日本が誇る商用バンがトヨタ・ハイエース。日本国内でも珍しいキャブオーバー1BOX。
現行ハイエース200系は2004年に発売されて以来、海外ではもっと人気。例えば、開発途上国に行けばバスやタクシー代わりにハイエースが使われ、新車販売台数の5割6割を占める国(とりわけ東南アジアや中南米)もあるとか。
実際、自動車業界を見ると一般的に想像される乗用車ばかりではなく、ハイエースのような商用車の需要も新車販売では大きな割合を占めてる。トヨタだと年間数百万台規模でハイエースのような商用車を売ってる。
そこで今回カーギークでは「トヨタ新型ハイエース300系の最新フルモデルチェンジ情報」を徹底的に解説してみた。
ちなみに現行ハイエースは200系にあたるため、新型ハイエースは「300系」と呼ばれます。また当初は新型ハイエース300系のフルモデルチェンジ最新情報を扱った記事だったんですが、日本国内で正式発売される新型グランエースの情報を先に解説していこうと思います。
発売日は2019年12月16日
最初は「発売日」の最新情報。トヨタ新型グランエースはいつ頃発売されるのか?
結論から書くと、トヨタ新型グランエースの発売日は2019年12月16日になります。トヨタ新型アルファード・ヴェルファイアのマイナーチェンジとほぼ同じタイミングで発売されます。
既に2019年11月25日に新型グランエースの情報はトヨタが正式に発表しており、同年10月後半開催の東京モーターショーにも出品されてました。同年9月時点ではトヨタディーラーに新型グランエースの販売マニュアルが既に配布済み。
2019年10月に安倍政権が消費税を10%に増税。ホンダ次期N-WGNやダイハツ新型タントなどはフルモデルチェンジを前倒ししたものの、トヨタは新型グランエース以外にも新型ヤリスなどの発売時期を意図的に遅らせる判断をした模様。
新型グランエースが「ハイエース300系のフルモデルチェンジ」と捉えるなら、現行200系ハイエースのモデル周期は足掛け15年ほどになります。
新型グランエースの内外装の画像は?
続いては「内外装」の最新情報をチェック。新型グランエースはハイエース300系がベースではあるものの、既に話題になってるように内外装は「非常に質感が高い仕上がり」になっております。
トヨタ新型グランエースのフロントマスクはプロジェクター式の2眼LEDヘッドライトや両側電動スライドドアが与えられ、新型グランエースの出で立ちは完全な高級ミニバン車としての風格はたっぷり。
一見するとトヨタ・ノアに近い雰囲気も。アルファードも随分とハデなフロントマスクに変化してますが、新型グランエースの顔付きはそこから「華美さ」が程よく削られた清潔感がある雰囲気を与えてくれます。あくまで商用需要がメインだと思うので、まさに絶妙なデザイン。
今回のフルモデルチェンジからハイエース300系はキャブオーバータイプではなくなっているため、新型グランエースの出で立ちは「一般的なミニバン車」に仕上がってます。ただし、車体後方を見ると非常に長いことも分かります。
トヨタ新型グランエースの車体カラーは4種類。白黒シルバーグレーの定番色のみ。内装シートも4パターンほど用意されてるそう。とはいえ、別にアルファードのような高級ミニバン車も大してハデな車体色は設定されてませんが。
○新型グランエースの内装は価格帯を考えると?
一方、新型グランエースの内装インテリアがこちら。
黒を基調としたシックな雰囲気の内装。ステアリングなどに木目調の加工を施し、空調ダクトも金属調パーツを採用。シート周りもキルティング生地のステッチ入り本革仕様。天井色にはケーキのフロマージュのような淡い色が採用され、清潔感が演出。
新型グランエースの内装は「商用車のハイエースがベース」とは思えない仕上がり。
他にも後席シートにはLEDのイルミネーションライトが施されるなど、夜間乗車時の居住性に彩りを添えてくれてる。車両後方の映像を映し出してくれるデジタルインナーミラーを採用するなど、新型グランエースの内装は装備面も充実。スマートエントリーキーなども標準装備。
とはいえ、新型グランエースの内装はアルファードなどと比べるとどこまで質感が高いかは微妙。改めて価格帯は後述しますが、実際新型グランエースは最低でも600万円以上する。じゃあ、それに見合った質感の内装かと言うと?
