トヨタが世界に誇る本格SUVが「ランドクルーザー」。中近東のお金持ちがこぞって購入してる本格派のオフローダーSUV。一方、日本国内でもランドクルーザーはプラドと合わせると月販2000台以上が売れるなど人気は国内外問わず。
現行ランドクルーザーは「200系」という愛称で親しまれてますが、2007年7月に発売されてから既に13年以上が経過。この間にランクル200系は何度か改良を施してきたものの、やはり次の300系のフルモデルチェンジが待ち遠しいところ。
そこで今回カーギークでは「トヨタ新型ランドクルーザー300系」の最新フルモデルチェンジ情報をまとめてみました。「700B」という開発コードで開発が進む次期ランドクルーザーはどう進化するのか?
発売日は2021年8月2日?
まずは発売日の最新情報。
トヨタ新型ランドクルーザー300系の発売日は2021年8月2日とのこと。
2021年8月はランドクルーザーが発売されて70年目にあたります。正確には初代ランドクルーザーの試作車が完成した年が1951年8月1日。事実、新型ランドクルーザー300系のティザーサイトを見ると70周年という節目へのカウントダウンが始まっています。
まさに運命のフルモデルチェンジ。
そのため新型ランドクルーザー300系も同様に「8月1日」に正式発表・発売されるんですが、あくまで海外での話。6月9日にランドクルーザーが初お披露目された際も、日本での発表は1日ズレ込んで6月10日でした。そのため日本発売も一日遅れて8月2日になる模様。
ちなみに、ランドクルーザー200系は2021年初旬に既に生産ストップして久しいですが、新型ランドクルーザー300系はガソリンモデルは7月1日、ディーゼルモデルなどは7月19日から生産が開始されています。
TNGA設計のラダーフレームを採用!300系の車体サイズは?
続いてはシャシーや車体サイズの最新情報。
一般的な自動車はモノコック構造が多いんですが、ランクルが採用するラダーフレーム構造は強度に優れるオフローダー向けのシャシー。現在ではランクル以外に、メルセデスベンツGクラスやスズキジムニーといった限られた車種に採用されるのみ。
トヨタ新型ランドクルーザー300系には「TNGA-Fプラットフォーム」と呼ばれるラダーフレーム構造のシャシーが採用。当初の予想通り、次期ランドクルーザーでもラダーフレームが継承されます。現行200系と比べると、新型ランクル300系は200kgほど軽量化。
現状だとランドクルーザー以外にTNGA-Fプラットフォームを採用する車種は見当たりませんが、スズキ・ジムニーですらそうであったように、長期的なスパンで考えたらラダーフレーム構造のプラットフォームを新開発しても十二分に元が取れるという判断なのでしょう。
新型ランドクルーザー300系の車体サイズは4950~4985×1980~1990×1870~1920mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2850mm。現行ランクルと基本的なサイズ感は大差ないです。最小回転半径も5.9Mとフルモデルチェンジ前と変わらず。
新型ランクル300系の搭載エンジンは2種類?
続いては搭載エンジンの最新情報。現行ランドクルーザー200系の搭載エンジンは4.6L V8エンジンのみでした。
トヨタ新型ランドクルーザー300系のパワートレインは「3500cc V6ツインターボエンジン」と「3300cc V6ディーゼルツインターボエンジン」の2種類に増えます。駆動方式は引き続き4WDだけになります。
3500cc V6ガソリンエンジンはレクサス・LS500に搭載されてるだけあって非常にパワフルなツインターボとなっております。最高出力は305kW(415PS)。最大トルクは650Nm(66.2kgm)。LSも大きく上回る。
そのため300系ランドクルーザーは変速機も10速エーティーに進化します。また変速機の位置をフルモデルチェンジ前より7cmほど位置を下げることで、操縦安定性を更に高めているそう。
一方、3.3リッター V6ツインディーゼルターボは、最高出力が227kW(309PS)。最大トルクが700Nm(71.3kgm)。トルク感がとにかくヤバい。ランドクルーザーにディーゼルエンジンが搭載されるのは80系以来。
ただし注意したいのは、ディーゼルターボが選べるのは最上級グレードの「ZX」「GRスポーツ」のみ。また排ガス処理の関係もあって「5人乗り」のみとのこと。ランドクルーザーは車体が大きいので、その分だけ尿素SCRシステム(尿素水用タンク)も大きいのか。
新型ランクルハイブリッドの発売は2023年以降?
