2011年12月に発売されたコンパクトカーが「トヨタ・アクア」。当時はハイブリッド車がまだまだ少なかった中、アクアは手頃な価格帯、サイズ感、燃費性能といったコスパの高さで爆発的にヒットしました。
しかし、現行アクアが発売してから早10年目。世の中にはさまざまなハイブリッド車が発売されており、アクアの目新しさは随分と目減りしました。
また2020年初頭にはアクアのライバル車であるトヨタ新型ヤリスやホンダ新型フィットが次々とフルモデルチェンジするなど、アクアの商品力が流石に見劣りしてる感は否めない。
そこで今回カーギークではトヨタ新型アクア(2代目)のフルモデルチェンジ最新情報を解説したいと思います。
発売日は2021年7月19日
まずは「発売日」の最新情報。
トヨタ新型アクアの発売日は2021年7月19日になります。発表と同時。新型アクアの正式な受注開始日はそこから約一ヶ月前の6月25日。ちょうど東京都議会議員選挙の告示日と重なります。生産開始時期はそこから数日遅れて6月28日とのこと。
トヨタ・アクアは2011年12月にデビューしてることから、モデル周期は約9年半とかなり長め。それ故に次期アクアを求める既存オーナーも多かろうと思われます。さすがに初期アクアを未だに乗り継いでる人も少ないでしょうが。
ただし改めて後述しますが、おそらく売れ筋モデルになるであろうミドルグレード「X」の発売は2022年1月6日とかなり遅れるそう。半導体不足などが改善されればもう少し早まるかも知れませんが、本気で次期アクアの購入を考えてる人は注意。
ちなみに次期アクアが発売された一ヶ月後ぐらいに、新型ランドクルーザー300系もフルモデルチェンジする予定です。
アクアクロスオーバーも同時にフルモデルチェンジするか?
一方、アクアのなんちゃってSUVモデルの「アクアクロスオーバー」はフルモデルチェンジするのか?アクアの人気グレードの割合を見てもアクアクロスオーバーは地味に人気でした。
結論から言うと、アクアクロスオーバーはフルモデルチェンジしません。トヨタ自動車はヤリスクロスやカローラクロスといったSUV風モデルを次々と投入してるものの、新型アクアクロスオーバーの次期モデルは発売されません。
ただ新型アクアのSUVモデルが発売される可能性は高いはず。ここまでトヨタ自動車が色んな派生SUVを投入してることを考えると、新型アクアだけノケモノ扱いされるとは考えにくい。その際には他車と足並みをそろえて「アクアクロス」に改名されそう。
半導体不足など不透明な外部要因が多いため、新型アクアクロスが発売されるとしても1年後の2022年夏以降か。
次期アクアは「室内」が拡大?新型ヤリスと統合?
続いては「車体サイズやシャシー」に関する最新情報。
トヨタ新型アクアのシャシーには「TNGA-Bプラットフォーム」が用いられます。ヤリスと同じBセグメントカー向けのシャシー。現行アクアの車体は相当古かったため、TNGA設計に改良されることで新型アクアの剛性感や乗り心地は大幅に改善しそう。
TNGA-Bプラットフォームはヤリスに次いで2例目に当たるわけですが、新型アクアとヤリスには大きな違いも存在します。
それが「ホイールベース」。新型アクアはヤリスよりも+50mmほどホイールベースが拡張されて、前後乗員間隔は+20mm拡大。また全高が+30mm高くなって室内空間が拡大されるのが特徴。シート座面やヒップポイントを高めることで乗降性なども高められます。
トヨタ新型アクアの車体サイズは4050×1695×1455mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは2600mm。新型ヤリスはドライバーズカーとしての側面が強くした反面、新型アクアは「後席居住性や積載性」を高めて差別化を図ってきた。
ちなみに、2025年以降を目処にアクアとヤリスが統合される?という情報もあります。確かに似たようなコンパクトカーは複数必要ないため、ラインナップの整理を進めてるトヨタの方向性を考えるとさもありなん。それでもアクアとヤリスが統合するのは相当先の話です。
フルモデルチェンジ後の「次期デザイン」はキープコンセプト?
続いては「次期デザイン」に関する最新情報。新型アクアはホイールベースが拡張されることでデザインにも影響を与えるのか?
