2019年4月、三菱新型eKワゴンがフルモデルチェンジを行いました。とりわけSUV風モデルの「eKクロス」がめちゃんこカッコいいと大きな話題を呼び、eKシリーズの販売の押し上げに貢献しております。
でも、軽自動車SUVの先駆け的存在といえば、「スズキ・ハスラー」でありましょう。モデル末期の状態でも安定して売れ続け、2020年1月に新型ハスラーもフルモデルチェンジを果たして大きな話題を呼びました。
そこで今回カーギークでは「三菱新型eKクロスとスズキ新型ハスラー」を徹底的に比較してみようと思います。果たしてeKクロスとハスラーの違いとは?またeKクロスとハスラーはどっちがおすすめなのか?
外観デザインの比較
まずは「外観デザイン」の比較。eKクロスとハスラーはどっちがカッコいいのか?
まずは「ホワイト色」同士の比較。ちなみに、車体カラーはハスラーが最大12色に対して、eKクロスは最大11色。車体色の種類はさほど変わりません。
eKクロスはダイナミックシールドを採用するだけあって、フロントマスクは白と黒のコントラストが効いてる印象。一方、ハスラーはフロントのガーニッシュが車体色と一体化したため、良くも悪くも「全体的により白さが際立ってる印象」を持ちます。
続いては「カーキ色」を比較。意外とSUV車では人気のカラーですが、eKクロスはやや明るめのカーキ色に対して、ハスラーはやや濃いカーキ色といった違いが見られます。eKクロスはツートンが設定されてるのに対して、ハスラーのカーキ色にはなし。
続いては「オレンジ色」で比較。eKクロスは淡いオレンジ色に対して、ハスラーはやや濃い目のオレンジ。もちろん太陽の下で見ると色味や見え方は変わりますが、ハスラーはフロント部分も車体色と合わさってるためオレンジ感が強い。
○ツートンカラー同士で比較してみる
そこでeKクロスとハスラーを「ツートンカラー同士」で比較してみようと思います。
まずは「イエロー×ホワイト」のツートンカラーで比較。eKクロスはやや明るめのイエローに対して、ハスラーはやや黄土色に近い色味かも知れない。先代ハスラーと比べると、フロントマスクはメッキ感が薄まってるためSUV感がかえって薄くなってるか?
とりわけeKクロスは「巨大なLEDデイライト」の存在感が目を引きます。
続いては「ブルー×ホワイト」を比較。eKクロスはやや濃いブルーなのに対して、ハスラーはやや明るめのブルー色の違いがあります。どっちもブルーはツートンカラーのみですが、ドアミラーなどは白色に塗り分けられております。
続いては「レッド×ブラック」を比較。人気の組み合わせの車体カラーですが、赤と黒のコントラストが強いのはeKクロス。Aピラーがブラックアウト化されてるのに対して、ハスラーはAピラーは車体色と同じ色。ハスラーは乗用車テイストが強まってるか。
○サイドから比較すると両者の違いがより顕著に
一方、サイドから比較するとeKクロスとハスラーの違いはまた顕著になります。
例えば、eKクロスのフォルム感は「流線型」そのもの。ドアハンドルも微妙に角度が付いて斜めってる。リアピラーがブラックアウト化され、後ろ下がりのルーフからもたらされるフォルム感はややもするとクーペスタイル。シンプルなカッコ良さがあります。
一方、ハスラーは「スクエア型」そのもの。可愛らしい見た目はそのままですが、全体的に先代モデルよりも丸みが削られて、フォルム感はジムニーに近付いた印象。またスクエア状の樹脂製フェンダーアーチモールも勇ましい。
それに対して、eKクロスのフェンダーアーチモールはシールが貼られてるだけ。だからSUV感を売りにしてるとは言いつつも、ハスラーよりも「乗用車風デザイン」に近い。どっちかといえば、新型eKクロスはカスタムグレード系の延長線上的なデザイン。
それだけにフロントマスクは敢えて車体色と合わせる演出は残念ですが、SUVテイストではハスラーに軍配があがります。また窓ガラスの面積もハスラーの方が広いなど、室内からの見晴らしや開放感など実用性ではハスラーに軍配か。
ちなみに興味があればデイズとeKクロスの比較記事もご参照ください。
車体サイズの大きさを比較
続いては「車体サイズ」を比較。
