2018年7月5日にスズキ新型ジムニーがフルモデルチェンジ。20年ぶりのテコ入れということで大きな話題になりました。今回の新型ジムニーの型式は「JB64型」と呼ばれるそう。
既にYoutubeなどでは試乗動画が何個もアップロードされていますが、今回カーギークでも遅ればせながら「スズキ新型ジムニーの試乗インプレッション」をレビューしていきたいと思います。
試乗記事ということで走りはもちろん車中泊に向いているかなど、新型ジムニー(JB64型)を総合的に評価してみました。
【試乗】新型ジムニーの外観は「ジープ並」のオフロード感満載!
まず新型ジムニーの内外装から評価。試乗の本題を読みたい方はズバッとスクロール推奨ですが、新型ジムニーはキープコンセプトではあるものの、かなり外観の雰囲気は変わっております。
スズキ新型ジムニーの外観エクステリアがこちら。
先代と同じく丸目ヘッドライトを採用しているものの、新型ジムニーのフロントマスクはかなりオフロード感が増しました。ハスラーの成功にヒントを得たのか、大きめの角ばったガーニッシュが非常に存在感がたっぷり。
一方で、スズキ新型ジムニーから漂う程よい「オモチャ感」も良い。もちろん軽自動車ということが大きいんですが、こういう「やすっぽい可愛らしさ」も味わいになってそう。無骨さは増したものの、新型ジムニーは引き続き女性も買いやすいか。
また新型ジムニーは様々なアクセサリーなども用意されており、こういったカスタマイズも可能らしい。新型ジムニーの車体カラーは全13色など先代比で約倍。スズキの力の入れっぷりが読み取れます。
ちなみに新型ジムニーでは従来のボンネットの穴は消滅しております。
新型ジムニーのリア画像を確認しておくと、相変わらずハッチゲートにスペアタイヤが装着されており、いかにもSUV的な無骨さは健在。横から見るとホイールアーチは半円型からスクエア型に進化してるのもポイント。
一方、最近のスズキのトレンドなんですが、新型ジムニーのリアコンビランプは横長にバンパーに配置することで、ハッチゲートや荷室開口部は拡大しております。荷室地上高は760mmと低くはないものの、新型ジムニーは荷物の積載性はアップしてるのではないか。
またナンバープレートの位置も真ん中に配置されるなど、新型ジムニーのデザインは全体的に「まとまり感」が増した印象を受けます。
○新型ジムニーの外観デザインの安っぽい点
ただ新型ジムニーの見た目に「安っぽさ」や「ダサさ」も残っております。
例えば、「ドアの持ち手」部分がダサい。新型ジムニーのそれは「下から開ける」タイプを採用してる。今どき、ミライースでも上下どちらからでも開けられるようなタイプのドアの持ち手を採用してるのに、これはない。
新型ジムニーはサイドのプレスラインなど非常に凝ってるとは思うんですが、何故ドアの持ち手だけ古臭いままなのかは不明。コストカットなどが最も考えられる理由ですが、どうしても安っぽい商用車などが思い浮かんでしまうのは自分だけ?
うーん。
○新型ジムニー 主要諸元・車体サイズまとめ
- 全長…3395mm
- 全幅…1475mm
- 全高…1725mm
- ホイールベース…2250mm
- 室内長…1795mm
- 室内幅…1300mm
- 室内高…1200mm
ちなみにスズキ新型ジムニーの主要諸元がこちら。
先代ジムニーと比較すると、新型ジムニーの車体サイズは全高が+10mmほど拡大。全長全幅はそのまま。室内長は+110mm、室内幅は+80mmほど拡大し、逆に室内高は-10mmほど低くなっております。
室内長は劇的に伸びておりますが、ここらへんは測る位置などで意図的に伸ばすことができるので過大な期待は禁物。ただ室内幅が拡大してるため、ここらへんは新型ジムニーの居住性に寄与しております。
○【評価】新型ジムニーの内装の質感はどうなんだい?