新型アクアの次期デザインを予想するに当たって、かつて2013年の東京モーターショーに出品された「premi AQUA」が頻繁に参考にされていました。トヨタ・クラウンのような存在感あるフロントグリルがあしらわれ、ヘッドライトも雄々しくて特徴的でした。
ただし、新型アクアの次期デザインは「キープコンセプト」と報じる自動車メディアが多いです。
新型アクアでも全体的に凹凸感を設けないプレーンなスタイリングが引き続き採用されそう。新型アクアの顔つきもトヨタを代表するキーンルックが採用され、現行アクアと変わらず伸びやかなヘッドライトと台形のエアインテークが設けられます。
ただラジエーターグリルとコの字型エアインテークは一体化されるなど、細かい変更点は多い。ヘッドライトの形状もフルモデルチェンジ後は先端部分がやや丸みを帯びた優しい雰囲気に変わります。全高が少し高くなることで、新型アクアの塊感はやや強くなるか。
○次期アクアはキープコンセプトだが…
一方、ドアミラーはドアパネルに直付けされるなど変更点は一部見られるものの、リア周りの雰囲気もあまり代わり映えしなさそう。
コンビランプは引き続き縦長デザインが採用されますが、フルモデルチェンジ後はやや「くの字型」に変形されます。ハッチゲートの開口部も若干湾曲したデザインに変更されるため、新型アクアのデザインの質感は細かい点でアップしてる模様。
他にもルーフの中央部分も凹ませることで空力性能などを高めるなど、フルモデルチェンジ後はそれなりに進化は遂げてる模様。
ちなみに、新型アクアの車体カラーは全9色。現行アクアと同じ。残念ながらツートンカラーは引き続き設定されない模様。ここはヤリスとの差別化もあるはず。
新型アクアの「搭載エンジン」はどうなる?
続いては「搭載エンジン」の最新情報。新型アクアも引き継ぎハイブリッド専売車として発売されるんが、一体どんなガソリンエンジンが搭載されるのか?
トヨタ新型アクアのパワートレインは「1.5L直3ガソリンエンジン(M15A-FXS型)」が搭載されます。現行アクアには初代プリウスが使っていた超古いエンジン(1NZ型)が搭載されていたため、シャシーと同様に中身が大胆に刷新されます。
この1.5L直3エンジンは排気口にもVVT-i(可変バルブタイミング機構)が採用されて、熱効率が2%ほど向上。最高出力は91PS、最大トルクは12.2kgm。1気筒減らされてるんですが、出力は17馬力ほどアップするなどパワー感は一切問題なし。
強いて言えば、3気筒化に伴う騒音や振動がどうなるかは気になりますが、今後もトヨタは他のコンパクトカーの「直3化」を進めていく模様。
新型アクアは「THS-Ⅲ」に進化?ワンペダル操作可能に?
だからトヨタ新型アクアはフルモデルチェンジ後も「ハイブリッド専用車」として発売されるわけですが、新型アクアのハイブリッド機構は現行アクアと同じ「THS-Ⅱ」が使われます。THS-Ⅱとは、エンジンと2個の電気モーターの出力を同時に使い分けて走行するパラレル式ハイブリッド。
例えば、マツダ新型MAZDA2やホンダ新型フィットはガソリンエンジンで発電し、電気モーターで走行する「シリーズハイブリッド」に大胆に進化しますが、新型アクアの仕組みは変わらないまま。新型プリウスでも期待された「THS-Ⅲ」は結局発売されないまま終わりそう。
他にも次期アクアにも「E-Four」と呼ばれる新型4WDシステムが採用されます。現行アクアに4WDはなし。E-Fourは後輪タイヤを専用の小型モーターで駆動させる仕組み。構造上の問題もあってサスペンションにはダブルウィッシュボーン式が採用されます。
また減速エネルギーを回収する強回生システムを組み込むことで、新型アクアは日産ノートのようにワンペダルでスピードを加減速することも可能になるとか。ただ新型ノートでは割とマイルドな挙動になっているため、新型アクアでも極端な加減速はしないはず。
バッテリー強化でカタログ燃費は最高35.8km/Lに
続いては「カタログ燃費」の最新情報。
新型アクアのカタログ燃費はWLTCモードで最高35.8km/Lになります。ただこの数値はリチウム電池搭載の最廉価グレード「B」のみ。それ以上の売れ筋グレードには「新型ニッケル大容量電池」が搭載されます。
その名も「バイポーラニッケル電池」。
従来は2枚の電極を使ってプラス極とマイナス極を生み出してたんですが、バイポーラニッケル電池では1枚の電極でプラスとマイナスを発生させられる。どうやら技術的に難しかったそうですが、新たな素材の研究などでクリアできたそう。
簡単に言うと、従来のニッケル水素電池よりも小型化できたことで、結果的に内部の余分な電気抵抗が減って大容量化・大出力化も可能となったバッテリー。既に電車などに使用されるなど充電スピードも早い。
ヤリスはEV走行は時速20km/hまでしか無理でしたが、次期アクアではその倍の40km/hまで達成してるそう。カタログ燃費は不明ですが4WDモデルでも30km/Lを上回っていることから、新型アクアのカタログ燃費は概ね30km/L前半と見るのが自然でしょう。
シャシーの大改良も含めて、新型アクアの中身はハイブリッド車として相当進化してるっぽい。
新型アクアの安全装備は特別?