続いては「ハイブリッド化」の最新情報。
新型ランドクルーザー300系では同ターボエンジンの「ハイブリッドモデル」も設定されると言われていました。変速機(10速AT)にISGを組み合わせた、いわゆる1モーター式の「マイルドハイブリッド(MHV)」。仕組みがシンプル故に価格も抑えられる。
もちろんランドクルーザーを動かすには非力ですが、ポルシェやメルセデスベンツなど高級外車でも主流のハイブリッド方式として定着してる。やはり燃費規制は国際的にどんどん厳しくなっており、少しでも対応するための苦肉の策。
他にもレクサス現行LSハイブリッドと同じように4速ATと組み合わせた「マルチステージハイブリッドシステム」が採用されるという情報もありました。
ただランドクルーザーの主戦場は中東各国といった非先進国がメイン。そこでまず環境規制が厳しいアメリカ市場で、売れ筋のピックアップトラックのタンドラの次期モデルのマイルドハイブリッド化を優先するため、新型ランクルは後回しされた模様。
そのためランドクルーザー300系が電動化するのは1年から2年以上先の話になります。最近の半導体不足も合わせて考えると、発売時期は2023年以降と考えるのが自然か。
トヨタ新型ランドクルーザー300系は足回りが大幅進化
続いては足回りの最新情報。オフロード性能が高い新型ランドクルーザー300系の乗り心地はどうなるのか?
結論から言うと、新型ランドクルーザー300系の足回りは近代的な進化を遂げます。改めてグレード構成は後述しますが、例えばGRスポーツ(GR-S)のモデルでは80系ランクルのようにデフロックを装備(フロント部分は電動デフロック)します。
他にもE-KDSS(電子制御キネティックダイナミックサスペンション)と呼ばれる仕組みを新たに採用。車輪が浮いてもスタビライザーを電子制御で変化させ、タイヤを無理やり接地させるというもの。そのためGRスポーツは「ランクル史上最高のオフロード性能」と標榜されているそう。
一方、最上級グレード「ZX」の足回りではAVS(アダプティブバリアブルサスペンション)を新たに採用。走行状態に応じてサスペンションの減衰力を最適に変える。後輪ディファレンシャルギアにはトルク感応式LSDを装備。旋回性やフラットな乗り心地を高めてるそう。
さしずめ「オフロード向けがGR-S」「オンロード向けがZX」といった感じで売り出す模様。他にも現行ランドクルーザーにもあるマルチテレインセレクトは自動化されます。現行ランクルは手動式なんですが、路面状況に合わせてアクセルやブレーキ制御を替えてくれる。
だから新型ランクル300系の足回りは近代的に進化します。
新型ランドクルーザー300系の「次期デザイン」はどうなる?
続いては「外観デザイン」の最新情報。
新型ランドクルーザー300系のヘッドライトはLEDポジションランプが配されます。現行ランドクルーザー200系のようにヘッドライト中央にメッキバーが刺さったデザインは廃止。
フロントグリル周辺にはぐるっと取り囲むように黒いU字型のガーニッシュが施される。フロントグリルには四本の大きなメッキバーが配され、現行ランクル200系よりも押し出し感の強い顔付きになりそう。
他にも新型ランドクルーザー300系のボンネットフードは開口部がサイドまで伸びて、一般的な車のような蓋状のデザインに変化。またボンネットフードの中央部分も凹ませることで前方視界性がやや改善されそう。
新型ランドクルーザー300系のホイールアーチは更に台形型が強まったデザインに変わります。フルモデルチェンジ後はサイドの窓ガラスの面積が拡大します。そのことで新型ランドクルーザー300系では車内からの視界性が向上し、窮屈感が減りそう。
新型ランドクルーザー300系の内装がこちら。先代ランクル200系は縦型のエアコン吹出口などが採用されていましたが、新型ランドクルーザー300系の内装デザインは全体的に水平基調が強まります。
新型ランドクルーザーのデザインは3パターン存在する?