結論から書くと、どっちも同じ軽自動車SUVだけあって、eKクロスもハスラーも車体の大きさはほぼ同じです。ただし、新型ハスラーはフルモデルチェンジ前よりもホイールベースが拡大したため、eKクロスと比べると室内の広さがだいぶ縮まりました。
一方、ハスラーは全高の高さが相変わらず高く、最低地上高も25mmほどeKクロスを上回ります。もちろんその分だけ乗降性ではeKクロスが上回るものの、フォルム感ではハスラーの方がSUVテイストがやはり強いことが数字からも読み取れます。
○新型eKクロス主要諸元
- 全長…3395mm
- 全幅…1475mm
- 全高…1640mm(4WDは1660mm)
- ホイールベース…2495mm
- 最小回転半径…4.5メートル(カスタム系は4.8メートル)
- 最低地上高…155mm
- 室内長…2065mm
- 室内幅…1340mm
- 室内高…1270mm
○新型ハスラー主要諸元
- 全長…3395mm
- 全幅…1475mm
- 全高…1680mm
- ホイールベース…2460mm
- 最小回転半径…4.6メートル
- 最低地上高…180mm
- 室内長…2215mm
- 室内幅…1330mm
- 室内高…1270mm
内装インパネの質感を比較
続いては「内装インパネ周り」を比較。新型eKクロスと新型ハスラーの内装はどっちの方が質感が高いのか?
結論から書くと、eKクロスの内装もハスラーの内装も対照的です。
eKクロスの内装はシンプルに質感が高く、ダッシュボードにソフトパッドを採用したり、上級モデルにはステッチ(糸)をあしらうなど質感は普通車並。エアコン操作にもタッチパネル式を採用するなど、もはや軽自動車の域を超えてる。
一方、ハスラーの内装は「ド個性」そのもの。目の前に鎮座する三連のフレームに目が行かない人はいないでしょう。輸入車を見渡しても、ここまで割り切ったデザインの車種は少ないか。
先代ハスラーはプラスチッキーで質感が低かったですが、新型ハスラーはメーターパネルに4インチ液晶ディスプレイを採用するなど安っぽさはなし。さすがにeKクロスと比べると全体的に質感はやや落ちますが、そこは「個性的なデザイン」でカバーされてる。
ナビ画面もどっちも9インチと軽自動車では「破格の大きさ」というのが嬉しい。
ただし、電動パーキングブレーキが標準装備のeKクロスに対して、ハスラーは設定にもなし。新型eKクロスはハンドルも普通車サイズに太く、親指部分を優しく凹ませるなど非常に握りやすい。男目線で比較すると、eKクロスにやや軍配を上げたくなります。
室内の広さやシートアレンジ力の比較
続いては室内の広さや荷室の大きさなどを比較。eKクロスとハスラーはどっちの実用性が高いのか?
まず「収納力」の比較では新型eKクロスに軍配が上がります。ほぼデッドスペースがなく、あらゆる場所に収納スペースが隠されてる。
例えば、助手席前はティッシュ箱が置けるほどの収納ボックスが2個も隠されており、車検証などはドアの内側に収納できるスペースも隠されてる。一方、新型ハスラーはデザイン重視の内装は一般的な収納力に留まります。
一方、「室内の広さ」は五分五分だと思います。先代ハスラーはeKクロスよりも室内がやや狭かったですが、新型ハスラーと比べるとどっちも遜色ない。ハスラーもeKクロスもどっちも後部座席のニースペースは軽自動車トップクラス。
ただし、ワゴンRとデイズの比較記事でも触れましたが、eKクロスの後席シートの座り心地はやや微妙。シートと床面の差がないためか、やや膝が浮いてしまう。一方、ハスラーの後席シートは座面の高さを調整できる点がeKクロスよりも優位。
実際、シートアレンジでもハスラーに軍配が上がります。どっちも5:5分割シートを採用してるものの、新型eKクロスはリアシートが左右一体なのでスライドさせる場合はシートまるごと移動してしまう。後席シートを倒した時のフルフラット感もハスラーがやや優位か。
でも、新型eKクロスは荷室がかなり広いです。ハスラーが…というよりも、スズキ車全般の荷室空間が狭いと言った方が正確かも知れない。
例えば、eKクロスは後席シートを一番後ろに持ってきた状態でも、ハスラーの荷室とさして違いはないほど。軽自動車の荷室は狭いイメージがありませんが、新型eKクロスの荷室スペースは日常の買い物袋であれば問題なく積載可能。