続いてはスズキ新型ジムニーの内装や室内空間を評価していこうと思います。
新型ジムニーの内装インパネ周りの画像がこちら。
例えば、メーターはオフロード感が増したデザインに進化。初期ジムニーを感じさせる懐かしさもありつつ、一方でメーターの間には液晶パネルが配されるなど、先代の良さを継承しつつ、新型ジムニーらしい先進性が取り込まれている様子。
そのため新型ジムニーの内装は「軽自動車感」みたいな安っぽさは減少。方向指示器のカチカチ音を一つ取っても安っぽくない。ダッシュボード周りも防汚仕様に表面が加工されており、触り心地も悪くない。
新型ジムニーにはオートエアコンやシートヒーターもミドルグレード以上には標準装備なので、先代ジムニーより使い勝手が抜群に向上してる点でもGood。
そこで新型ジムニーの内装を更に評価してみると、ボタン類なども大きいので操作性は抜群。ヒルディセントコントロールやパワーウィンドウスイッチなどもボタン一つでポン。ここらへんもちょっとしたオモチャ感はジムニーの個性と合ってる気がします。
また副変速機のトランスファーは手動で変更可能。新型ジムニーもパートタイム4WDなんですが、簡単に上下に操作するだけで2WDと4WDを変更できちゃう。「質感や実用性」「ジムニーらしさ」の点で、間違いなく先代ジムニーより進化してる内装。
○新型ジムニーの室内空間は狭い…
じゃあ、スズキ新型ジムニーの室内の広さはどうなのか?先程は室内長が大幅に伸びたことをお伝えしましたが、実際に新型ジムニーを試乗して体感的な広さはどうなのか?
結論から感想を書くと、新型ジムニーもやっぱり「室内は狭い」と思います。どうしても軽自動車のサイズは規格が決まっているため、新型ジムニーのフォルムが大きく様変わりしてない以上、室内の広さも基本的に変わらないと思います。
また相変わらず3ドアのため、新型ジムニーも後席シートへの乗降性は難。後席シートの居住性も新型ジムニーでは改善されてるものの、やはり依然として成人した大人が乗るにはしんどそう。身長が高い男性が乗れば、前席シートにヒザはくっつくレベル。
特に、荷室スペースはないに等しい状態。新型ジムニーでは床下スペースなどがちょこっと新たに作られてはいるものの、後席シートを折り畳まないとほぼ使い道がありません。普通の軽自動車よりも新型ジムニーは狭い…。
○新型ジムニーは「車中泊」も十分可能!
ただ新型ジムニーの後席シートは「完全なフルフラット状態」に畳めるのが大きなポイント。
そのため後席シートを常に畳んでおけば、新型ジムニーは奥行き980mm程度の広大な荷室空間が生まれます。だから新型ジムニーの室内は狭いなら狭いなりに、しっかり割り切っておけばそこまで使い勝手が悪いとは言えなさそう。
しかもフルフラット状態で前席シートを倒すと、ちょうど後席足回りの空間がピッタリと収まるように設計されてるのも魅力。だから車内全体でも限りなくフルフラットに近い状態になる。
そのため新型ジムニーで車中泊をする場合、決して快適とは言わないものの「しっかり大人が2名寝れる」という点で評価。例えば、新型ジムニーを使ってお子さんと二人で旅行する場合、難なく車中泊ができると思います。ましてや、一人で車中泊するのであれば言わずもがな。
実際、新型ジムニーでは車中泊を意識して収納スペースなどが設計されてる。マガジンXの試乗記事では「助手席後席をフルフラットに倒せば大人2名がゆったり寝れる」と高評価。車中泊を考えてた方にとっては新型ジムニーはおすすめ。
スズキ新型ジムニーのエンジンスペックまとめ
ってことで試乗記事の本題。スズキ新型ジムニーの走りを評価していこうと思います。まずは新型ジムニーのエンジンスペックなどを確認してみましょう。
- 排気量…660cc直3ターボエンジン
- 最高出力…47kW(64PS)/6000rpm
- 最大トルク…96Nm(9.8kgm)/3500rpm
- 変速機…4速AT(5速MT)
- 車重…1040kg(1030kg)
- カタログ燃費(WLTCモード)…13.2km/L(16.2km/L)
- タンク容量…40L
スズキ新型ジムニーのエンジンスペックがこちら。
新型ジムニーの搭載エンジンは引き続きターボのみ。変速機も4ATと5MTは先代ジムニーと変わらず。通常時は2WD(後輪駆動)で走行し、前述のように駆動方式はトランスファーレバーで操作します。
新型ジムニーのカタログ燃費は現状維持っぽく見えますが、WLTCモード表記のため実質的には低燃費性が増しております。燃料タンク容量は引き続き40Lが確保されてるので長距離ドライブも安心。
他にも細かい変更点はあるものの、そこは新型ジムニーの試乗感想をレビューしながら触れていこうと思います。
【試乗】新型ジムニーは会話も余裕な「静粛性の高さ」が評判!
