【違い】エブリイ vs ハイゼットカーゴ 徹底比較まとめ【長所短所】

最近、スズキは新型スペーシアのフルモデルチェンジを行いました。この新型スペーシアの試乗の評判も良く、軽自動車の販売台数ではホンダ新型N-BOXに次いで2位を確保し続けております。他にもスズキは新型ジムニーの試乗評価も極めて高い。

こんなスズキが誇る軽商用車が「エブリイ」。1982年に初代エブリイが発売されて、既に40年に迫ろうとしている古株車。キャリイバン時代を含めると、既にエブリイの歴史は50年以上。

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(上:スズキ・エブリイ、下:ダイハツ・ハイゼットカーゴ)

そこで今回カーギークではスズキ・エブリイとライバルのダイハツ・ハイゼットカーゴを徹底的に比較していこうと思います。果たして、どっちが軽商用バンとしての使い勝手が良いのか、また商品力が高いのか比べてみました。

興味があれば後で「商用バンがムダに速すぎる理由」なども参照。

エブリイとハイゼットカーゴの内外装を比較してみる

まずエブリイとハイゼットカーゴの内外装を比べてみようと思います。

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(上:エブリイ、下:ハイゼットカーゴ)

最初はデザインを比較してみると、エブリイとハイゼットカーゴのデザインに違いも意外と多いことが分かります。

例えば、ヘッドライト。エブリイは縦長に対して、ハイゼットカーゴは横長。どっちかというと、エブリイはいかにも軽商用車的な雰囲気。ハイゼットカーゴは乗用車ライクなデザイン。そのため街中でもハイゼットカーゴよりもエブリイを見かけた記憶が強い。

ハイゼットカーゴの発売年は2007年。一方、エブリイは2015年にフルモデルチェンジしたばかり。ただハイゼットカーゴも2017年にビッグマイチェンでデザインにテコ入れしただけあって、そこまで古くささは感じません。ちょっとしたツートンカラー的なフロントマスクが少しイカしてるか。

実際、車体カラーで比較してみるとエブリイが6色に対して、ハイゼットカーゴは7色。カラーラインナップはハイゼットカーゴに軍配。…とはいえ、エブリイとハイゼットカーゴのどっちがデザインに優れてるかは甲乙付けがたいのが本音。

○【比較】内装インパネ周りもどっちも良い勝負!

続いては内装インパネ周りの比較。値段の詳細な比較は後述しますが、エブリイの方がハイゼットカーゴの価格帯よりもややお高め。それを踏まえた上で内装の質感などを比べてみます。

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(上:エブリイ、下:ハイゼットカーゴ)

結論から書くと、エブリイの内装もハイゼットカーゴの内装も大きな違いがございません。

もちろんデザインなどは異なるものの、質感や収納力の点で大差があるかは微妙。どっちにもドリンクホルダーなどが標準装備されるなど実用性は十分。シートの質感や座り心地もどっちも軽商用車の域に収まっており、良くも悪くも大きな違いはないでしょう。

ただ強いて言えば、収納スペースならハイゼットカーゴ質感の高さならエブリイに若干軍配か。ハイゼットカーゴの助手席前のダッシュボードには収納BOXがあり、逆にエアコンの吹出口などはエブリイの方がより乗用車的。

とはいえ、やはり内装面で比較してもどっちが優秀なのかは甲乙付けがたい。まさにエブリイもハイゼットカーゴも良い勝負。

エブリイとハイゼットカーゴの車体サイズを比較してみる

続いてはエブリイとハイゼットカーゴの車体サイズを比較してみようと思います。実は同じ軽商用車ですが、実は主要諸元を詳しく確認すると違いも多かった。ちなみに、どっちもハイルーフ仕様のグレード同士で比べております。

○エブリイの車体サイズと主要諸元

◆全長…3395mm
◆全幅…1475mm
◆全高…1895mm
◆ホイールベース…2430mm
◆最小回転半径…4.1メートル
◆最低地上高…150mm
◆最大積載量…350kg(5MT)250kg(4AT)

○ハイゼットカーゴの車体サイズと主要諸元

◆全長…3395mm
◆全幅…1475mm
◆全高…1875mm
◆ホイールベース…2450mm
◆最低地上高…160mm
◆最小回転半径…4.2メートル
◆最大積載量…350kg(5MT)250kg(4AT)

○エブリイの方が背高で低床設計!