新型グランエースのスペックや車体サイズは?
続いては「スペックや車体サイズ」など主要諸元の最新情報を解説。グランというスペイン語を見ても分かるように、新型グランエースの車体サイズは非常に大きそう。
結論から書くと、トヨタ新型グランエースの車体サイズは5300×1970×1990mm(全長×全幅×全高)になります。ホイールベースは3210mm。現行ハイエース200系のグランドキャビンと比べても、新型グランエースは一回りほど大きいサイズ感。
ただし、新型グランエースの最小回転半径は5.6メートル。取り回し性能はアルファードやヴェルファイア並。現行ハイエース200系のグランドキャビンの最小回転半径は6メートルを超えてることを考えたら、決して「扱いにくい」というサイズ感ではなさそう。
サスペンションにはフロントにマクファーソンストラット式を採用し、リアにはトレーディングアーム車軸式を採用。さすがにハイエースがベース車両だけあって、当初自動車雑誌が報じていたマルチリンク式サスペンションは採用されませんでした。
他にも新型グランエースの室内空間を見ておくと、8名乗り仕様は3365×1735×1290mm(室内長×室内幅×室内高)になります。6名乗り仕様は室内長が3290mmに短くなってしまうものの、車重も30kgほど軽量化されます。
新型グランエースの搭載エンジンは引き続き「2.8L直4ディーゼルエンジン(1GD-FTV型)」。最高出力は177PS/3400rpm。最大トルクは46.1kgm/1600~2400rpm。さすがにアルヴェルやレクサスに搭載の新型3.5L V6エンジン(2GR-FKS型)は見送り。
新型グランエースの駆動方式はFR車。カタログ燃費はWLTCモードで10.0km/L。
新型グランエースのグレード構成は「G」「プレミアム」
続いては「価格帯や値段」の最新情報。
まず確認しておくと、新型グランエースのグレード構成は「プレミアム」と「G」の2種類。両者の違いは乗車定員数。プレミアムは「6名乗り(三列シート)」、Gは「8名乗り(四列シート)」。送迎車など商用車として使用する場合は「G」を選ぶほうがいいかも知れない。
つまり現行200系ハイエースグランドキャビンと比べると、フルモデルチェンジ後は「乗車定員が減少」します。
何故なら、トヨタ新型ハイエース300系はキャブオーバー型から「セミキャブオーバー型」にフォルムが変わるから。キャブオーバータイプとは直方体のフォルム。前方部分がストンと切り立っており、いわゆるフロントノーズが限りなくゼロ。
フロントノーズができる分だけ新型グランエースは現行ハイエース200系より衝突安全性が高くなるものの、もし10人乗り仕様が購入したい場合、約全長6メートルのスーパーロングホイールベース版が発売されるのを待つ必要がありそう。
「プレミアム」は後列にパワーシートやパワーオットマンを採用するなど、乗り心地の快適性を売りにした個人向けとして販売。一方、「G」は四列目シートに6:4分割チップアップシートを採用するなど、輸送力や積載性といった実用性が重視されてる。
新型グランエースの価格は600万円以上
じゃあ、新型グランエースの価格帯は?
結論から書くと、新型グランエースの価格は「プレミアム」が650万円に対して、「G」が620万円になります。
正直な感想を述べると、新型グランエースの価格帯は割高感は否めない。もちろん第2世代トヨタセーフティセンスは標準装備されるものの、メルセデスベンツのVクラスの値段が750万円前後ですからね。個人的に新型グランエースの値段は400万円台を予想してただけに笑いました。
とある自動車雑誌の情報では「インパクトはさほど強くないかも」と表現されてましたが、グランエースの値段は色んな意味でやってくれちゃってる。
例えば、アルファードと比べると「エグゼクティブラウンジ」の価格帯に近い。もちろん、それは最高級グレード。それより下位のアルファードやヴェルファイアの売れ筋の価格帯と比べると、新型グランエースの値段は200~300万円近く割高になる。
だから新型グランエースは「普通の人」は買わないようなミニバン車だと思います。実際、新型グランエースの月販目標台数は100台も超えないそう。トヨタ的には現行ハイエース200系が引き続きメインになりそう。
フルモデルチェンジ後も「現行200系ハイエース」は併売
一方、現行200系ハイエースはどうなるのか?