んで、さっそく結論から試乗評価を書くと、スズキ新型ジムニーの走りは「普通車並」と色んな試乗記事で評判になるほどのの出来。まさに「軽自動車を越える走りの質感」がたまらないと思います。
先代から続くラダーフレーム構造で車体剛性が高いものの、新型ジムニーは先代以上に走りがしっかり設計。グラグラ感やブヨブヨ感はなし。それだけ新型ジムニーの乗り味は「どっしり感」が増してる。
何故なら、新型ラダーフレームはフレームの繋ぎ目の位置が変更され、また新たにメンバーと呼ばれる装置が追加されるなど、新型ジムニーはオフロード仕様にガチガチに頑丈に設計されてる様子。「ねじり剛性は1.5倍」というスズキ広報のアピールも決してウソじゃない。
実際、改造好きのカーマニアの中には「もう補強する必要なし」という試乗の声も。そのため新型ジムニーの「頑丈な塊感」は軽自動車のそれを越える。新型ジムニーは衝突安全性も間違いなく高そう。
それでいて新型ジムニーの足回りが柔らかいので、この懐の深い乗り心地の良さは非常にマイルドでたまらない。
3リンクリジッドアクシル式サスペンションは前後ともに同じですが、新型ジムニーではかなりチューニングされてるのか、ストローク感あるサスペンションは路面の凹凸感はほとんど伝えず。
そのため新型ジムニーの車内は至って静か。車内も余裕で会話ができます。特に、この「静粛性の高さ」が好意的に驚きを持って捉えられており、新型ジムニーの試乗動画の多くでは静かさが評判でした。
新型ジムニーでもそれなりに女性ユーザーが購入すると思われるので、お子さんとの会話など楽しめる点で良さそう。オフロード性能を高めつつも、新型ジムニーは日常での使い勝手も高めてる感じ。
○新型ジムニーは視界性が向上し、ロングドライブに向いてる!
そして、新型ジムニーは視界性もかなり向上していると評判。
Aピラーなどは更に切り立っており、前方視界性が改善。フロントガラスも普通は湾曲してることが一般的なんですが、新型ジムニーはベンツGクラスと同じように平面ガラスを採用してることが奏功。
またサイドウィンドウのウエストラインがドアミラー部分だけ凹んでおり、新型ジムニーは前方部分の死角が減ってる印象。小さい子供が近寄ってきても、先代ジムニーより確実に視認できるのが嬉しい。
他にもリアウィンドウの面積も拡大するなど、新型ジムニーの見晴らしはアイポイントの高さも相まって開放的。シートのホールド性も向上するなど居住性は高く、そのため新型ジムニーは長時間運転してても疲労感は少なそうです。
新型ジムニーのステアリングは程よく軽くて、車体剛性の高さもあって操縦安定性は高め。もちろん重心は高いものの、新型ジムニーはワインディングでも不安感は少ない。「ずっと乗ってられる」と評価するYoutubeの試乗動画もありました。
ブレーキングの挙動も絶妙のため、新型ジムニーは女性でも扱いやすそう。新型ジムニーはチルトステアリングが標準装備のため、大柄な男性が乗っても大丈夫。あらゆる面で進化したジムニーは万能性が増した感じ。
○新型ジムニーの加速感は「ややノッタリ感」が増した?