以上がエブリイとハイゼットカーゴの主要諸元になります。

一見するとほぼどっちも同じですが、エブリイの方が2chほど背高になります。また最小回転半径も短く、ハイゼットカーゴよりもエブリイの小回り性能が上回るカタチ。他にも最低地上高を見ても、ハイゼットカーゴよりもエブリイの方が低いことが分かります。

最大積載量の点では全く同じですが、スペックだけ見るとエブリイの方が軽商用車としての実力が高そう。そこで続いてはどっちが積載性能で上回るのか、荷室やラゲージルームを比較してみようと思います。

【比較】積載性能ではどっちに軍配があがる?

さっそく結論から書くと、スズキ・エブリイが積載能力ではハイゼットカーゴを上回るというのが答え。

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(カートップ2月号 交通タイムス社)

具体的に荷室開口部を比較してみると、エブリイはハイゼットカーゴを全ての点で上回ってる。特に荷室幅の違いが顕著。エブリイが1385mmに対して、ハイゼットカーゴは1315mm。ざっくり荷室幅は7cmの違い。

理由はシンプル。ハイゼットカーゴはルーフにかけて内側にすぼまってるから。一方、エブリイはほぼ完全なスクエア型。ハイゼットカーゴはデザイン面でこそブラッシュアップされましたが、エブリイと比べると基本的な車体の古さは否めないことが影響してる。

もちろんダンボール箱を積載できる数そのものに大きな差が出る違いではありませんが、それでも最低地上高なども考慮すると「積み込みのしやすさ」という点ではエブリイに軍配が上がるとカーギークでは評価してみる。

【エブリイ】走行性能や乗り心地を比較【ハイゼットカーゴ】

続いてはエブリイとハイゼットカーゴの走行性能や乗り心地を比較してみようと思います。ただ今回は軽商用車として比較しているため、どっちもターボエンジンは除く。

○エブリイのエンジンスペック

◆最高出力…36kW(49PS)/5700rpm
◆最大トルク…62Nm(6.3kgm)/4000rpm
◆車重…880kg(5MT)、890kg(5AGS)、900kg(4AT)
◆燃料タンク容量…37L
◆カタログ燃費…17.0~19.4km/L(JC08)

最高出力は5MTも5AGS、4ATともに同じ。カタログ燃費は5AGSが一番高く、4ATが一番低い。

○ハイゼットカーゴ エンジンスペック

◆最高出力(5MT)…34kW(46PS)/5700rpm
◆最高出力(4AT)…39kW(53PS)/7200rpm
◆最大トルク…60Nm(6.1kgm)/4000rpm
◆車重…910kg(5MT)、920kg(4AT)
◆燃料タンク容量…40L
◆カタログ燃費…17.8km/L(JC08)

何故か最高出力は5MTのみパワーダウン。

○走りの比較ではエブリイに総合的に軍配!

ということで結論から書くと、走りに関しては総合的にエブリイに軍配が上がります。

まず加速性能。4AT同士で比べるとハイゼットカーゴは出力が高いものの、エブリイの方がトルクが太い上に車重が軽量。トータル的にはどっこいどっこい。ただスペック的にはハイゼットカーゴのMTが一番見劣りするため、総合的にはエブリイが優勢。

5AGSと呼ばれるセミオートマチックもエブリイが持つ唯一無二の選択肢。走りに関しては「楽しい」と評価するのはカートップの比較記事。またフロントスタビライザーが標準装備されてるエブリイが操縦安定性でもやや優勢。

一方、燃費性能。4AT同士で比較するとハイゼットカーゴのカタログ燃費が若干有利ですが、それ以外ではエブリイの燃費性能が優勢。強いて言えば、エブリイは燃料タンク容量が3Lほど小さいため、航続距離ではハイゼットカーゴに軍配か。

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(エブリイ 視界性)

静粛性などでは大差が出ないと思いますが、エブリイは画像のようにドアミラー部分にかけてウエストラインが凹んでる。これが地味に便利。

何故なら背高の軽商用車はどうしても死角が多くなるものの、この部分が少し凹んでるだけでハイゼットカーゴよりも小さい子供の飛び出しなどは確認しやすくなるから。スズキだと新型ジムニーもちょこんとだけ凹んでる。

そのため「視界性の高さ」ではハイゼットカーゴを上回ると思います。そのため総合的に比較すると、エブリイが若干ハイゼットカーゴよりも有利な部分が多いかも知れない。

【予防安全性能】自動ブレーキはハイゼットカーゴに軍配!