結論から書くと、現行ハイエース200系は引き続き継続販売されます。トヨタ新型カローラがフルモデルチェンジ後も先代カローラを併売してるのと同じノリ。
やはりグランエースは車体サイズが巨大。価格も割高。トヨタも販売台数はそこまで見込んでない。そのため現行ハイエース200系と新型グランエース(ハイエース300系)は併売される。顧客が混乱しないように、「グランエース」という新たな車名で販売されるという流れ。
ただし、いつまで現行ハイエース200系は併売されるかは不明です。
2017年11月に現行ハイエース200系には「トヨタセーフティーセンスP」と呼ばれる古いタイプの自動ブレーキが搭載。そのためもし数年単位で併売し続ければ、2020年以降にハイエース200系はマイナーチェンジが施される可能性はありそう。
だから、ハイエース200系のフルモデルチェンジは実質的に行われたと解釈して良さそう。グランエースは乗用車モデルとして販売されているため、さしずめ「ハイエースワゴン300系」という位置づけ。逆に言うと、ハイエース300系の商用車モデル(次期ハイエースバン)はまだ未発売。
新型ハイエースバン300系は1ナンバーサイズに拡大!
じゃあ、商用車モデルの次期ハイエースバン300系はいつ発売されるのか?
結論から書くと、商用車版ハイエース版300系の発売日は「2020年後半頃」と予想するのはフルモデルチェンジ情報に定評があるマガジンX。新型グランエースが発売されたちょうど一年後の計算。実際、既に海外では次期ハイエースバン300系は発売済み。
例えば、UAEで発売済みの次期ハイエースバン300系の内装インパネ周りを見ると、新型グランエースの内装よりもかなり簡素化されてることが分かります。一方、現行ハイエースバン200系よりもコックピット感が強まってシフトノブなど操作性が向上してそう。
またトヨタ新型ハイエースバン300系も同様に「ロングホイールベース(ショートルーフ)」と「スーパーロングホイールベース(ロングハイルーフ)」の2種類が発売予定。
新型グランエースのベース車両でもある「ロングホイールベース」は5265×1950×1990mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは3210mm。一方、「スーパーロングホイールベース」は5915×1950×2280mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは3869mm。
現行200系ハイエースバンの「スーパーGL(ロングワイド)」が次期300系では標準サイズになるようなもの。スーパーロングホイールベースに至っては、現行ハイエース200系と比べると余裕で50cm以上も伸長。ちなみに新型グランエースとスペックが異なるのはパーツの違いによるもの。
結果、新型ハイエースバン300系はフルモデルチェンジ後は1ナンバーサイズに拡幅されます。ちなみに4ナンバーサイズ維持という情報もありましたが、結果的に間違いでした。
○新型ハイエースバン300系は「中型免許」以上が必須?
だから新型ハイエースバン300系はグランエースなんかよりも相当巨大化してしまう。実際新型ハイエースバン300系を目の当たりにすると、かなり圧倒されるはず。カートップの最新情報では「数値以上に見えるサイズ感」と表現。
そのため新型ハイエースバン300系のスーパーロングホイールベース(13人乗り)の室内を見ると、ほぼ完全な小型バスと言えそう。だから、もし日本で海外向けの新型ハイエースを運転するには中型免許以上を取得する必要があります。
やはり新型ハイエース300系がセミボンネット化されたことが影響。現行ハイエースの車内空間をできるだけ維持しようと考えると、必然的に車体サイズ全体が拡大してしまう。そのため新型ハイエースバン300系が日本国内で発売されるかは若干疑わしい側面もあります。
まだトヨタ新型エスティマがフルモデルチェンジする可能性の方が高いかも。
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