じゃあ、新型ジムニーの加速感はどうなのか?
結論から感想を書くと、新型ジムニーの加速感は4速ATで気持ち良い走りが実現されております。R06A型エンジンは静かなんだけど、しっかりモリモリと盛り上がっていく加速音が気分を高揚させる。
さながら「加速感は上品」と評価する新型ジムニーの試乗動画もあって、思わず納得。新型ジムニーの車重は1040kg程度と軽自動車としては重いものの、例えば勾配がある山道を走っても問題なし。
ただ新型ジムニーの試乗動画の中には「出足の加速の鈍さを感じた」という感想も。
実は、新型ジムニーはアルトワークスなどのターボエンジンよりもトルクが薄い。実際、先代ジムニーと比べてもトルクが1.0kgmほど減少してる。また車重も新型ジムニーは先代比で+40kgほど増加。
そのため新型ジムニーの乗り味や静粛性は俄然改善されてるものの、そういった快適性とは引き換えにスピード感や力強さはやや低減してる可能性はありそう。少なくとも、新型ジムニーの走りに軽快さはないかも。
でも逆に言えば、それだけ車重が増加したということは、フレームが強化されドアやウィンドウが肉厚化されてる裏返し。
あくまでジムニーは街乗り目的で利用する人が多いと思うし、重心の高さからブイブイと飛ばすような軽自動車でもないので、そこまで気にしなくても良さそう。
スズキ新型ジムニーの実燃費はほぼWLTCモード通り?
最後はスズキ新型ジムニーの燃費性能を評価。
結論から書くと、スズキ新型ジムニーの実燃費は割と優秀です。
もちろん決して低燃費とまでは評価できないものの、マガジンXの試乗記事などではおおよそWLTCモード通り。具体的には新型ジムニーの実燃費はおよそ13~16km/Lとほぼカタログ燃費通り。
乗り手のドライブテクニックに左右されそうですが、とりわけMT車の実燃費は16km/L前後。新型ジムニーの燃料タンク容量は40Lと大きいため、アウトドアなど遠出ドライブも容易にできそう。
R06A型エンジンは加速感はマイルドになったものの、その分だけ静粛性と実燃費に優れてるエンジン。新型ジムニーは車重が増加し、ターボエンジンのみということも加味すれば、この実燃費は合格点ではなかろうか。
少なくとも新型ジムニーの燃費性能は先代モデルより改善されており、維持費の負担は軽減されてることは間違いない。
【試乗】スズキ新型ジムニー 評価評判・口コミ感想まとめ
以上、カーギークによるスズキ新型ジムニーの試乗レビューまとめでした。
今回の試乗記事を一言でまとめると、新型ジムニーの出来は非常に良いと思います。今後も10年20年とジムニーは安定して売れ続けていくことは間違いなさそう。一度試乗すればスズキの努力が読み取れそう。
もちろんWLTCモードの導入など燃費規制のため、エンジンのトルク感がやや薄くなったのは難ですが、それでも新型ジムニーの走りの質感は大幅に向上しており、本当に運転してて楽しいと思います。
やはり車体剛性やサスペンションが更に改良されたことで、新型ジムニーは居住性や快適性もアップ。マイルドな乗り心地と静粛性の高さは、新たなジムニーの一面を開拓したとカーギークでは評価してみる。
また前述のようにボタン類は操作性に優れてるんですが、シフトレバー位置も絶妙。MT車は「機械を操ってる感」が男の子心をくすぐり、きっとMT乗りも新型ジムニーを運転してて楽しいはず。
もし新型ジムニーが販売終了するとしたら、10年20年後は更に強まるであろう「燃費規制」ぐらいか。そのため、もしかすると次のフルモデルチェンジにおいては、新型ジムニーは「EV化(電動化)」も十分考えられそうです。
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