一方、「予防安全性能」の比較。試乗評価も高い新型N-VANなど、最近は軽商用車であっても自動ブレーキが標準装備されるのも一般的になってきました。

結論から書くと、予防安全性能の高さではハイゼットカーゴに軍配が上がります。もはやエブリイに圧勝と表現してもいいか。何故なら、ハイゼットカーゴの自動ブレーキはスマートアシスト3を搭載してるから。

このスマアシ3はステレオカメラ式のため精度は高く、作動速度は80km/h以下と優秀。しかも対歩行者でも作動する。そのため軽商用車であるにも関わらず、ハイゼットカーゴはサポカーSワイドに認定されております。

一方、エブリイの自動ブレーキは赤外線レーザー式。非常に古いタイプの自動ブレーキのため、時速30km/h以下でしか作動せず、もちろん対歩行者にも対応しておりません。そもそも上級グレードにしか標準装備されておらず、それ以下はオプション装備でもなし。

エブリイは2015年にフルモデルチェンジされた当時、軽商用車としては初めて自動ブレーキを設定したことで話題になりました。しかしながら、既に3年以上経過した現在ではエブリイの装備面での見劣り感は否めない。

【違い】エブリイとハイゼットカーゴ 値段一覧まとめ【比較】

最後はエブリイとハイゼットカーゴの値段の違いを比較して終わります。

○エブリイの値段一覧

◆GA…95.0万円(5MT)、103.1万円(5AGS)、104.7万円(4AT)
◆PA…95.0万円(5MT)、103.1万円(5AGS)、104.7万円(4AT)
◆PC…104.0万円(5MT)、112.1万円(5AGS)、113.7万円(4AT)
◆JOIN…109.9万円(5MT)、118.0万円(5AGS)、119.6万円(4AT)
◆JOINターボ…119.9万円(5MT)、129.7万円(4AT)

4WDモデルの値段は+13万円程度の割高。「GA」は「PA」のロールーフ仕様。自動ブレーキは乗用車モデルの「JOIN」から標準装備。逆に言うと、それ以下の軽商用車グレードは自動ブレーキのオプション装備すらありません。

○ハイゼットカーゴの値段一覧

◆スペシャル…93.4万円(5MT)、99.9万円(4AT)
◆スペシャルSAⅢ(4AT)…106.4万円
◆スペシャルクリーンSAⅢ(4AT)…108.5万円
◆デラックスSAⅢ(4AT)…115.5万円
◆クルーズSAⅢ(4AT)…124.2万円
◆クルーズターボSAⅢ(4AT)…136.0万円

4WDモデルは+13万円ほど。「スペシャル」だけロールーフ仕様。スペシャルクリーン以上のグレードにもそれぞれ「SAⅢ」未搭載モデルが用意されており、上記の値段からマイナス13万円ほど下がります。自動ブレーキ非搭載グレードだとMTが設定。

○【比較総括】エブリイとハイゼットカーゴの違いまとめ

以上が値段の比較。結論をまとめると、全体的にハイゼットカーゴが割安になります。自動ブレーキもほぼ全グレードに設定されており、その点でオプション装備すら用意してないエブリイが不利。

安いグレードだけで比較すると装備面はかなり削られてるため甲乙付けがたいですが、それだけにスマアシ3に含まれる「オートハイビーム」や「リアコーナーセンサー」などが標準装備されてるハイゼットカーゴに軍配。

ただし逆に言うと、自動ブレーキで車選びしない限り、基本的にどっちもどっちで大差なし。むしろこれまでの比較評価を読んでも分かるように積載性や視界性など、軽商用車としてはエブリイが若干有利か。

例えば、エブリイの変速機の多さは意外と高齢ユーザーには魅力かも。そもそも自動ブレーキを設定すると問答無用で4ATのみになってしまうので、そこらへんでハイゼットカーゴの選びづらさもあるのかも知れません。

実際2017年度の年間販売台数で比較すると、エブリイが74319台に対して、ハイゼットカーゴは58173台になります。同年にハイゼットカーゴがビッグマイチェンしたこともあって2018年は五分五分レベルですが、それでもエブリイの方が結果的に安定して売れております。

ちなみに【比較】N-BOX vs ハイゼットカーゴ【比較】N-BOX vs N-VAN【比較】キャリイトラック vs ハイゼットトラックも参照。

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