一方、トヨタ新型ランドクルーザー300系のデザインは「3パターン」ある模様。
まず先程のデザインは下位グレードの「GX」「AX」「VX」。
続いては最上位グレードの「ZX」。先程のデザインとの違いは、グリルとガーニッシュの間に更にU字型の白いガーニッシュが施されてること。ただパット見の違いはそこまで感じません。
続いては「GRスポーツ(GR-S)」のグレード。こちらはZXのデザインをベースに、グリル中央のロゴが「TOYOTA」のアルファベットに変更されてます。またグリルの形状もハニカムグリル風に変更されています。
ちなみに、新型ランドクルーザー300系の車体カラーは全6色。白、黒、グレー、ブロンズ、赤といった具合に色味含めて、フルモデルチェンジ前と変わらず。残念ながら、ツートンカラーは結果的に採用されなかった模様です。
フルモデルチェンジ後はBMWにOEM供給か?
続いては「OEM供給」の噂。
トヨタ新型ランドクルーザー300系はBMWに供給されると報じたのがマガジンXの最新情報。
最近の自動車業界を見ても、トヨタとBMWの関係性は強まってる。既にBMW・Z4がトヨタにスープラとして供給されてるように、今度はトヨタ側がBMW側にOEM供給したとしても自然な流れ。新型ランドクルーザー300系を通して、まさに互恵関係が築かれる?
事実ラダーフレーム構造を採用した車種は輸入車でも少ない。BMWの最上級SUV「X7」でもモノコックフレーム構造。いくらBMWでもラダーフレーム構造のSUVを一から開発するのはお金と手間がかかる。まさに渡りに船というもの。
トヨタ新型ランドクルーザーはクーペSUV(SAC)などではないため、もしBMWにOEM供給されればさしずめ「BMW・X9」あたりを呼称する?
ちなみに、引き続きランドクルーザーと兄弟車となるレクサス次期LXのフルモデルチェンジも2021年末頃と言われてます。普通であれば発売時期は一年ほど遅れるんですが、ランクル本体の発売時期が何度も遅れてることが影響。
新型ランドクルーザー300系の安全装備は?
続いては安全装備の最新情報。
新型ランドクルーザー300系の安全装備は「次世代トヨタセーフティセンス」が標準搭載されます。
先代ランクル200系も人を検知する自動ブレーキや追従クルーズコントロールは備わっていたんですが、現行ランドクルーザーは電子プラットフォームも古いせいで全車速域にまで対応してなかった。ステアリング支援機能や誤発進抑制機能もなかった。
でも新型ランドクルーザー300系では、それら全てに対応してくれます。夜間でも人間を検知したり、自転車にも対応してくれる。ランドクルーザーは特に車高が高いSUVですから、自動ブレーキ機能の性能が高まることは大歓迎すべき。
他にも新型ランクル300系ではブラインドスポット警告、インテリジェントクリアランスソナー、パノラミックビューモニターなどが標準装備されます。改めて装備内容は後述しますが、やはり価格が価格だけあって新型ランクル300系は最新装備が充実してます。
新型ランクル300系の盗難防止策は「指紋認証システム」
とりわけ注目したいのが盗難防止システム。
このランドクルーザーはとにかく「盗難」されることで有名な車種です。海外に転売されることも含めて、カーセンサーなどで調べても10年以上前の年式でも300万400万円の高値で売買されてるほど人気。まさに泥棒にとってはウマウマな車。
そこで新型ランドクルーザー300系では「指紋認証システム」が全グレードで標準装備される模様。プッシュ式スタートボタンを押す際に指紋を検知し、あらかじめ登録したユーザー以外はエンジンが始動しないようになるそう。
確かに今どきはスマホでも指紋認証システムは普及してる。自分のスマホも指紋で起動させてます。今まで高価な自動車で導入されてなかったのも不思議な話。特に車両価格が500万円600万円するランドクルーザーであればなおさら。
ハイエースも同様に盗難される被害が多いため、いずれ新型ランクル300系のように指紋認証システムが採用される日も近いかも知れない。言うて高価格な機能でもないでしょうから。次期ランドクルーザープラドにもきっと導入されそう。
新型300系の三列目シートはどないなる?