だから「日常使い」ではeKクロスに軍配、「アウトドアなど遊び目的」ではハスラーに軍配といった評価が下せそう。
搭載エンジンの違いまとめ
乗り心地や走りの違いを比較する前に、新型eKクロスとハスラーのそれぞれの搭載エンジンを改めてチェックしておきたいと思います。
○eKクロス・660cc直3NAエンジン
- 形式…BR06-SM21
- 最高出力…38kW(52PS)/6400rpm
- 最大トルク…60Nm(6.1kgm)/3600rpm
- 電気モーター…2.0kW(2.7PS)/40Nm(4.1kgm)
- 車重…840~860kg
- カタログ燃費(WLTCモード)…21.2km/L
- 燃料タンク…27L
○eKクロス・660cc直3ターボエンジン
- 形式…BR06-SM21
- 最高出力…47kW(64PS)/5600rpm
- 最大トルク…100Nm(10.2kgm)/2400~4000rpm
- 電気モーター…2.0kW(2.7PS)/40Nm(4.1kgm)
- 車重…860~880kg
- カタログ燃費(WLTCモード)…19.2km/L
- 燃料タンク…27L
○ハスラー・660cc直3NAエンジン
- 形式番号…R06D型
- 最高出力…36kW(49PS)/6500rpm
- 最大トルク…58Nm(5.9kgm)/5000rpm
- 電気モーター…1.9kW(2.6PS)/40Nm(4.1kgm)
- 車重…810~820kg
- カタログ燃費(WLTCモード)…25.0km/L
- 燃料タンク…27L
○ハスラー・660cc直3ターボエンジン
- 形式番号…R06A型
- 最高出力…47kW(64PS)/6000rpm
- 最大トルク…98Nm(10.0kgm)/3000rpm
- 電気モーター…1.9kW(2.6PS)/40Nm(4.1kgm)
- 車重…820~830kg
- カタログ燃費(WLTCモード)…22.6km/L
- 燃料タンク…27L
走りや乗り心地の違いは?
続いては「走りの違い」を比較。eKクロスとハスラーはどっちの乗り心地が快適なのか?加速感はどっちが速い?
結論から書くと、乗り心地はeKクロスもハスラーも上々です。どっちの方が確実に優れてるかは甲乙付けがたい。eKクロスもハスラーもプラットフォームが刷新されたばかりだけあって、乗り心地は普通車に匹敵するレベルか。
一方、シートの座り心地はホールド感があって上質なのはeKクロスか。ハスラーよりもお金かかってる印象はします。ただし、後席シートの乗り心地はイマイチと評価されることも多い。座面の高さなど調整できる上、後席の開放感にも優れるハスラーの方に後席の乗り心地は軍配があがりそう。
そのため視界性でもハスラーに軍配が上がります。前方視界性では大差ないものの、前述のようにeKクロスはサイドガラスやバックガラスの面積が小さい。最近話題のプリウスほど後方視界性は悪くないものの、新型ハスラーと比べると見劣りします。
そして、加速性能はどっちもどっち。
実用トルクなどスペックの数字だけ見ると新型eKクロスが若干上回るものの、ハスラーは女性一人分ほど軽量。ターボエンジンも同様に、実際に両者を走らせても大きな違いは感じないでしょう。強いて言えば、軽量な分だけハスラーが走りは軽快かも。
変速機に関しても、eKクロスもハスラーも「新型CVT」を採用しており、どっちもステップATのような自然な加速感が得られることが特徴。走りの上質感や静粛性でも甲乙付けがたい気がします。どっちも剛性感は高水準でどっこいどっこい。
ただし、新型eKクロスは「操縦安定性能」に優れる。ハンドリングレスポンスの評判は高く、走りの安定感は軽自動車トップクラス。一方、新型ハスラーは先代モデルと比べると安定感は増してるものの、良くも悪くも重心の高さがマイナス要素に働きそう。
さらなる詳細は三菱新型eKクロス 試乗徹底レビューやスズキ新型ハスラー 試乗徹底レビューなども合わせてご参照ください。
価格面や値段の違い
続いては「価格や値段」の違いを比較。新型eKクロスと新型ハスラーはどっちが安いのか?お買い得なのか?
