマイルは+4万6000円のオプション装備のみ(Gは設定すらなし)。
それでもワゴンRスマイルは「カーテンエアバッグ」が全車標準装備されています。一方のワゴンRはカーテンエアバッグが設定されるのは、カスタムグレードのスティングレー以上。安全性能という点ではスズキ車の中でも高い方に該当するはず。
だから個人的にワゴンRスマイルはもっと割高になると思っていたので、この価格帯は非常に魅力的。スペーシアに搭載済みのパワースライドドア予約ロック機能や両側ワンアクションパワースライドドアなど、G以外には標準装備されているので実用性は高い。
どうしてもオプション装備も多いので実際に購入すると更に割高になってしまいますが、ノーマルのワゴンRを購入するメリットが薄くなった印象です。
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