続いては三列目シートの機能の最新情報。ランドクルーザーは国内外含めて、数少ない三列目シートを用意したSUVでした。
今回のフルモデルチェンジで三列目シートは「床下収納式」に進化します。現行ランクル200系は跳ね上げ式を採用してる。ミニバン車だと割と多い仕組みなんですが、跳ね上げ式は名前の通り三列目シートをグイッと上げてサイドに左右に押しやる。
ただ低床設計のミニバンでも割と大変だったりするんですが、ランドクルーザー200系は最低地上高が220mmもある。アルファードと比べると6cm以上も高い。背が低いドライバーだと外から三列目シートを収納するのは大変なんですが、それが改善される。
でも床下収納式では三列目シートを格納した際、横幅の出っ張り部分が無くなるため、フルモデルチェンジ前より荷室幅も30cm以上広がる計算。新型ランドクルーザー300系をアウトドアなどで使用する際、使い勝手はわりかし向上してそう。
また三列目シートを床下収納式に変えたことで、リアゲートの構造も分割式から普通の一枚式に変わります。ランクル200系はセレナのリアゲートのように、上半分だけ開けることができました。だからいろいろ利便性や使い勝手が向上してます。
新型ランドクルーザー300系のグレード構成は?
続いてはグレード構成の最新情報。
トヨタ新型ランドクルーザー300系のグレード展開は下から「GX」「AX」「VX」「ZX」「GR-S」と合計5グレードになります。「GX」はいわゆる5人乗りモデル。それ以外は全て三列シート対応の8人乗りモデルになります。
まず「ZX」と「GRスポーツ(GR-S)」には電動サンルーフが標準装備されてます。いわゆる天井がガラス仕様というものなんですが、リモコンで開閉することも可能。それ以下のグレードではVXにメーカーオプションで付くだけ。
また本革巻ステアリングや専用のフロントマスクが標準装備。どっちも電動ハッチゲートが標準装備されますが、ハンズフリー機能を持つのはZXだけ。だからZXとGR-Sは足回りだけかと思いきや、他にも装備面の違いは多いです。
例えば、アルミホイールは「ZX」が20インチの高輝度塗装なのに対して、「GR-S」は18インチのつや消しグレー塗装。インチ数が違うのは、乗り心地の方向性の違いから?
内装面でもガーニッシュ部分は「ZX」がつや消し木目調に対して、「GR-S」はカーボン調だったりします。
○下位グレードと上位グレードの装備差がエグい
一方、真ん中の「VX」。ZXなどは前席後席で空調のベンチレーションが対応してるのに、VXは前席のみ。それ以下のグレードはベンチレーションすら備わりません。他にも「VX」は電動サンルーフや電動ハッチゲートはメーカーオプションで対応するのみ。
「VX」は電動パワーシートは前席にしか対応しておらず、それ以下のグレードはパワーシートはオプションですら対応してません。「ZX」と「GR-S」ではパワーシートは両席対応。
他にも「VX」以上はシート素材が本革に対して、それ以下はファブリック素材。トヨタ新型ランドクルーザー300系では、下位グレード(GXやAX)と上位グレード(ZXとGR-S)とは露骨な装備差があります。もし新型ランクル300系を購入するとしてもVX以上がデフォ?
新型ランドクルーザー300系の価格帯がヤバすぎw
続いては新型ランドクルーザー300系の価格情報を解説。
○3.5L V6ガソリンターボモデルの値段
- GX(5人乗り)…510万円
- AX(7人乗り)…550万円
- VX(7人乗り)…630万円
- ZX(7人乗り)…730万円
- GRスポーツ(7人乗り)…770万円
○3.3L V6ディーゼルターボモデルの値段
- ZX(5人乗り)…760万円
- GRスポーツ(5人乗り)…800万円
以上が新型ランクル300系の価格帯になります。新型ランクルの価格帯は最大で800万円台の大台に乗ります。先代ランクル200系は最大697万円だったので100万円以上の値上がり。オプションなどをつけると余裕で1000万円近くなりそう。
ただ同グレードで比較すると、先代ランクル200系から約30万~40万円程度の値上がりにとどまっているため、装備面の充実度を考えると気になるレベルではなさそう。個人的には50~80万円程度の値上がりと予想していたので良心的な価格帯とは言えるか。
どのみち新型ランドクルーザー300系でも人気モデルは上級グレードに偏るはずなので、この程度の値上がり幅は気にならないでしょう。特に【盗難防止装置】は魅力的。新型ランクル300系も引き続き高い商品力でユーザーを引きつけるに違いない。
でも生産台数は世界的に限られていると思うので、日本国内で実際どこまで売れるかは不明ですが、しばらくは月販500~1000台が続きそう。
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