続いては安全装備の最新情報。
トヨタ新型アクアにも「次世代トヨタセーフティセンス」が新たに全車標準装備となります。
先代アクアは追従クルーズコントロール機能はなかったんですが、新型アクアでは全車速域の追従クルーズコントロールが備わりるため、ヤリス(全車速域非対応)よりも高性能だったりします。そのため新型アクアでは電動パーキングブレーキが標準装備されそう。
また自転車や夜間の歩行者も検知するなど、国産車の中でもトップクラスの安全性能を誇ります。一方、先代アクアにも用意されていたブライドスポット警告、リアクロストラフィック警告などは引き続きメーカーオプションのまま。
ブライドスポット警告とは、後方から迫る自転車や歩行者を検知して警告してくれる代物。停車中でも機能するため、ドアを開ける際なにも便利。でも、さすがにそこまでいろいろてんこ盛りに搭載すると価格的な問題も発生するのでしょう。
他にも注目の安全機能としては「アドバンストパークフルオート駐車支援機能」。車庫入れと縦列駐車をほぼ自動的に行なってくれる。2020年後半にフルモデルチェンジした現行MIRAIにも設定されてる機能。ヤリスと違ってシフト操作不要なため、アクアの優位性がやはり際立ちます。
他にも新型アクアには「シフトロック」がトヨタ車で初採用。シフトポジションをNレンジから変える際にブレーキペダルを踏む必要がある。そのことで誤発進を防げる可能性が高まる。またクリープ走行時にドアを開けると自動的に停止させる機能も加わります。
新型アクアのグレードと価格
続いては「グレード展開」の最新情報。
新型アクアのグレード展開は安い順に「B」「X」「G」「Z」の合計4種類。だから先代アクアよりも1グレード増えてます。最廉価グレードはLから「B」、売れ筋グレードのSは「X」に変更され、新たに最上級グレードに「Z」が追加されてる。
新型アクアの全グレードに標準装備されるものとしては、アクセサリーコンセント(AC100V/1500W)、トヨタセーフティセンス(追従ACCや自動ハイビーム)、LEDヘッドライト、ナノイーエアコン、USBなどがあります。
「G」以上はインテリジェントクリアランスソナー、分割型ヘッドレスト、本革ステアリング、4スピーカー、音声操作可能な10.5インチディスプレイオーディオなどが標準装備。「Z」は15インチアルミホイール、フルLED、USB2個などが新たに標準装備されます。
車体カラーは前述のように全9色に留まります。
○新型アクアの価格は最大250万円超?
そのため新型アクアの価格は10万~35万円ほど割高になります。先代アクアは法人向けにLがカスッカスの安いグレードとして販売されていましたが、例えばLはトヨタセーフティセンスはメーカーオプションにとどまっていました。新型アクアではそれが無くなる。
- B…198万円
- X…209万円
- G…223万円
- Z…240万円
そのため新型アクアの価格がこちらになります。B以外に設定される4WD(E-Four)の価格はそこから+20万円前後割高になります。
先代アクアの価格帯が181万~212万円(クロスやGRスポーツを除く)だったため、新型アクアの価格帯は大幅な値上がり。ほぼ予想通りの値段でしたが、新型アクアはノーマルモデルでも先代アクアGRスポーツ並の価格に値上がりします。
ただ新型アクアは商品力が良くも悪くも高まりすぎたが故に、アクアの魅力は割安な価格帯にありましたから販売台数には影響しそう?
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