○三菱・eKクロスの価格
- M…141万円
- G…155万円
- T(ターボ)…164万円
- (4WDは+13万円、ツートンカラーは+3万円)
○スズキ・ハスラーの価格
- ハイブリッドG…約136万円
- ハイブリッドGターボ…約146万円
- ハイブリッドX…約152万円
- ハイブリッドXターボ…約161万円
- (4WDは+14万円、ツートンカラーは+4万4000円)
以上が各々の価格一覧になります。新型ハスラーは先代モデルに設定されてた5速MTモデルが消滅したため相対的に割高になってしまったものの、eKクロスと比べるとハスラーの価格帯はほぼ変わらないか若干安いぐらいということが分かります。
例えば、ターボエンジン搭載グレードで比較すると、新型ハスラーは146万円から購入できるのに対して、新型eKクロスは164万円から。どっちも全車速域ACCはターボモデルにしか設定できないため、ハスラーのお買い得感が際立ちます。
強いて言えば、塗装の質感はeKクロスの方が高いと思うんですが、有料色のツートンカラーの価格はハスラーの方が割高という点。意外っちゃ意外な部分。ハスラーの方が全体的に割安の価格帯ですが、ツートンカラーが欲しい人は少し覚えておくといいか。
ちなみにソリオとルーミーの比較記事も興味があればご参照ください。
安全装備の比較
ということで続いては「安全装備」を比較したいと思います。eKクロスと新型ハスラーの安全性能はどっちの方が高いのか?いわゆる自動ブレーキシステムはどっちの方がおすすめなのか?
結論から書くと、どっちの安全装備も高水準でおすすめできます。
例えば、どっちの自動ブレーキシステムも「夜間の歩行者」に対応し、一時停止など標識認識機能もあります。後退時にも自動ブレーキが作動し、どっちもサイドカーテンエアバッグを標準装備されております。いわゆる全車速域の追従クルーズコントロール(ACC)も備わる。
一方、安全装備には細かい違いも存在します。
例えば、ACCに関してはステアリング制御操作はハスラーが時速65km/h以上から発動するのに対して、eKクロスは0km/hから発動と完全な全車速域に対応してる。ハスラーの場合、あくまで全車速域に対応してるのはスピードの加減速のみ。
またeKクロスは時速50km/Lであれば、追従するべき前方車両の存在も不要。三菱新型eKクロスのマイパイロット機能は、日産のプロパイロット機能と同じだけあってそれなりに優秀。その分だけ、安全装備の水準がハスラーはやや見劣りします。
ただし、新型ハスラーはターボモデルの2グレードに追従ACCを標準装備してるのに対して、eKクロスは標準装備されてるグレードは存在せず。いわゆるメーカーオプションのみ。最近になってeKクロスでも全車速域ACCが標準装備の特別仕様車も発売されましたが、その価格は180万円超え。
そのため安全装備の恩恵を受けられる方は実はハスラーと評価できそう。
【違い】eKクロスとハスラーの徹底比較まとめ
以上、カーギークによる三菱新型eKクロスとスズキ新型ハスラーの徹底比較記事でした。
結論をまとめると、eKクロスもハスラーも「どっちもいいクルマ」だと思います。走りや内装の質感、室内の広さなど先代ハスラーは見劣りする部分は多かったものの、新型ハスラーはeKクロスに随分と肉薄してる。まさに甲乙付けがたいものがあります。
一方、どちらも同じ軽自動車SUVというカテゴリーに入るものの、「個性的なデザイン」を筆頭に被る部分は少ない。そのためクルマ選びで悩むことは少ないはず。前述の比較画像も改めて参考してもらうとして、デザインにビビッと来た方を選べば良さそうです。
ただし、安全装備の充実っぷりや恩恵度合いで比較すると、ハスラーに軍配が上がりそう。確かにeKクロスは内装などの質感は高いものの、その分だけしっかり価格にも反映されがち。中長期的に乗れば、実燃費といった維持費の面でもハスラーに軍配が上がる。
お買い得感で比較すると、eKクロスがやや不利な側面もありそうです。
コメント
ekクロスは、なんちゃってSUV。
フェンダー部分も、ただのシール。
シートアレンジも乏しいし、比較にならない。パッと見だけは良いけど…。
次期ハスラーに期待したい。